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継続して複合製品を提供していく,究極の経営指標は日経平均株価

2008年2月に発表した2007年12月期の業績は連結売上高が前年同期比8.3%増の4694億8100万円、営業利益が同14.9%増の300億5100万円の好調を記録した。大塚裕司社長は今後の業績について慎重な姿勢を示すものの、経営の見える化を推し進めて成長を追求する姿勢に変わりはない。提供するソリューションの複合化やストックビジネスで顧客に臨む。

2007年12月期の業績をどう分析しますか。

 2007年度、当社は営業担当者の実残業制度を採用しました。これで残業代が約9億9000万円増えたんです。単体での3.8%の人員増もあったんですが、社員1人当たりの売上高で4.6%、営業利益では10%程度の増加を実現できました。

 昨年も一昨年も社員1人当たりの生産性を向上させてきましたから、この点では順調だと言えるでしょう。自己資本比率も2年で約10%向上しています。

 ストックビジネスやセット販売の割合が高まっていることを、反映した結果でしょう。ストックビジネスは二桁くらいで成長していますし、顧客単価も6%ぐらい上がっています。

今期は連結売上高で4890億円、営業利益で309億円の予想です。現実には売上高5000億円を突破する可能性もあるように思えます。

 確かに連結で6%を超す成長だと5000億円に届くんですよね。ですが直近の現場の雰囲気を聞くと、簡単に実現できる数字ではないという感じです。

 投資ニーズはあるんです。ただ正式な受注までのプロセスで、お客様が慎重になり始めてます。同業他社の業績を見ても、減速の傾向が出ています。原油高を原因として経費が上昇した時に、どれだけ価格転嫁できるのかという問題もあります。

今期の目標はどういったものになりますか。

 当社の目標は「ミッションステートメント」に書いてある通りです。ITによってお客様の生産性向上やコスト削減などをお手伝いする。そしてお客様とともに成長していく。特に中小企業に関して言うなら、まだまだIT装備率は低いのです。

 年商10億円未満というレベルで考えたら、IT化を終えたお客さんは数%程度でしょう。社内で2003年から2007年の取引企業から試算したデータがあるんです。

 複写機やパソコン、その他を含めて何かは利用している企業が全体の3分の1ぐらいですね。精度が高いとは言えませんが、一つの目安にはなるのかなと思っています。

中堅・中小企業の市場は中々攻略の難しい市場です。

 オフィスに必要なものがいくつかあるんです。複写機、コンピュータ、ファクシミリ、電話がそうです。今なら携帯電話や通信回線、それからサプライも必須でしょう。

 当社は、これらすべてをお客様に提供して、電気・ガス・水道のようにITインフラを提供する会社になりたいんですよ。単なる事務機販売に近付くほど、付加価値は下がるし、お客様へのメリットも競争力も落ちます。

 当社には現在、73万社のお客様がいらっしゃるわけです。そのうち、単独の商品だけの取引にとどまっている企業が全体の6~7割です。もしこれらの企業からもう1品ずつ受注できれば、ビジネスにも大きな影響があるでしょう。

自社開発のITインフラのSPR(Sales Process Re-engineering)で経営を可視化し、プロセスを継続して改革すること業績を向上させているとよく指摘されます。

 見ている数値自体は昔からそれほど変わっていないのですが、精度に差はあると思います。業績の推移がその違いを示しているのではないですか。

業務プロセスの変革と言えば、残業代の増加を吸収するのは大変ではありませんでしたか。

 社内に営業支援センターのようなものを設けて、セット提案を含め、営業担当者が利用する標準的な提案書をメニュー化して提供しているんです。

 支援センターに依頼すれば、資料作成のための時間を減らすことができます。担当者によっては、多少手直しするこもあるでしょうが、一から作るよりは早い。お客様への対応も早めることができるようになりますから、営業効率が上がることになりますよね。

支援センターはいつ立ち上げたものですか。

大塚 裕司(おおつか・ゆうじ)氏
写真・柳生 貴也

 3年ほど前からあるんですが、最初の1年間はあまり効果が出てなかった。昨年、支援する部門の幅を広げたことに加えて、営業担当者の残業手当をすべて支払うことにしたことで、時間短縮による効果への関心が高まったことがあります。

 こうするなかで、やっぱりセンターを使うと便利だなとか、ゼロから作ることを思うとずいぶん作業が効率化できるなということが理解されたのでしょう。

2月上旬に東京で開催した自社イベント「実践ソリューションフェア2008」では、携帯電話を使ったソリューションの「ケイタイ君」が目を引きました。

 当社はまず社内で利用したソリューションを外販する戦略を採っています。携帯のビジネス利用についてもそうです。

 安全な環境でメールを閲覧したり、SPRの情報に携帯からアクセスできるようになりました。残業の申請も可能です。これも業務の生産性を向上させるものです。

 2007年に開発に着手して、第1弾を配布したのが4~5月です。簡単な申請業務を動かせるようにして、暮れ近くになってとりあえず思った形で動かせるようになりました。ケイタイ君は、この仕組みをベースにしたものです。

携帯のビジネス利用が進めば、パソコンの販売が減る可能性もあります。御社は仮想化ビジネスにも積極的ですが、これもサーバー販売にはマイナスの影響が出ます。

 時代の流れです。マイクロソフトが開発したWindows Server 2008の機能強化の目玉も仮想化です。こういった現実を無視してすべきではありません。

 もし、利益率が高いからといってオフコンにずっとしがみついてたら今の大塚商会はないんです。当社はかなり早い時点でノベルのNetWareを導入して、社内で悩みながら使ったことが、パソコンビジネスの拡大に役立ちました。

 もっとも携帯のビジネスは、まだ取っ掛かりというところでしょう。今の大きさでできることには限界があります。

 ただ来年以降になるとWiMAXが出てきます。こういった技術革新が何をもたらすのか、注視しなければならない。次世代の携帯と光回線を含めた通信関連の技術もある。NGNもサービスインします。一つの技術にとらわれることなく、いろいろな可能性を考えながらソリューションにつなげていければ良いですね。

数字で経営状況を把握している姿が印象的です。

 セクション単位でいうと地区、部門、あるいは見込みの出方や受注残の状況、社員数なら、正社員だけでなく派遣社員などを含めた総数などを把握しています。それから全体の粗利率と経費の伸長率、経費については人件費とそれ以外に分けて見ています。

 社内予算を組む過程で、こういった考え方を反映しています。もちろん、売り上げは達成できても粗利が無理だったといったことはあります。経費伸長の方が粗利伸長より高いことも月次ではあり得る。在庫や売掛金を含め、基本的には月次の伸長で追いかけていますね。

最後に最も重視する経営指標をお尋ねします。

 端的に言えば日経平均株価。これがどう上がってくれるかです。市場の雰囲気をそのまま反映しますから。政府も、もう少し上がっていくような雰囲気を出す施策を打ってほしいですね(笑)。

大塚商会 代表取締役社長
大塚 裕司(おおつか・ゆうじ)氏
1954年生まれ。1976年立教大学経済学部卒業後、横浜銀行入社。80年同行を退社しリコー入社。81年にリコーを退社し大塚商会に入社、92年取締役経営計画室室長、バーズ情報科学研究所役員に就任。93年大塚商会常務、OSK代表取締役社長に就任。94年に専務、95年代表取締役副社長を経て、2001年取締役社長(代表取締役)に就任。

(聞き手は,中村 建助=日経ソリューションビジネス編集長,取材日:2008年2月18日)