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【前編】光ファイバを核に将来を模索,我々はオールIP網を構築済み

関西地方でFTTHサービスを展開する関西電力子会社のケイ・オプティコム。NTT西日本やCATV事業者との競争が激化する中で,契約数を着実に伸ばしており,その存在感は増している。KDDIによる中部電力子会社買収など,電力系通信事業者を取り巻く環境があわただしく変わる中で,光ファイバ事業の現状や企業向けサービスなどを田邉忠夫社長に聞いた。

関西のFTTHサービスは,NTT西日本やCATV事業者との競争が激しいと聞く。現状のビジネスの状況は。

 当社のFTTHサービスの2008年1月末の契約数は65万3000件。2007年度の努力目標を68万件と設定しているが,どうやらこれを達成できそうだ。

 FTTHの世帯普及率は全国が21%(総務省の統計調査を基にケイ・オプティコムが算定,以下同)なのに対して,関西は25%に達している。これはNTT西日本やCATV事業者と良い意味の競争があるからだろう。

 ただし,我々は商品面で優位に立っていると思う。電話のサービスは,ボイス・アダプタのリース料の300円を取るだけで基本料金は無料,eo光電話のユーザー同士なら通話は無料になる。さらにCATV方式による映像配信を手がけており,映像の美しさの点でも優位性があると思う。現状のトリプルプレイ・サービスはまだ通用すると考えている。

FTTHの需要は今後どうなると予測しているのか。

田邉 忠夫(たなべ・ただお)氏
写真:柳生 貴也

 直近の契約数の伸びは年間16万増を達成している。しばらくはこのペースで直線的に増加するが,2011年ごろから鈍化するのではと予想している。

 もちろん,今後もユーザーのブロードバンド志向は変わらないだろう。しかし,中にはADSLでも構わないというユーザーも多い。すべてのブロードバンド・ユーザーがFTTHに移行しないと,いずれ伸びは止まる。

 そうした状態になっても,社員のモチベーションを維持するためにも企業は右肩上がりの成長を維持しなければならない。ただしM&A(企業の買収・合併)は我々の能力を超えている。

 そうなると,光ファイバを基に次に何に乗り出すのかを考えておかなければならない。我々のコア技術は,あくまでも光ファイバだからだ。伸びているうちに次に何をするのかについて,早急にプロジェクト・チームを組んで社内で議論していくつもりだ。

NTT東西がNGN(次世代ネットワーク)の商用サービスを開始する。今後のサービス展開への影響をどう見ているのか。

 NGNそのものは怖いとは思っていない。当社は,オールIP網を一から構築しており,交換機などのレガシーな設備はほとんどない。つまり我々は既に“次世代ネットワーク”を持っている。

 ただ,NTTが大きなネットワークを作って囲い込みを始めたら,そこでビジネスをするISP(インターネット接続業者)やASP (application service provider)が引き寄せられていく。そうなると,我々は見向きもされなくなるのではという懸念はある。

企業向けのサービス展開で,特に重点を置いていることは。

 企業向けで重点を置いているのは,ソリューション営業だ。今までだと,ソリューション部門が営業担当に依頼されてから,お客様に解決法を提案してきた。今後はさらに一歩踏み込んで,我々自身がソリューションを開発することにした。

 このために,2007年8月にソリューション担当を営業と社内でソリューションを開発する二つの組織に分けた。ソリューション部門は約30人で,このうち営業が20人,開発が10人という体制だ。

 また,9番目となる新データ・センターを大阪・心斎橋に建設しており,今年7月にオープンさせる。これを,ソリューション営業の目玉にしたいと考えている。データ・センターは,コロケーションやハウジングなど,顧客のニーズに対してきめ細かな対応ができる。中小企業に向けてSaaS(software as a service)の提供も可能になる。

 さらにユーザー企業がモバイル・セントレックスを取り入れたいというニーズが高いので,それに応えていく。当社自身も既に携帯電話で内線と外線を利用しており,それを見てもらうことも可能だ。

「イーサネットVPNワイド」を2007年8月から開始した。これは関西だけでなく,全国で利用できるサービスだが。

 イーサネットVPNワイドは人気が高く,既にかなりの数の受注がある。

 現在,KDDIと組んで全国で仕事をしているが,イーサネットVPNワイドを提供することで「当社自身がイーサネットVPNを全国で提供できます」と言えるようになった。

>>後編 

ケイ・オプティコム 代表取締役社長
田邉 忠夫(たなべ・ただお)氏
1940年生まれ。兵庫県出身。姫路工業大学工学部電気工学科卒業。63年4月に関西電力入社。85年 6月に東海支社次長,91年6月に情報企画部長,97年6月取締役情報通信室長に就任。2000年6月取締役経営改革IT本部副本部長,同年11月にケイ・オプティコム代表取締役社長。2001年4月に関西どっとコム代表取締役社長兼務。趣味は園芸。

(聞き手は,松本 敏明=日経コミュニケーション編集長,取材日:2008年2月19日)