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会員のつながり強みに,ケータイとクチコミで広告事業を拡大

SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の日本最大手であるミクシィは、1000万人の大台を突破したユーザー規模とPV(ページビュー)の多さを生かしたバナー広告や、「公認コミュニティ」などの広告事業を展開している。2007年9月にはバイラル動画広告にも着手した。代表取締役社長の笠原氏に、「mixi」における今後の事業展開を聞いた。

2007年10月1日にmixiのデザインを大幅リニューアルしたが、その狙いは。

 ユーザビリティ改善のためです。動画や音楽配信といった新機能のためのボタンなどもつけました。日記やコミュニティへのアクセスは多いのですが、動画や音楽などの新しいサービスはまだ利用度が高くないため、ボタンを表示することで利用を促進する意図がありました。それにより、サイト滞在時間を長くする狙いがあります。また、以前のメニューバーではデザイン的に新メニューを増やすことができなくなっていましたが、新しいデザインでもっと増やせるようになりました。

どんな新サービスを計画し、どのようなSNSになろうとしているのか。

 mixiは開始当初からメールやメッセンジャーのようなコミュニケーションのインフラ的存在を目指してきました。写真や動画、音楽などの機能を拡充してきたのは、テキスト以外のリッチコミュニケーションも必要だと考えたからです。

 今後は、ユーザー同士がつながっているというmixiの特性を生かしながら、コミュニケーションにとどまらず、ネット上のサービスのインフラにもなっていきたいと考えています。その結果として、ポータルサイトに近くなる可能性があります。

 例えば、新しいサービスとしては物販も考えており、ユーザー間の取引などを含めて検討中です。レコメンド(推薦)的な機能の追加も考えていて、その機能を活用することで広告のプッシュもできるようになると思っています。さらにケータイ向けでは、ゲームをはじめとしたコンテンツサービスを検討していて、早期に開始したいと考えています。

ほかのソーシャルメディアとの違い、企業のマーケッターにとってのmixiとは。

 同じSNSである「モバゲータウン」とは、ユーザーの年齢層が違います。mixiは18歳以上の人たちが集う場ですが、モバゲーはもう少し年齢層が低い。また、モバゲーは会員が直接会うことのない仮想的な場ですが、mixiは現実社会にひも付いたリアルなコミュニケーションという違いがあります。

 また、ブログと比べると双方向性のコミュニケーションが簡単にできます。ブログでは、誰もがコメントを書けるわけではありません。mixiにはもともとコミュニティという場があって、自分の趣味とか関心を基にコミュニケーションする流れが出来上がっています。気軽にコメントも書き込めるmixiの方が、クチコミが広がりやすいわけです。

 mixiについては、「ユーザー数が1100万人以上(2007年10月時点)で、トレンドに敏感な購買意欲や情報発信力が高い若者が多く、パソコンもモバイルも使えて、クチコミが起こるサイト」ととらえてもらえばいいと思います。

ユーザー規模を生かした広告事業では、どの分野に力を入れていくのか。

笠原 健治(かさはら・けんじ)氏
写真:山田愼二

 今後は、ターゲティング広告、モバイル広告、動画を含めたクチコミ系広告の強化を考えています。

 mixiでは、プロフィールの年齢、性別、現住所ごとにターゲティング広告を表示しています。ユーザーは人の紹介で入ってくるので、性別などを偽っているケースはあまりなく、精度は相当高いと考えています。mixiのパソコン向けのバナー広告では、ランダム枠に比べてターゲティング枠のニーズが高まる傾向にあります。

 ケータイ向けでもターゲティング広告枠を作る予定で、より一層の伸びが期待できます。タイアップ広告もしていなかったのですが、今後強化していく予定です。第1弾として『世界柔道』の公認ケータイコミュニティを作り、まずまずの反応がありました。

 さらに、ミクシィ自体がバイラル的というか、情報発信をするためのサービスでもある。そのユーザーが起こしているコミュニケーションの流れに、うまく広告主の商品を載せることができないか、そういう取り組みを強化していきたいと考えています。

バイラルマーケティングの現状は。

 企業のバイラルマーケティングのベースとなる公認コミュニティに関しては、これまでも数十~百件くらい取り組んできています。こうしたコミュニティから生まれた新製品もあります。例えば、味やパッケージなどについてユーザーから意見を集めて開発したカップめんが、12月10日にエースコックから発売される予定です。

編集部注)2007年12月10日に予定通り発売。両社は第二弾となる取り組みを既 に発表している(関連記事1関連記事2)。

 コミュニティ運営に関しては、どうすれば盛り上がるのか、炎上してしまうのかなどについてコンサルティング、アドバイスをしています。例えば“荒らし”の相手をしたり、ミスをした時に謝罪しなかったりすると炎上してしまう傾向にあるなどです。

 バイラル動画広告の第1弾としては、9月に『ファンタスティック・フォー』という映画を取り上げました。映画の動画広告を見ることができ、日記に張れるようにしたものです。クライアントも「反応は上々」と満足していました。

ケータイにはどの程度、力を入れていくのか。

 mixiでは2006年後半くらいからケータイ向けのサービスを強化しており、使い勝手がかなり良くなってきたため、潜在的に使いたいと考えていた層が一気に使いだしています。現状、パソコンとモバイルからの利用の割合は半々くらいになってきました。モバイルの伸びがパソコンを上回っています。

 ビジネス的には、パソコンもモバイルも同じくらい可能性があると思います。広告収入の割合は、現時点でモバイル2割に対して、パソコンが8割という状態で、モバイルの割合が高まってきています。パソコン向けでは、オーバーチュアと組んで検索連動広告とコンテンツ連動型広告を展開していますが、ケータイではこれらの広告をまだ行っていません。これも他社と一緒にやっていき、それほど遠くないうちに実現する可能性があります。

どの程度の規模まで拡大できると見ているか。

 今後は、滞在時間を増やして、多くの人に多くの時間使われるサービスにしていきたい。ユーザー数としては、2000万~3000万人くらいまで行けると考えています。既に日本の20歳代の人の50%くらいは入っていますが、この年代でももう少し伸びる。また、海外のSNSはユーザーの年齢が高いので、少し上の年齢層も取り込めるのではないかと考えています。このほかに、中国などへの海外進出も検討しているところです。

ミクシィ 代表取締役社長
笠原 健治(かさはら・けんじ)氏
1975年生まれ。1997年東京大学経済学部在学中にデジタル系求人サイト「Find Job!」を開設して運営開始。1999年ミクシィの前身となるイー・マーキュリーを設立し、代表取締役社長に就任。2004年2月に「mixi」の運営開始。イー・マーキュリーは2006年2月に社名をミクシィに変更。同年9月に東証マザーズ上場。

(聞き手は,渡辺 博則=日経ネットマーケティング編集長,取材日:2007年10月5日)