PR
【前編】メインフレームは必ず生き残る,10年後に戦略の正しさを証明

米IBMが2月26日に全世界に向けて出荷を始めた新型メインフレーム「IBM System z10」は、オープン系サーバーの代替を狙った新製品だ。米IBMでハードウエア製品を統括するビル・ザイトラー氏は、こうした他のプラットフォームの資産を取り込む“オープン化”がメインフレームの生命線と語り、ハイエンド市場での競合優位の維持に自信を覗かせた。

3年ぶりに新型メインフレームの出荷が始まりました。今回は4.4GHzで動作するクアッドコアのCPUを搭載するなど、処理能力の向上にポイントがあるようですが。

 2000年以降、ユーザーによってさまざまなタイプの機能が求められ、zシリーズは次々とオープン系の特徴を取り込んできた経緯があります。

 例えばLinux、Java、Webアプリケーション・サーバーの「WebSphere」などを動作できるようにしてきました。これにより、複数のUNIXサーバーなどをメインフレームへ集約する事例が増え、メインフレームでもオープン系の処理を高速化したいというニーズが高まってきたわけです。

 用途が多様化するにつれ、処理能力に対する要求が高まってきました。そこで、CPUの能力アップを図ったのです。

 z10では新設計のCPUを搭載しています。そこでは、当社のUNIXサーバーなどで使用するPOWER6の開発で得た技術を反映させています。Javaの処理や浮動小数点演算の高速化などです。

 もちろん、もともとメインフレームが得意としていたトランザクションや入出力の処理も向上させています。そうした強みを生かしながら、新しい用途に適用可能にしていくということです。その組み合わせによって、かなりユニークな機能が提供できるようになりました。

Linuxに続きSolarisも動作可能に

オープン系サーバーを代替するための機能拡張という話を聞くと、90年代半ばのOS/390を思い出します。「UNIXサービス」という機能によってUNIXアプリケーションをメインフレーム上で動作可能にしました。あのときの“オープン化”がその後のメインフレームの戦略を決定付けたように思います。

ビル・ザイトラー氏
写真:中島 正之

 まさにおっしゃる通りです。IBM社内において、どこまでメインフレームを“オープン化”していくかについては、かなり議論がありました。2000年前後にも同様の議論があり、特にLinuxを動作可能にするべきかどうかなどは大きな問題になりました。その結果、Linuxに対してもオープン化しようと決まったわけです。

 その後もさまざまなソフトが動作するようにオープン化を進め、ついには(メインフレーム対抗の最右翼であった、サン・マイクロシステムズ製OSの)Solarisさえ動作可能にしたということです。こうした戦略には社内でも異論がありましたが、大変重要な決定であったと考えています。

 プラットフォームをオープンにしてきたことで、多くの顧客にとって選択肢として適切だと評価されているのだと思います。それによって今、市場で新たな地位を占めるに至ったわけです。

それでも、メインフレームからUNIXサーバーに移行したユーザーなどが、もう一度メインフレームに戻るというのは考えにくいのですが。

 現状、すべての人を満足させることができるプラットフォームはありません。私たちはさまざまなプラットフォームのベストな使い方を知っており、ベストな部分を提供することができる。もちろん顧客によって、UNIXサーバーが適切だと言われる方もいますし、やっぱりメインフレームのほうがいいという方もいるのです。

IBMはすべての選択肢を提供する

 メインフレームのユーザーでも、顧客にとって理にかなうほかの選択肢があれば、UNIXサーバーやIAサーバーに移ってもよいと思います。私たちもUNIXサーバーへの移行とか、あるいはIAサーバーへの移行をお手伝いさせていただいています。

 そうしたなかでzシリーズがどこに位置付けられるかというと、やはり大規模な、戦略的なシステムであるわけです。そういう顧客がほかのプラットフォームに移行したケースはあまり聞きません。

 私もこの仕事に携わって長いですが、移行プログラムがあるのは当然ではないでしょうか。確かに、ヒューレット・パッカード(HP)などは、ことあるごとにメインフレームの代替キャンペーンを実施していますが、ことさら反応することはありません。いたって普通の動きだと受け止めています。

>>後編 

米IBM IBMシステムズ&テクノロジー・グループ担当 シニア・バイス・プレジデント
ビル・ザイトラー氏
1969年、IBM入社。営業・サービス部門やソフトウエア・マーケティング部門でマネジメント職を歴任し、オフコンの「AS/400」、およびエンタープライズ・サーバーのゼネラル・マネージャーを務めた。2000年9月、IBMサーバー・グループのシニア・バイス・プレジデント兼グループ・エグゼクティブに就任。マイクロエレクトロニクス事業部をはじめ、すべてのハードウエアに対する責任を負う。

(聞き手は,桔梗原 富夫=日経コンピュータ編集長,取材日:2008年2月26日)