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構造改革で市場を開拓,NECグループの先兵となる

NECグループ5社が合併して誕生した経緯を、ITのコモディティ化が原因と分析。社内外から探した優れたソリューションで、NEC本体を支援するほか、中堅・中小企業に積極的に売り込んでいく。現在は構造改革の「産みの苦しみ」を経験している最中だが、渕上社長にくじける様子はない。2010年度には連結売上高で2000億円、営業利益で100億円を目指す。

2006年6月の社長就任以来、大胆に構造改革を進めていらっしゃいます。

 当社の社員数は2800人で、営業担当者は700人くらいです。これまでNECグループが弱かった中堅・中小企業と取引しようと考えたとき、一番近いところでビジネスできるのが当社です。これをさらに推し進めようとすると、今までの営業スタイルではうまくいかない。

 企業の規模によって、営業の振る舞い方は違うんです。そこで、規模別にマーケットを三つに分けて、これに合わせた組織に変えました。

 一つは年商500億円以上のお客様。2番目は100億~500億円。第3番目は100億円以下です。今までは規模に関係なく業種別に組織を分けていました。

そこまで踏み切った理由は?

 単なるNECの子会社ではなく、NECネクサソリューションズとしてのアイデンティティをはっきりさせようということです。当社がなぜNECグループに必要なのかを明確に示そうということでもあります。

 もともとがNECのグループ会社5社が合併せざるを得なくなったのは、ITのコモディティ化が原因です。以前は各社がそれぞれの持ち味を持てたのですが、これができなくなった。二度とこういった事態に陥ってはならない。

 Web2.0が実体化していく中で、状況はさらに厳しくなっています。既存のソフトウエアビジネスが成立しなくなる可能性がある。他人事ではないんです。

 ハード価格の下落は止まらない、当社のビジネスの内、4割がハード販売です。以前はハードの売り上げが減っている分を、SIとアウトソーシングのビジネス拡大と人員削減でカバーしていたのですが、これにも限界がある。現在は成長路線です。

構造改革で期待しているのはどの分野ですか。

 規模だけで言えば大企業で、2番目が中堅、3番目が中小の市場になります。規模でいうと1対0.5対0.1といった感じでしょうか。

 ただ成長率で見るときれいに逆転します。大企業の市場は成長率が一番低い。年間で5~10%というところでしょう。中堅の市場なら年間で2倍、中小の市場は3~4倍に増やせる可能性があります。

NECグループ内でのすみ分けが難しそうです。

 当社はNECの100%子会社ですから、1番目の市場はNEC本体が営業します。ここでは基本的にNECの営業を支援する。

 2番目の中堅規模については、GRANDITやNECのEXPLANNERといったERP(統合基幹業務システム)で攻め込みます。マイクロソフトのDynamicsを売るかもしれません。

 この市場ではキーアカウントを決めて、情報系しか実績がなければ基幹系システムを売り込む。基幹系のお客様であれば、アウトソーシングまで請け負う方針です。

 最も小規模な、中小企業の市場については、営業の高効率化を進めていきます。既に本社内に「お客様センター」を作って、DMや電話セールスなどを実施しています。

 現在、東京・大阪・名古屋を合計すると、年間で300回くらいお客様をお招きしています。ここで実際にソリューションを体験したり、セミナーを受講したりしてもらって、何度目の商談で判断していただく仕組みを整えました。

どうやってNEC本体を支援しますか。

渕上 岩雄(ふちがみ・いわお氏)
写真・柳生 貴也

 当社ならではの得意技を持つことが重要です。

 ご存じかどうか、当社は日本で最大のNotesディーラーなんですよ。ユーザーはグループウエアのNotesが好きだから使っているのです。(競合である)日本IBMの製品を扱うかどうかではなく、扱ってなかったらNECグループのお客が増えないということが重要なのです。

 良いと思えば、グループの製品にはこだわりません。SAPジャパンの中小規模向けERPソフト(統合基幹業務システム)であるBusiness One(B-One)を国内で最も販売しているのは当社です。ソフトブレーンのeセールスマネージャーも扱っています。オープンソース・ソフトについてもNECや米国のスパイクソースと協業して、新たな試みを実行していくつもりです。

自社開発の得意技はありますか。

 社内で、これはという特徴を持ったソリューションを、“とんがり”があるものはないかといって探した結果、80種類くらい見つかったのです。これらについてはPMP(プロダクト・マネジメント・アンド・プロデュース)制度というのを作って販売しています。

 基本的にPMP制度で取り上げた80のプロダクトに関しては、同時に売ることができたSIやハード、ネットワークなどがどうなっているか分かるようにしているんですよ。

 きっちりと始めたのは2007年4月からになります。その1年くらい前からウオーミングアップしていた時期もありました。

具体的な成果が出てきているそうです。

 CTIソリューションのBusinessViewがあります。以前は、「View工房」というパッケージとして当社の母体の1社であるNECビジネスシステムが展開していたものを基にしたものです。

 これが今ブレークしている。1500~2000席規模というNECビッグローブの次期コンタクトセンターで採用されました。今年5月から動きだす予定です。

 ClovernetというインターネットVPNのサービスもそうです。2007年3月の時点で当社は販売実績が1万台で市場シェア4位でした。この1年で約1万台を上乗せして、2位になりそうです。

 4年少し前に十数人で立ち上げたサービスで、3年以上かけて1万台を実現したわけです。元々の契約数が少ないものだから、毎年150~200パーセント伸びていて担当者は満足していたんですが、可能性はもっと大きかったわけです。

 この1年で何をしたかというと、NEC本体が売る仕組みを整えたのです。担当者から全社の“とんがり”に変えることで一気に開花しました。

具体的な経営目標をお聞きします。

 この5~6年、1200億から1300億円の間を行き来しているわけですが、2010年度には連結売上高で2000億円を実現したいですね。その次は3000億円です。売上高で2%弱の連結営業利益についても、5%の100億円に増やしたいと考えています。

業績面で構造改革の手応えはありますか。

 正直なところ、現在はかなり苦戦しています。

 2800人近い組織が、マインドを変えるのには時間がかかりますね。過去にないほど受注残を抱えているのですが、残念ながら実際の売り上げにつながっていません。

 これまで当社は、大きなSI案件に積極的ではなかったんですよ。4000万~5000万円くらいまでの規模にとどめていました。過去にトラブルをいくつか経験したことが理由です。

 ですが今は、事前のアセスメントを徹底させてリスクを回避した上で、10億円を超す規模の案件も獲得する方針に変えました。こうしたら売り上げ回収までの足が長くなった。計算外でした。

 それでも2008年度の上期が終わるまでには改革の成果が出てくると信じています。

NECネクサソリューションズ 代表取締役執行役員社長
渕上 岩雄(ふちがみ・いわお氏)
1946年生まれ。69年に大阪市立大学商学部を卒業し、71年に日本電気入社。95年第二流通・サービス業SI事業部長、2001年NECソリューションズ執行役員第三ソリューション営業事業本部長、04年執行役員常務、05年取締役執行役員常務、06年4月取締役執行役員専務、06年6月からNECネクサソリューションズ代表取締役執行役員社長。

(聞き手は,中村 建助=日経ソリューションビジネス編集長,取材日:2008年3月5日)