この1~2年で「ユニファイド・コミュニケーション」というキーワードを目にする機会が増えてきたが,その定義は様々だ。米ベライゾン・ビジネスのル・バスク ディレクターに,同氏が考えるユニファイド・コミュニケーションのあるべき姿を解説してもらった。(聞き手は山崎 洋一=日経コミュニケーション)
米ベライゾン・ビジネス ロバート・ル・バスク アジア太平洋コラボレーション・ソリューション担当ディレクター
この1~2年で「ユニファイド・コミュニケーション」というキーワードを目にする機会が増えてきたが,その定義は様々だ。米ベライゾン・ビジネスのル・バスク ディレクターに,同氏が考えるユニファイド・コミュニケーションのあるべき姿を解説してもらった。(聞き手は山崎 洋一=日経コミュニケーション)
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写真●米ベライゾン・ビジネスのロバート・ル・バスク アジア太平洋コラボレーション・ソリューション担当ディレクター [画像のクリックで拡大表示] |
最近「ユニファイド・コミュニケーション」というキーワードをよく聞くようになった。
我々は,ユニファイド・コミュニケーションは特定のソリューションや特定の製品を指すものではなく,企業のコミュニケーション手段をカバーするコンセプトだと考えている。
ひとくちに企業のコミュニケーションといっても,企業間,企業と顧客,企業と個人,企業内の部署同士など多様な形態があるが,これらは三つの技術で実現されている。一つは,会議や共同作業のためのコラボレーション技術。それから,企業内ネットワークの外から企業内にあるツールや情報にアクセスするためのモビリティ技術。そして三つめはセキュリティ技術だ。社内にある情報に外部からアクセスするには,セキュリティが確保されていなければならない。つまりアクセス制御やリスク管理の技術である。
企業はユニファイド・コミュニケーションを実践するにあたり,何から手をつければよいか。
ユニファイド・コミュニケーションは,企業のビジネス・プロセスを“進化”させていくためのものだ。そして戦略は企業によって違う。そのため,コラボレーションから着手するユーザー企業もいるし,ビジネスの目的によってはモビリティから手を付けるユーザー企業もいる。
例えば,「EDSオーストラリア」という企業はIPビデオのネットワークを導入して,オーストラリア,ニュージーランド,アジアに展開した。コミュニケーションを改善し,意思決定を早くすることで生産性を高めることが目的だ。社員の移動にともなう二酸化炭素の排出量を抑える狙いもある。この企業は,2010年までに二酸化炭素の排出量を25%削減するという目標を掲げている。IPビデオを導入することで,出張やそれに関連する活動を減らして,企業として社会的責任を果たすことを考えている。
また,ある自動車メーカーは高品質のビデオとデータによるコラボレーション・ツールを導入して,新車の研究開発コストを削減した。削減額は1億2000万ドルだったが,結果として競争力も高まった。研究開発期間を6カ月間短縮できたため,新車の市場投入が競合企業より早くなったからだ。ちなみに,当社と米マイクロソフトによる共同調査では,コラボレーション技術は上手に使えば使うほど,表面的には使っていることが分かりにくいということが判明した。
ベライゾン・ビジネスにユニファイド・コミュニケーションを実践したいと依頼すると,どういうサービスを提供してくれるのか。
当社には「Extended Enterprise」というコンセプト・モデルがある。このモデルは,企業は本社と拠点だけではないとの考え方に立つ。我々がユニファイド・コミュニケーションというときには,企業とパートナ企業,企業と顧客,企業と企業外のリモート環境にいる社員,企業とベンダーやサプライヤ,金融機関とのコミュニケーションも考慮する。つまり「企業と企業の情報を活用するすべての人々が,より効率的に業務ができるようにする」ことを目指す。
当社はまず,ユーザー企業のコア・ネットワークの内容と運用方法,それがどの程度効率的かといった点を評価する。それからユーザー企業のビジネス上の要求項目は何か,そのうちどの項目によりどのようなコミュニケーション・ツールを使いたいと望んでいるかを理解する。そのうえで,ユニファイド・コミュニケーションに基づくどの技術がユーザー企業にメリットをもたらすかを定義する。
導入した技術は企業にメリットをもたらすものであることが重要だ。我々はユーザー企業が進化していけるように,段階を踏んだプランを提示する。そして十分な技術が提供されて,ビジネスの要求項目が満たされるようにする。ただし,ある時点でユーザー企業の要求項目を満たせたとしても,変化が激しい時代なので要求項目も1~2年の間に変化していくものだ。
そしてユニファイド・コミュニケーションの大元になっているのは,ネットワークだ。ユニファイド・コミュニケーションで使う技術は,ネットワークの技術である。当社の強みは,IPネットワークをユーザーのニーズに応じて提供できること。ユーザー企業のネットワークをしっかり理解して,それをビジネスにメリットをもたらす形で使う方法を考えることができる。ネットワークが堅牢かつ高度であれば,コミュニケーション・ツールも高度なものを使える。
ユニファイド・コミュニケーションのメリットに対する理解が,ユーザー企業に浸透していない側面もあると思うが。
ユーザー企業の皆さんには,ユニファイド・コミュニケーションがもたらすメリットや価値として,二つをご理解いただければいいと思う。
一つは「スタッフ,なかでもナレッジ・ワーカーの生産性が向上する」ということ。ナレッジ・ワーカーは,複雑な問題の解決,または意思決定にまつわる重要なコミュニケーションをする社員だ。ナレッジ・ワーカーの生産性が向上すれば,企業として成果物の生産性が高まる。そして二つめのメリットは,ビジネス・プロセスの加速だ。これは競争力の向上につながる。
ユニファイド・コミュニケーションは,「企業戦略」のレベルから始めなくてはならないと思う。これを実践することでコミュニケーションの方法が変わり,情報の管理の仕方が変わり,そしてビジネス・プロセスが変わるからだ。
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