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 米IBMは,Linuxビジネスの領域を拡大し始めた。これまで力を入れてきたミッション・クリティカル領域から,中小企業向けやクライアント向けにも適用していく構えだ。IBMソフトウエア・グループのオープンソース・アンド・Linuxミドルウエア担当バイス・プレジデントのジェフ・スミス氏に 同社の戦略を聞いた。(聞き手は森側 真一=日経Linux)

――米国の企業ではLinuxの導入が進んでいるのか。
 いま,業務アプリケーションの最も重要なインフラとして使われてきている。ERPパッケージやCRMパッケージなどのインフラとして業種横断的に使われているのと,銀行や医療関係など業種に特化したアプリケーションのインフラとして使われているのと,両方がある。
 Linuxがコンスタントに伸び続けている理由は3つある。
 1つは,オープンスタンダードを志向するユーザーが増えていることだ。例えば,政府や教育機関で,特定のベンダーに依存するリスクを避けるために採用する傾向が高まっている。
 特にクライアントでのLinuxの利用が進んできた。ドキュメントのフォーマットとして標準のODFを採用しているクライアント・ソフトが重要視されている。
 2つめは,ハードウエアや関連ソフトウエアの組み合わせが柔軟なことを評価するユーザーがいることだ。金融系の企業に多い。
 最後は,コスト面での価値があること。特に流通系の企業がこれを重視している。Linuxはいまや成熟し,ローリスク,ローコストを実現できる域に達した。大企業が採用していることがその証しだ。

――なぜいまLinuxが伸びているのか。
 Linuxが成熟期に入ったのに加え,Linuxをサポートするサーバー機やミドルウエア,アプリケーションが増えてきたことが大きい。また,企業でLinuxの経験が蓄積してきたことや,Linuxを知っている学生が増えてきたことも,追い風になっている。
 いまやパソコンの利用形態は10年前と変わり,どんなパソコンでも同じようにインターネットのサービスを使えるようになってきた。企業も個人も,OSの選択が自由になってきた。
 さらに,エンドユーザーはOSを意識しなくてもよくなってきている。つまり,クラウド・コンピューティングでは,OSが何かを気にしないでよい。この領域でもLinuxの採用率が高まる。実際,IBMでもLinuxを多く使っている。エンドユーザーには見えないまま,Linuxが普及するわけだ。

――IBMはこれからLinuxに対してどういう戦略で進めるのか。
 まず,業務アプリケーションの領域に,一層適用を進める。特に,グリーンITやクラウド・コンピューティングへの取り組みに沿って,Linuxの役割は広まっていくだろう。
 新たな領域としては,中小企業向けの市場を開拓していく。そのために,アプライアンス製品を投入している。Lotus Foudationと呼ぶ,コラボレーション・ソフトのLotus Dominoをベースにしたアプライアンス製品だ。アプリケーションとミドルウエア,Linuxをセットにして,あらかじめ最適な設定を施している。IBMブランドで提供するよりも,サード・パーティ・ベンダーとの協力で進めていきたい。
 また,近い将来,クライアント側にもLinuxを広めていく。遅くても6月中には,Linuxで動作するオフィス・ソフトのLotus Symphonyを投入する。プレゼンテーション・ソフトや表計算,ワープロの機能を備え,ODFをサポートしている。
 我々は,顧客にとってWindowsが必要ならノウハウを提供できるが,オープンスタンダードでかつ柔軟な構成が取れるLinuxを気に入っている。今後とも力を入れていくのは間違いない。