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【後編】新サービスの開拓が使命,コンテンツ制作にもかかわる

>>前編 

家電向けのIPTVサービスでは「アクトビラ」,パソコン向けは「YouTube」や「ニコニコ動画」など,多チャンネルなら衛星放送やCATVというように動画の視聴には選択肢が存在する。

 様々な事業者が多様なサービスを展開するというのは,ビジネスモデルの確立の面で非常にプラスになる。ひかりTVの差異化のポイントとしては,帯域保証を前提とした地上デジタル放送のIP同時再送信,多チャンネル放送,VODなどがある。夏以降はカラオケなどリビングで家族で楽しめるサービスを提供していきたい。

 衛星放送やCATVとは競合せず,新しいユーザー層を掘り起こしている。4th MEDIAのユーザーにアンケート調査をしたところ,衛星放送やCATVのサービスを受けずに初めから4th MEDIAで多チャンネル放送のユーザーになった層が70%ぐらいいた。これは我々にとって驚きの数字だった。

 今後はひかりTVユーザーの意見を取り入れながら,ハイビジョン画質や双方向性を生かしたサービスを強化していくことになる。

 確かに商用NGNをインフラとして使う以上,品質や帯域保証を前面に押し出したい気持ちはある。ただサービスの特徴として打ち出すにはやや分かりにくいことも事実。ユーザーには双方向性を生かしたテレビ・ショッピングなど新サービスでひかりTVをアピールしていきたい。

コンテンツを充実させる具体的なプランは。

板東 浩二(ばんどう・こうじ)氏
写真:中野 和志

 コンテンツの充実は理想と現実のギャップが大きい。コンテンツは年齢層,性別,趣味,趣向によってニーズが違う。VOD・多チャンネルを生かすという面では,本来であればターゲット層別にコンテンツをそろえないといけない。ただしそれを実現するには費用がかかりすぎる。そこでまずは老若男女が魅力を感じるコンテンツをそろえたうえで,順次ターゲット別のコンテンツを充実させていく。

 コンテンツの調達については,流通するコンテンツを単に調達するだけではなく,新しいコンテンツを作り出す必要もある。海外への依存度を下げるのも不可欠だ。機会があれば資金面で協力するなど,日本のコンテンツ・ビジネス全体に投資を通じて積極的に関与していく。

 IPTVサービスの未来は,コンテンツ市場の広がりを伴わなければバラ色の世界を描けない。ユーザーのニーズを掘り起こし利用層を拡大していく過程で,日本のコンテンツ・ビジネス全体も成長するよう貢献をしなければと常々感じている。

 テレビ埼玉やテレビ神奈川など主に独立UHF局で放送した連続テレビドラマ「ネコナデ」への制作協力がその試金石だ。地上波で放送した後,我々のIPTVサービスで配信している。

プロバイダのトラフィック制限や有害サイト・フィルタリングなど,プロバイダを取り巻く環境が変化している。

 エリアによっては1%のユーザーが約50%の帯域を消費していたケースもあったことから,2003年にWinnyなどのP2Pトラフィックの制限に踏み切った。帯域制御を始めた当時は,ネットを中心に不満の声が上がった。

 ただふたを開けてみれば,総じて快適に使えるようになったという評価をいただいている。ユーザー離れを懸念する議論もあったが,結果的にほとんど減らなかった。

 有害サイトのフィルタリングは,不慣れなユーザーが知らない間に巻き込まれてしまうケースに対処するサービスだ。ユーザー層が広がった以上は必要なサービスだろう。以前から力を入れており,教育機関向けのプロバイダ・サービスのユーザー6000校のうち2割が「セーフティ」というフィルタリング・サービス付きコースに加入している。

プロバイダ事業は親会社であるNTTコミュニケーションズの「OCN」と競合する。OCNとはどう住み分けていくのか。

 インターネット接続事業者(ISP)として生き残るためには,運用面の効率化と独自色の確立が欠かせない。グループ企業である以上,新サービスの開発時に各種リソースや費用を共通化する格好でやっていきたい。独自色はIPTVサービスへの投資と人的リソースの集中で出していく。

 一部で値上げの動きがあるにせよ,2000年以降激化した価格競争は続いている。従業員1人当たりの生産性を一層向上させるなど,価格競争を勝ち抜くためのコスト削減努力はどのプロバイダにも負けないよう注力する。

 独自色の面では,やはりIPTVサービスを前面に押し出していく。その土壌を見てみると,現在プロバイダ・サービスのユーザー数は265万人で,うち120万がFTTHを使う。比率にして40%を超え,ここ1年以内には50%を超える見通しだ。高画質のIPTVサービスを受けられるFTTHユーザー比率の向上が鍵になる。

 ISPからブロードバンド・サービス・プロバイダ,すなわちBSPに生まれ変わるのがプロバイダ事業のグランドデザインだ。

NTTぷらら 代表取締役社長
板東 浩二(ばんどう・こうじ)氏
1977年に日本電信電話公社(現NTT)に入社。九州支社ISDN推進室長,長距離事業本部通信網システム部担当部長,マルチメディアビジネス開発部担当部長を経て,1998年7月に現職。趣味は読書,スポーツ観戦(格闘技全般,野球,ゴルフ),ヨガなど。

(聞き手は,松本 敏明=日経コミュニケーション編集長,取材日:2008年4月16日)