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【前編】ひかりTVの視聴は3年で110万人,IPTVのビジネスモデルを創出

NTTグループの新ビジネス開拓を手がけてきた老舗プロバイダ「ぷららネットワークス」が,「NTTぷらら」として3月に生まれ変わった。グループ3社の映像配信サービスを集約し,IPTVをキラー・アプリに育てる揺りかごの役割を与えられた。板東社長に,商用NGN(次世代ネットワーク)サービス「フレッツ 光ネクスト」の目玉となる「ひかりTV」と,その屋台骨となるプロバイダ事業の展望を聞いた。

2008年3月に「ぷららネットワークス」から「NTTぷらら」に社名を変更した。NTTグループ内での役割に変化は。

 社名変更は,3月にサービスを始めた「ひかりTV」がNTTグループのIPTVサービスであるということを明確にするためのもの。グループ内での役割自体は,1995年の会社設立以来変わってない。固定電話の収益が漸減する見通しの中で,新事業を開拓して新たな収入源を確保するという戦略は10年以上一貫している。

 目下の役割は大きく三つある。一つはIPTVサービスのビジネスモデルの確立,二つ目が新事業を醸成する組織のカルチャーの変革,三つ目が最先端の技術で上位レイヤーのサービスを構築できる人材の育成だ。

 2005年度から映像配信サービス「4th MEDIA」を手がけてきたが,IPTVサービスのビジネスモデルはまだ確立されていない。ひかりTVの損益分岐点は90万ユーザーから100万ユーザーの間にある。目標ユーザー数は今後3年間で110万人に据えた。計画達成までにIPTVサービスのビジネスモデルを確立して,さらになる新事業領域を切り開いていく。

 組織と人材については,新しいビジネスにふさわしい価値観やカルチャー,ワークスタイルがあると考え,その実現をバックアップする企業文化を作っていく。その文化の中で,小回りが効く事業者として最先端の技術やビジネスモデルを先取りしながら,新領域のビジネスを立ち上げられる人材を育てていくのが長期的な戦略となる。

「ひかりTV」のサービスを始める一方で,NGNの目玉とされていた地上デジタル放送のIP同時再送信は見送った。ひかりTVの滑り出しとIP同時再送信のサービス開始の見通しは。

板東 浩二(ばんどう・こうじ)氏
写真:中野 和志

 ひかりTVについては,当初見込んでいたユーザー数以上の申し込みがある。このため受信端末のセットトップ・ボックスの配送が滞っている。配送を含めてひかりTVの運営体制を強化して,極力早期に解消していきたい。

 商用NGNと既存のBフレッツの内訳を見ると,NGNのサービス提供エリアが東京・大阪などの一部地域であるため,まだBフレッツの新規ユーザーの申し込みが多い。帯域保証が可能という点で,NGNのエリアが拡大するのに合わせてひかりTVのサービス・エリアも広げていきたい。

 IP同時再送信のサービス開始の遅れは,主に手続き上の問題ととらえている。例えば再送信は県単位の配信となるが,地域によってはNTTの収容局が県をまたいでいる場合があり,NTT東西との調整が必要となっている。既に多くのテレビ事業者から再送信の同意を得ており,まだ詳細を詰めていない事業者からも大枠では理解を得られている。調整が済み次第,極力早期にサービスを提供したい(注:インタビュー後の5月9日,NTTぷららは東京都内でIP同時再送信を始めた)。

ひかりTVのサービスを提供する上で技術的な壁はあったのか。

 限られた時間の中で,IPTVの標準化と動作検証を並行して進める作業に骨を折った。IPTVの標準仕様はIPTVフォーラムで策定中だ。NTTぷららとしても仕様策定に参加しながら,可能な限り標準仕様に基づいたプラットフォームに仕上げる必要があった。

 一方で,フレッツ 光ネクストにネットワークをつなぎ込んで動作検証をしていた。こうした作業の両立は時間との戦いだった。

 これからは経済性のあるひかりTVインフラの構築が課題になる。特に都道府県ごとに用意する地上デジタル放送の再送信設備は,自前で構築しなくてはならない。

 まずは東京と大阪の2エリアで提供を始める計画だが,エリア展開を進める上で再送信設備はコストを抑えたものを導入していく。2008年度末には形が見えてくるだろう。その低コストなインフラをベースに,ユーザーの要望や環境の変化を見ながらIP同時再送信の提供エリアを拡大する予定だ。

>>後編 

NTTぷらら 代表取締役社長
板東 浩二(ばんどう・こうじ)氏
1977年に日本電信電話公社(現NTT)に入社。九州支社ISDN推進室長,長距離事業本部通信網システム部担当部長,マルチメディアビジネス開発部担当部長を経て,1998年7月に現職。趣味は読書,スポーツ観戦(格闘技全般,野球,ゴルフ),ヨガなど。

(聞き手は,松本 敏明=日経コミュニケーション編集長,取材日:2008年4月16日)