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木村茂夫 副社長 |
エーピーシー・ジャパンは、サーバー用UPS(無停電電源装置)で、国内で6割~7割のシェアを獲得している。今後はグリーンITの商談が増加するとにらみ、空調設備やラックなどとUPSを組み合わせた“ソリューション”として売り込んでいく考え。木村茂夫副社長兼ソリューション事業部長に、販売方針などを聞いた。
国内ではグリーンITへの関心が高まっている。
経済産業省が、2008年度に48億円をグリーンIT関連の技術開発に投じるなど、市場が急激に活発化している感じだ。
当社にとってもグリーンITはビジネスの好機になる。例えば、多数のブレードサーバーを設置しているデータセンターやマシンルームでは、消費電力の削減が課題となっている。このため、今までは地味な存在だった電源装置や空調設備の見直しが相次いでいる。
そこで今後は、UPS単体の販売よりも、UPSを中核に空調設備やラックなどを組み合わせたソリューションとして、データセンターやマシンルーム向けに拡販していく考えだ。
UPS単体の国内市場は年間550億円、ラックは120億円程度だろう。ソリューションとなると、市場は1000億円を超えると見る。
海外でのソリューションの実績はどうか。
既に海外ではグリーンITやブレードサーバーの浸透に伴い、エーピーシーのワールドワイドにおける売り上げの大半はソリューションだ。
実は国内でも2003年からソリューションとして売っていた。だが当時は“グリーンIT”というキーワードもなく、市場は盛り上がらなかった。
グリーンITは、こうした現状を変える大きなチャンスになる。パートナー企業と協業し、国内のソリューション事業を今までの約3倍に拡大したい。
国内向けには、どのような販売対策を考えているか。
当社には、UPS事業で培ったOEM(相手先ブランドによる生産)ビジネスのノウハウがある。これをソリューション事業にも応用したい。
UPSやラックまで自社製品として開発しているITベンダーは少ないので、積極的にOEMを仕掛けて当社の製品を扱ってもらえるようにする。現在のパートナー企業は約25社だが、さらに増やしていく。具体的な数字はいえないが、可能な限り増やしたい。
もちろん、パートナー企業に対するサポートは惜しまない。UPSをソリューションとして販売するには、UPS単体で販売する場合とは異なる知識が必要になる。データセンターやマシンルームなど設備の大きさや用途によって、UPSの規模や組み合わせを見積もる必要がある。
当社の製品は、モジュール形式になっており、組み合わせが容易だ。最低限の知識さえ身に付けてもらえれば、パートナー企業の営業担当者や技術者も販売できるだろう。