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写真 ガートナー ジャパンの小西氏
写真 ガートナー ジャパンの小西氏
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ガートナー ジャパンはCIO(最高情報責任者)やシステム部門長の支援サービス「エグゼクティブ プログラム(EXP)」をワールドワイドで展開している。日本のCIOやシステム部門の課題について、小西エグゼクティブ パートナーに聞いた。(聞き手は市嶋 洋平=日経コンピュータ)

日本のCIOやシステム部門長の置かれた立場は世界からみてどうか。

 経営や利用部門から見て、十分な機能を果たしているとは言えないケースが多い。その一方で今年は正念場となるだろう。

 ガートナーは日本を含む世界のCIOに「2008年にビジネス面で重視する項目」を聞いた。今年は日本で28人、世界で1500人以上のCIOから回答を得ている。その結果、やっと日本のCIOも「ビジネスプロセスの改善」をトップに挙げるようになった。昨年は4番目だった。グローバルでは05年から4年連続でトップであるのにもかかわらずだ。

 これは日本の経営陣や利用部門が、CIOやシステム部門長にビジネスプロセスの改善を相談したり要求するようになった証左とも言える。

その期待にこたえるには、何をどう変えるべきか。

 まずは意識の改革が必要だろう。ITをビジネスの価値に置き換えて説明できるようになることが必須だが、それ以前の状況も見られる。

 例えば、CIOがビジネス拡大ではなく合理化やコスト削減といった話ばかりする。これではダメだ。システム部門は利用部門から相談を受けても、忙しい忙しいといって一緒に考えようとしない。つまり全社のビジネスや利用部門と同じ立場に立とうとしていないのだ。

日本はCIOの役割や責任が不明確な面もある。

 そうだ。CFO(最高財務責任者)と比べてみてほしい。CFOの仕事は資金を調達して事業に役立てること。多くのCFOは主要な数値をおさえて行動し、その責務をまっとうしているだろう。CIOも同じだ。情報を調達して事業に生かさなくてはならない。それなのに、目標や効果が明確でないシステムにゴーを出したりする。会社全体のビジネスプロセスや情報、資金の流れを把握できる立場なのに、自ら地位を下げているようなものだ。

 キャリアパスも考え直す必要がある。日本は10年以上も前に刷新した基幹システムのご褒美でシステム部門長がCIOになったりする。CIOがIT側の課題をわかっていて、できない状態であればまだいい。明らかに課題があるのに、それをわからない理由がわからないというケースすらある。米国は経営側が3つなら3つの課題を出して、それができるかどうかでCIOを募って決める。