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小僧comの平松庚三代表取締役会長。会員同士のオフ会に出席することもあるという
小僧comの平松庚三代表取締役会長。会員同士のオフ会に出席することもあるという

 2007年12月のライブドアホールディングス(東京・港区)社長退任から半年余り、平松庚三氏は小僧com(こぞうこむ、東京・千代田区)会長として長年の夢だったという団塊世代向けのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)サイト「小僧com」の拡大に力を入れている。サイトと会社の名は「30、40はよちよち歩き、50、60は鼻垂れ小僧」という瀬戸内海のある島に伝わる言葉から取った。「私も60歳を過ぎてからさらに成長したという実感がある」と話す。

(聞き手は上木貴博=日経情報ストラテジー)

団塊向けSNSを立ち上げるまでの経緯を教えてください。

平松:ソニーで13年間働いてから、IDGコミュニケーションズやAOLジャパンなどで“雇われ社長”を務めてきました。そんな中でも、いつかは自分の会社を作りたいと思っていました。時折Outlook Expressにビジネスプランを記していたのですが、農業、宇宙、シニアという3つの分野が最終的に残りました。

 農業については今、必死に勉強中です。「第一次産業を大切にしない国はダメになる」というのが持論です。米国やイギリス、フランスも実は農業国なんです。最近では北海道から沖縄まで各地の農家に見学に行ったり、京都で知り合いの方に田植えを教わったりしています。まだ個人の趣味の域を越えませんが、いつか「農業の企業化」に取り組めたらと思っています。

 2つ目の宇宙はビジネスにするには資金がかかりすぎます。だから自分で行くことにしました。2009年1~3月に予定されている宇宙旅行に参加します。代金20万ドルを支払って訓練も受けています。一緒に飛ぶ仲間は世界中から集まった好奇心の強い連中です。安くはないけど、すごいネットワークができたと思いますよ。堀江(貴文ライブドア元社長)も宇宙に興味を持っていましたが、彼の場合はビジネスとしての関心だったみたいです。お互いに宇宙好きだったのは偶然ですね。
 
 残ったのがシニアです。僕は会員数3800万人というAARP(全米退職者協会)に入っていて、非常に積極的な米国のシニアを見てきました。「定年後」という響きだと何かが終わったような感じがしますけど、「人生の後半戦」ととらえて欲しいんですよ。野球だって、サッカーだって後半戦の方が楽しい。楽しく、豊かに、健康に、賢く。できれば地域や国に貢献しながら生きる。そんな人生の手伝いをできればというつもりなんです。

 ライブドアにいた2005年秋頃から、アクティブなシニアを囲い込むサービスについて勉強会を開いて可能性を探ってきました。小僧comを会社として設立したのは2006年2月。その年の12月で当時社長を務めていた弥生を辞めるつもりでしたが、思わぬことからライブドアの社長になりました。(昨年12月に満期終了にともない退任して)今年になってようやくフリーの身になったので小僧comにかかわれるようになったわけです。

SNSにはミクシィをはじめ、ずいぶんたくさんの競合があります。どのように差別化されていくのですか。

 規模ではなく質を追い求めていきたい。小僧comは設立当初から、経営者や専門家として一線で活躍しながらも、趣味などで自分の人生を思いっきり楽しんでいる50~60代の80数人の方たちにアドバイザリー・ボードとして参加してもらっています。彼らにお手本となってもらい、元気のある同世代を集めようと思ったのです。でも実際には同世代だけでなく、格好よく生きるシニアに憧れる30~40代にも会員層が広がってきました。そのため、会員の平均年齢は現在40代です。平均収入は同世代の倍以上あります。広告を出してくれる企業にとっても魅力的な会員層なわけです。

 現在の会員数6000人からこの秋に1万人、来年中に3万人という増加を見込んでいます。ただ、増えても数万人ぐらいがちょうどいいでしょう。規模が膨らみすぎると会員向けサービスとしての品質管理が困難になります。小僧comは実名で参加する人が多かったり、オフ会も頻繁に開かれたりという特徴があります。会員同士の交流が活発なんですね。そういう部分は大切にしていきたい。

ライブドアホールディングスの社長には前任者らの逮捕を受けて突然就任しました。ライブドアでの社長経験は小僧comでも生きていますか。

 ライブドアでの日々は「すばらしいアサインメントだった」と思っています。ヘッドハントされたわけでも、立候補したわけでもない、「出会い頭」としか表現できない就任でしたけれど、60歳を過ぎて人生で一番成長した時期でした。ライブドアはすごい会社でしたよ。騒動で営業担当者はずいぶん辞めてしまったけれど、エンジニアは反対にどんどん入社してきました。ウェブ2.0関連の技術には目を見張るものがありました。20~30代の若手社員からいろいろ教わりました。

 ITベンチャーの経営者ですから、当然株式の上場も目指しています。2011年ぐらいですね。サイバーエージェントの藤田(晋代表取締役社長)さん、楽天の三木谷(浩史代表取締役会長兼社長)さん、ngiグループの小池(聡代表執行役社長CEO )さんらはみんな年下ですが、目標でありライバルです。私自身、まだまだ小僧ですから。