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経営を支援する仕組みを提供,来期に売上高1000億円を目指す

今年4月、前任の森田直行氏から社長をバトンタッチした。これまでの基本方針は維持しながら、正確なデータを基に経営を支援するシステムや、データセンターの運用ノウハウを生かしたアウトソーシングサービスなどで、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)ならではの強みを前面に打ち出していくという。まずは連結売上高で1000億円を目指す。

新社長としての抱負をお聞きします。

 KCCSは1995年に京セラから独立して誕生しました。これまで12年以上にわたって森田(直行氏)が社長を務めてきましたが、4月からバトンを受けたわけです。

 当社にはいわゆる情報システムを指すICTと、通信エンジニアリング、経営コンサルティングの三つの事業の柱があります。昨年ぐらいからは、通信エンジニアリングとICTが融合した事業も展開できるようになってきました。

 これからは、ICTと通信エンジニアリングが重なり合う部分をさらに広げて、大きな事業にしていきたいですね。

社長としての経営方針は固まりましたか。

 実はKCCSには、21世紀にどう行動すべきかをまとめた「21世紀経営戦略」があります。当社のビジョンと事業ドメイン、目指していく企業風土や具体的施策、私たちのとらえる社会貢献と施策、の四つの項目を中心にしたものです。

とはいえ、21世紀ももう8年目です。

 確かに、当社を取り巻く事業環境は変わってきました。ICTや通信の世界でも、放送との融合が進んでいます。2011年には、放送も地上波デジタルへ完全移行します。さまざまな動きを踏まえて、21世紀経営戦略の内容を少し見直すつもりです。

 もっとも、今までの基本方針は堅持していきます。これまでのやり方で成長してきたわけですし、無理に小林色を出す必要もないでしょう。

2007年度の業績はどうでしたか。

 連結の売上高が884億円で税引き前利益が74億円です。増収増益は達成できました。ICTが全体の60.6%を占め、通信エンジニアリングが36.2%、経営コンサルティングが2.5%、残りがその他になります。

 売上高で見ると、通信エンジニアリング関係が大きく伸びましたね。ICTは残念ながら足踏みの状態でした。京セラ関連の売上高は全体の10~12%程度というところでしょう。

今期の見通しは?

 通信関係の伸びは少し落ちそうですが、ICTは2ケタ以上伸ばしていきます。2010年3月期には、連結売上高で1000億円を目指したいですね。

1000億円達成に向けての秘策はありますか。

 KCCSならではの強みが何になるのかをはっきりさせることでしょう。こんなことができる、ということを明確にお客様に打ち出していきます。

 当社は携帯向けをはじめとしたコンテンツ関係の開発から企業の基幹系システムの開発まで手掛けています。これらのすべてをお客様にしっかりと理解していただいているかというと、残念ながらそうではありません。

 KCCSは、いろいろなソリューションを手掛けているということで時々、驚かれることがあるんですよ。

これは、というソリューションというと何になりますか。

 いろいろありますが、一つはお客様の経営を支援する管理系のシステムではないかと思います。

 京セラの情報システム部門の時代から培ってきた、アメーバ経営(本誌注:社内を「アメーバ」という小規模な単位の組織に分割し、個別に損益を管理していく、経営の仕組みのこと。京セラで生まれた)を支援する仕組みです。単に業務を省力化、自動化するのではなく、経営者をはじめとするマネジメント層に、正しく現在の企業の姿を映し出す鏡のようなシステムを提供するのです。

鏡のように映し出すシステムですか。

小林 元夫(こばやし・もとお)氏
写真:柳生 貴也

 正しく企業の姿を映し出すためには、まず正確なデータを入力することです。間違ったデータをどんなに加工・分析しても、実際の姿を反映することはありません。内部統制を踏まえた考え方だといってもよいでしょう。

 レポーティング機能を含め、アメーバ経営を助けるための管理システムを商材の中核に据え、そこにコンプライアンスやセキュリティへの要望を満たせる仕組みを合わせて提案するのです。


J-SOXの適用開始もあり、追い風が吹きそうです。

 最近では、今後の景気について厳しい認識を持つ経営トップが増えています。単に社員の意識だけではなくて、日々の細かい業務まで含めた意識改革を求めている企業も多いのです。内部統制の支援だけでなく、こうした期待に応えられるソリューションプロバイダになろうと思います。


経営を支援するシステムといった場合、核になる製品は何でしょう。

 一つは、グループ会社のKCCSマネジメントコンサルティングで開発している「The Amoeba」というERP(統合基幹業務システム)パッケージです。コンプライアンス関連では、ID管理システムの「GreenOffice Directory」があります。

 セキュリティなら、変更コントロール関連の「Tripwire」、脆弱性・リスク管理システムやパッチ管理システムの「nCircle」、コンフィグレーション監査システムの「Ecora」などでしょうか。ほかにも、統合認証やクライアント検疫といったネットワーク関連のセキュリティを強化する、「NET BUREAU」のような製品もあります。

サービス事業で力を入れているものがありますか。

 当社のデータセンターを使うフルアウトソーシング・サービスです。これもお客様の選択肢として提案していきます。

 このほかに、2年前に立ち上げたコールセンター的な機能を持つICTサポートセンターを利用してもらうこともあるでしょう。お客様の質問に答えるだけでなく、何をお客様が求められているかを把握して、新たなサービスを展開できるといいですね。

データセンターを利用したサービスについては、携帯コンテンツのプロバイダ向け事業で培った経験を生かすことになります。

 データセンターで大量のデータを運用してきたノウハウを、基幹系システムでも生かしていこうということです。The Amoebaを利用されている場合はもちろん、手作りのお客様のシステムに関しても、24時間365日にわたってシステムを安全に運用できる、信頼性の高い環境を提供できます。

これらの事業でどの程度の成長を見込みますか。

 これから数年の間に1.5倍ぐらいには増やしたいですね。

 当社は、さまざまな通信料金の一括請求サービスである「グリーンネット」を手掛けており、1万3000社ほどの顧客がいます。大手企業も少なくありません。こうした顧客にも、積極的にソリューションを提案していきます。

ユーザー系のシステム子会社の中には、成長戦略を中々描けない企業も多いのですが、御社は違うようです。

 最近のIT業界では、連結売上高で3000億円を超えていないと大手ではないという見方があるようですが、私自身は連結売上高で1000億円を一つのステップだと考えています。これが実現できれば、自社に対する社員の見方も変わってくるはずです。

 これを実現した後に、IT業界の大手といわれる規模の世界が、目標になってくるのではないでしょうか。

(聞き手は,中村 建助=日経ソリューションビジネス編集長,取材日:2008年5月13日)

京セラ コミュニケーションシステム 代表取締役社長
小林 元夫(こばやし・もとお)氏
1978年、神戸大学経営学部を卒業し、同年に京セラに入社。91年、ドイツのKyocera Europe GmbHに出向、96年、ドイツより帰任し京セラコミュニケーションシステム(KCCS)に仕入れ商品事業部長として出向。2000年、IT商品統括事業本部本部長に就任しKCCSへ転籍。02年に取締役、06年に代表取締役専務。08年4月に代表取締役社長に就任。