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 世界各地に数多くのキャッシュ・サーバーを配置し,各種のコンテンツを効率よく配信するCDN(content delivery network)を手がけるアカマイ・テクノロジーズは,米アップルの「iTunes Store」をはじめ,数多くのWebサービスを下支えする存在として知られる。販売部門を統括するラザール・グレッグ ヴァイスプレジデントに事業の現状と今後の見通しを聞いた。

(聞き手は松元 秀樹=日経コミュニケーション



現在のアカマイのCDN分野でのシェアはどの程度か。

米アカマイ・テクノロジーズ ヴァイスプレジデント ラザール・グレッグ氏
米アカマイ・テクノロジーズ ヴァイスプレジデント ラザール・グレッグ氏
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 具体的な数値を出すことは難しい。CDN関連のキャッシュ・サービスを運営する無数の中小会社が存在するからだ。アカマイが1位であることは間違いないと確信している。

 あえて我々の最大のライバルを挙げるとすれば、顧客になり得る企業の中にある「Do It Yourselfでサイトを運営すれば十分」という意識だ。とはいえ,インターネット上で,CDNの重要性はさらに増していると考えている。動画や音楽をストリーミングで配信するだけでなく、Web経由でアプリケーションを配信するASP(application service provider)にアカマイのサービスが使われるなど用途は拡大している。

トップの地位を維持できる理由はどこにあるのか。

 まずは革新性。例えば、米国のスターバックスでは、店内で流している音楽を,無線LAN経由でiPhoneやパソコンにダウンロードできるサービスをしている。こうした特別なサービスを運営するためのアプリケーションを開発できる技術がある。380人のソフトウエア・エンジニアがこういったアプリケーションを開発している。

 人材による要素も大きい。米国カリフォルニア,英国ロンドン,日本など全世界で5カ所のカスタマ・サポート拠点を持っており,700人のセールス,マーケティング担当者が在籍している。

 顧客とは綿密な関係を築き,サービス運営の計画を共同で作り上げる。新製品を発売する際には,Webサイトに何百万ものユーザーが押し寄せることがある。こうした膨大なアクセスにも十分に耐えられるかを事前に検討する。

米アップルは7月11日にiPhone 3Gを発売し,新たにApp Store(関連記事)の運営も始めたが特別な対策をしたか。

 特別なことはしていない。アップルとは常に密接な連絡を取りながら,将来の見通しも含め,高い品質のサービスが提供できるような体制を整えている。

 アップルとは我々が創業してから10年間,よい関係を築いてきた。iTunesの音楽データ配信などで,アップルは我々と独占契約を結んでいる。iTunesのためには,複数のデータセンターを運営しており,世界のユーザーに高速配信できる体制を整えている。

 アップルは企業ブランドを重視する文化があり,品質の高い製品を提供してきた。インターネット配信サービスにおいても,品質を最優先しているはずだ。我々も,アップルの信頼を得られるようなサービスを構築してきた。

信頼性を高めるための施策は。

 アカマイのネットワークは止まらない。全世界に3万4000台のサーバーを設置しており,高度な分散処理をする仕組みを持っている。重要なアプリケーションを動かしているときには常に三つのルートを確保し,一つのルートに問題が起こっても,残りの2ルートで対処できるようにしている。地震が発生しても,海中ケーブルが船とぶつかって切れてしまっても,必ず配信できる。

 サーバーの処理能力や帯域は平均で毎年2倍の拡張をしている。それぞれサービスで扱うデータが大きくなっているだけでなく,新規の顧客も増えている。ここ数年は,全世界で毎年約300の新しい顧客を獲得している。

今後の重点項目は。

 従来は動画など,コンテンツ配信の安定性を確保することを重視してきた。今後は,よりレイヤーを上げたサービスを開発したい。例えば,IPアドレスを分析して,誰がどこからアクセスしているかを判断し,そのユーザーが求めている広告を配信するといったものだ。ASPによるWebアプリケーション配信の需要も増えており,サーバーの強化を継続していく。