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冲中一郎 社長
冲中一郎 社長

 2004年度から2007年度まで、4年連続で増収増益となった日本システムディベロップメント(NSD)。売上高営業利益率は20.0%で、業界水準の6.4%を大きく上回る(売上高100億円以上の企業164社の平均値。本誌「2007年度ソリューションプロバイダ業績ランキング」調べ)。  ただ今年に入って業界内では「金融特需が終わり、SIビジネスが厳しさを増す」との見方もある。NSDの冲中一郎社長に、今後のSIビジネスの見通しと取り組みについて聞いた。

前期に続いて07年度も営業利益率を高めている。

 メガバンクや信託銀行など得意先の開発案件が好調なのはもちろんだが、エンジニア単価を少しずつ上げてきたことが大きな理由だ。「当社のエンジニアの技術力を正当に評価してもらうため、顧客に粘り強く働きかけよう。好況の今が最大のチャンスだ」。社内にこう言い続けてきた。  社内のプロジェクト管理を強化してきたことも要因の一つである。見積もり金額が5000万円以上の開発案件については、経営陣も一緒になって受注前に厳しく審査している。

IT業界内には「ユーザーのシステム需要が一段落し、今後はシステム開発案件が大幅に減る」との声がある。

 そうした見方があることは承知している。ただ、現在進めている銀行のシステム統合案件は、道半ばといったところ。今後も、新しい金融サービスの提供に伴う開発案件がいくつも控えている。

 保険業界向けのシステム商談も本格化してきた。保険金の不払い問題対策などを進めるため、保険会社がIT投資を大幅に増やすからだ。当社についていえば、開発案件が急速に減るという指摘は当たらない。

 既存顧客とのビジネスは当社の売り上げの7割以上を占めており、当社のコアビジネスといえる存在になっている。もちろん、新規開拓もさらに強化していく。

昨年度に営業組織を大きく変えた。

 営業担当者を開発部門に移管し、営業と開発を一体化させた。こうすることで手離れのいいプロダクト販売にとどまらず、息の長い「ソリューションビジネス」にも拡大できると考えたからだ。

 具体的な成果も出てきている。例えば2008年4月には当社の営業担当者が主導し、丸紅インフォテックなど13社と「メールセキュリティ共同プロジェクト」を立ち上げた。情報漏洩防止や暗号化など個別に提供してきたセキュリティ製品を、顧客の要望に応じて組み合わせて一括提案し、受注することが目的だ。

 コンプライアンス(法令順守)意識が高まり、「社内を流れるメールを統制するために、統合的な対策を取りたい」というユーザー企業が増えてきた。1社で特定の商材をかつぐだけでは、こうした顧客ニーズに応えていくことはできない。

 得意分野が異なる企業が集まることで、受注獲得のチャンスが広がることに期待している。