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写真●エフルート代表取締役会長の佐藤崇氏(左),代表取締役社長の尾下順治氏
写真●エフルート代表取締役会長の佐藤崇氏(左),代表取締役社長の尾下順治氏
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 携帯電話向け検索エンジン「froute.jp」を運営するエフルートは2008年8月26日,社長交代の人事を行った。創業者で代表取締役社長の佐藤崇氏が代表取締役会長に,取締役副社長兼COOの尾下順治氏が代表取締役社長にそれぞれ就任(社長交代の人事を発表したブログ)。これを機に,海外へ進出するとともに,収益基盤の強化を急ぐという。突然だった今回の社長交代の舞台裏について,佐藤氏と尾下氏に聞いた。

(聞き手は,島田 昇=ITpro

テレビを超えられるメディアは携帯しかない

今回の社長交代の人事は急だった印象がある。

尾下 7月末から8月上旬にかけて海外視察を行った。検索を中心としたメディア事業を海外展開したいと考えていたためだ。中国ではモバイル専業のベンチャーが続々と登場しているが,まだ玉石混交で混とんとしている。

 一方,2009年5月期の決算で上場する計画のため,内部統制など社長業は極めて多忙。「佐藤は新しいビジネスを生み出す」「私は経営」というすでに今ある役割分担をさらに加速させる必要があると判断した。

 具体的には,佐藤会長には9月半ばからアジアあるいは北米の現地へ赴き,現地視察とサービス立ち上げの準備をしてもらう。佐藤が国内の経営を見なくなるわけではないが,主軸は私となり,さらなる経営基盤の強化を急ぐ。私から佐藤に提案した。

佐藤 急に見えるだろうが,事業の規模が大きくなる中で,その管理と併せてさらに走り続けなければならない。これまで,海外展開を含めた今後について,私も思案を重ねていた。モバイルメディア事業で8年の経験を持ち,現地でのマーケティングや戦略立案,開発からサービス立ち上げまでのすべてを1人でできる私が現地に赴くことが最良の策であると,尾下の提案を受け入れた。

 まずは現地の雑誌や本などに触れて,情報がどう流れているのかを確認する。その上で最低限の開発環境も整える。

iPhoneや超小型PCがブームになっており,これらが携帯電話によるネット利用の需要に食い込み始めている。さらに,依然として広告の市場規模もPCと比べて小さい。このままでは上場に向けて株主を集めづらいと感じていることが今回の海外進出の背景にあるのではないか。

尾下 そうではない。当社は徹底的にマス思考でメディアを作っている。なぜなら,携帯電話のメディアであればテレビを超えるメディアになると考えているからだ。

 iPhoneは小型PCでありその域を出ないし,PCは結局テレビを超えることができていない。一方,携帯電話は若年層からの支持が圧倒的に高く,彼ら彼女らは絶対に携帯電話を卒業しない。iPhoneや超小型PCが出てきても,ただハイブリッドユーザーになるだけだ。

 我々が海外に行けると思ったのは,この日本の傾向はアジアのどこでも同じだからだ。あとは我慢比べ。つまり,今は若年層が多いため広告メディアになりづらい携帯電話だが,彼ら彼女らが大人になれば,いずれはビジネスが成り立つ。それが広告モデルか課金モデルか電子商取引になるかはまだ分からないが,まずは人を集めてビジネスの基盤を固めることが先決だ。

佐藤 今の事業形態のままでもそれなりのシェアを取れるのは見えてきた。しかし,自分自身が周りから期待されていることはそういうことではないだろうと感じるようになってきた。今の殻の中でやるのではなく,未開のところへ出て行くことが,本来の私の使命なのではないかと。

 メディアはたくさんの人たちに影響を与えられることが最大の価値だ。日本で100万人に対して展開するサービスと,世界で100万人に対して展開するサービスとでは価値が違う。私としては後者の方が価値があると考えるし,それをやりたい。

 間違った認識を持ってもらいたくないのは,私は既存の事業に悪影響を及ぼすことのないプラスアルファを探しに行くということだ。一方,これまでの携帯電話の検索・メディア事業で得たノウハウの最も重要な部分はプラスアルファに生かせる。大枠だけを言えば,PCにあるものを,いかに端末などの進化に合わせて,何を移植していくかを選別すること。この見極めのノウハウは必ず生かせるし,具体的な戦術も多数ある。

具体的な今後のスケジュールは。

佐藤 11月末までには海外展開の具体的な戦略の方針を決めたい。

尾下 海外展開は今期内にサービスを開始し,来期からの収益化を考えている。

 これとは別に,まず,私の社長就任後の第一弾の施策として,9月上旬にある事業を買収する。9月内には自分たちのサービスをより多くのユーザーに提供できるプレイヤーと提携して,そこにサービスを提供する計画だ。

 確かに,今の携帯電話メディアにおける広告マーケットは小さく,1ユーザーあたりの収益性はまだまだ低い。ここだけを主戦場にするのではなく,海外展開を進める一方で,当社の積み上げたコンテンツとユーザーニーズが重なるところを着実に収益化していきたい。