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 情報システムの構成要素とその依存関係を管理する統合リポジトリ・データベースが,CMDB(Configuration Management Database)である。個々のIT運用ツールは,CMDBという共通リポジトリを介して連携する。CMDBは,IT運用のベスト・プラクティスであるITIL(IT Infrastructure Library)が描く運用スタイルの中核的な存在であり,運用管理ソフト・ベンダー各社が,それぞれのやり方でCMDBを製品に取り込んでいる。

 米Hewlett-Packardは,IT運用ソフト群「HP Software」(OpenViewおよびMercuryブランドを統合)において,単体として動作するCMDBソフト「HP Universal CMDB software」(旧Mercury製品)を用意している。各種のHP Softwareの統合リポジトリとして利用可能であるほか,他社製品など任意のリポジトリとの間でデータ連動する使い方が可能だ。ITproでは,Hewlett-PackardでUniversal CMDBのマーケティング責任者を務めるMahesh Kumar氏に,CMDBとITILの現状と今後を聞いた。

(聞き手は日川 佳三=ITpro


米Hewlett-PackardのBTO Software分野のWorldwide Marketing部門でDirectorを務めるMahesh Kumar氏
米Hewlett-PackardのBTO Software分野のWorldwide Marketing部門でDirectorを務めるMahesh Kumar氏
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CMDBを取り巻く状況を教えてほしい

 ITIL v3の登場によって,ITの運用におけるCMDBの役割,その期待度が,抜本的に変わった。

 従来,ITは,必要な情報が得られない/足りない状況で運用されてきた。例えば,ITの変更管理は,ITの詳細な構成要素を可視化することなく手探りで実施してきた。システムに何らかの問題が発生した際にシステムから隔離するプロセスに関しても,問題のログを可視化することなく,問題がエンドユーザーにどのような影響を及ぼしているのかを確認することもなく,ただシステムから上がってきたアラート情報だけを頼りに,問題個所をシステムから隔離してきた。

 このように,実際に管理者が1人だったとしても,ITに関して情報を持っているのは,別のシステムであったり別の担当者であったりする。情報の利用者と情報の所有者との間に,ギャップが存在するのだ。こうした問題があることを認識した上で,いつでも誰でも必要な情報にアクセスできる環境を作り上げることが,ITの運用には必要だ。

 このための解が,CMS(構成管理システム)が備える“Federation”(フェデレーション)機能である。フェデレーションとは,異なるシステム間,異なるレポジトリ・データベース間でデータをやり取りし,データ連携させる手法を指す。既存の情報システムや他社の運用管理ソフトなどから,IT運用にとって有益な情報を引っ張ってくるという使い方である。

 ITIL v2までは,そもそもCMDBに格納するデータの範囲が狭かったため,やろうと思えばCMDBを単一の物理データベースとして運用できた。このため,CMDBを単一のリポジトリDBとして捉えてきた。だが,ITIL v3では,CMDBで扱う領域が拡大したこともあり,単一DBでやることの限界を認識し,より多数のリポジトリを活用する仕組み,すなわちフェデレーションを指向した。これが現実的だった。

フェデレーションの詳細を教えてほしい

 IT運用とは分野が異なるが,Universal CMDBがIT運用の世界でやろうとしていることと概念イメージが似ている例として,旅行予約サイトの「Expedia.com」を紹介したい。Expedia.comは,エンド・ツー・エンド,すなわち,旅行に出発してから帰ってくるまでに必要となる各種の情報を,統合的に管理しているサイトである。

 Expedia.comでは,航空券,レンタカー,ホテルなど,それぞれ異なる個々のリポジトリ・データベースを動的に連携させ,コンテキスト(文脈)に合った情報を,その都度引っ張ってくる。例えば,旅行から帰る日付など,パラメータの1つを変更することにより,他のパラメータが連動して動的に変わる。飛行機の到着に合わせてレンタカーを借りる,といった連携が可能になる。

 これをIT運用に当てはめると,資産管理や問題管理など複数の運用プロセスが,単一のCMDBを経由して,CMDBや他リポジトリの情報の中から,それぞれの運用プロセスのコンテキストに合致した情報を得る,ということになる。ITIL v3が言うところの「Integrated CMDB」とは,まさにこうしたフェデレーションを指している。多種多様な情報ソースへのマッピングを実施し,データを連動させる。

 具体的なCMDB活用例を紹介しよう。運用している情報システムの性能が,日数が経過していくごとに劣化していき,ある時点で,しきい値を下回ったとする。こうした場合に,CMDB経由で構成変更管理ソフトから情報を収集し,いつの時点でシステムにどのような変更が加わったのかという情報を,問題管理ソフト「HP Problem Isolation software」に伝える。これにより,性能劣化の原因を探りやすくなる。

CMDBの製品実装を教えてほしい

 CMDBの中核ソフトは,以下の3製品となる。(1)「HP Universal CMDB software」は,CMDBそのものだ。これが各種ソフトから見た統合リポジトリとなる。(2)「HP Discovery and Dependency Mapping software」は,CMDBで管理するITの構成要素を発見/収集したり,構成要素同士の依存関係を定義する。(3)「HP CMS Federation SDK and federation adaptors」は,他のリポジトリをUniversal CMDBから利用可能にするアダプタを開発するキットである。

 Universal CMDBのアーキテクチャは,クエリー・ベースだ。CMDBを参照する個々のIT運用プロセスは,トポロジ・クエリー言語を用いてCMDBにアクセスする。CMDB側では,必要に応じ,フェデレーション・アダプタを介して他のリポジトリへと動的に問い合わせ,返ってきた結果を最終的にIT運用プロセスへと送り込む。CMDBの背後でどのようなデータにアクセスしていようと,IT運用プロセスからCMDBへは同一の手順でアクセス可能だ。