「Delphi」「JBuilder」などを擁する米ボーランド・ソフトウエア開発ツール部門のコードギアを買収した、データベース設計/開発ツールを開発・販売する米エンバカデロ・テクノロジーズ。2008年6月30日に買収を完了、7月15日に日本法人を設立した。独立系開発ツールベンダーが数少なくなった現在、同社の狙いは何か。ウェイン・ウィリアムズCEO(最高経営責任者)に聞いた(聞き手は二羽はるな=日経コンピュータ)。
コードギア買収の狙いは。
企業としての成長を持続するために必要だと判断したからだ。我々と補完関係にあるという意味で、コードギアはうってつけの相手だった。
補完関係には二つの意味がある。まずコードギアの買収により、システム開発で扱う基本である「データ」と「コード」の両面から開発者を支援できるようになることだ。今までエンバカデロは、主にデータベース設計/開発者向けにツールを提供してきた。その多くは、コードの開発者でもある。コードギアを買収したことで、開発者は同じベンダーからツールを入手できるようになる。
もう一つの補完関係は、地理的なものだ。エンバカデロは北南米に強力な直販部隊を持ち、総売上の70~75%を上げていた。しかし、それ以外の地域での販売は苦戦していた。一方、コードギアは北南米以外の地域での売上高が75%とグローバル展開に成功していたが、北南米でのビジネスは苦労していた。
コードギアとエンバカデロが一緒になれば、互いの強みを生かし、弱点を補完した形で世界でのビジネス展開できる。特にアジア、南米、東欧には販売拡大のチャンスがあると考えている。
合併の作業は順調に進んだか。
過去の経験と比べても、最も困難な作業だった。時間がかかっただけでなく、何度も「もうだめだ」とあきらめかけた。従来の合併でも3回くらいは「もうだめだ」と思ったが、今回は12回も頭をよぎった(笑)。
それでもあきらめずに、根気よく作業を続けた。コードギアと当社とは基本的な部分で補完関係にあると確信していたからだ。