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日常の買い物もネットで,“楽天経済圏”拡大を狙う

楽天が運営するEC(電子商取引)モール「楽天市場」が、景気低迷下においても成長を続けている。出店数は2万5000店舗を超え、2008年7~9月期の楽天市場事業の売上高は前年同期比で27.9%増の158億7000万円となった。ネットスーパー参入など、新たな試みも推進する。EC事業を担当する小林取締役常務執行役員に今後の戦略を聞いた。

この景気低迷の中、EC事業の業績はどのように推移しているか。

 結論から言うと、今はフォローの風になっている。今年前半から景気の雲行きが怪しくなり、お客様が何を考えているかアンケートをとった。そこで二つの話が出た。一つは、原油高になってガソリン代がかかるので家から出なくなったということ。もう一つは、不景気なので1円でも安くと消費を工夫しているという声だ。その二つをとっても、家にいて1円単位で価格検索ができるECの時代がやってきた。

 売り上げは全体的に伸びている。これに対しては、我々から仕掛けた面もある。消費者は1円でも安い方がよく、家からは出たくない傾向にある。しかし、送料がかかったら、ガソリン代がかかるのと一緒。そこで、送料無料キャンペーンを店舗と連携して実施した。例えば5000円買うと送料無料になるといった買い方を、楽天市場のサイトで露出していった。そうすると送料無料の買い物件数が40%もアップした。

午前中に注文すれば翌日に商品が届く「あす楽」のサービスを10月に開始した。その狙いは。

 ネットショッピングをしない人にその理由を聞くと「いつ届くか分からない」と言う。商品到着日を確定させるとニーズに応えられるのではないかと考え、その中で最も分かりやすい「明日届く」というサービスを作った。すぐに届く、「きょう楽」のようなサービスもそのうち実現したい。

 もともと、注文した翌日に届く店舗は意外と多かった。ただ、確実に届くとは宣言はできなかった。あす楽の開始当初は600店舗、5万~6万商品が対象だが、店舗の対応がこなれてくると翌日配達を確約できるところが増えるだろう。あす楽は日用品にもジャンルを広げたので、トイレットペーパーも明日届く。そこだけで奥様のニーズに応えられる。

 ただ、商品の在庫・出荷の処理能力が天井に来ている店舗もある。翌日配達が難しい店舗には、物流面での支援をしていく。いくつかの店舗で支援を始めたが、売り上げは飛躍的に伸びている。

三木谷浩史代表取締役会長兼社長は、スーパーマーケットを置き換えるといった趣旨の発言をしている。

小林 正忠(こばやし・まさただ)氏
撮影:山田 愼二

 ユーザーニーズを満たすためには、スーパーをネット上に置くのは必要。我々がやらないといけない。

 ECは地方特産品などをお取り寄せする“非日常の買い物”だったものが、今日・明日必要な物を購入する“日常の買い物”になっている。例えば、2000年まで客単価(1回当たりの購入金額)は1万2000円だったが、今は8000円。顧客のすそ野が広がり、安い物も買うようになった。

 ただ、今晩のおかずとなれば、あす楽ではだめで、そこはネットスーパーになる。子供を学校に送った後に、公園でケータイから注文できる。既に(連結子会社化した)ネッツ・パートナーズで紀ノ国屋やマルエツと組んで「食卓.jp」を展開している。関西や都内に店舗を持つスーパーとも契約直前で、引き合いが増えていくと思う。

 ただし、まだスーパーのリアル店舗のオプションとしてやっている段階。店舗から出荷できるキャパシティ(件数)が制約になっている。例えば、マルエツのビジネスは年商3000億円だが、ネットスーパーの対応は2拠点だけ。1カ月で3000件程度の対応に限られると、単価が5000円なら年間1億8000万円の事業規模。全体の0.1%に満たない事業をどこまで本気でやるのか。本気になってもらうには、実績、数字を示すことが必要になる。

 ただ、1997年に楽天市場を立ち上げた時も同じような状況だった。今は数年後を目指して一緒にやっていくところを探している段階。当時の楽天にはトラフィックは無かったが、今の楽天にはそれがある。本気にさえなってもらえれば、数年で変わると思っている。楽天市場の会員は約4000万人いる。「楽天ID」を使って、いつもと同じようにネットスーパーを使えるようにしたい。