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 プログラミング言語Rubyを国際標準とする作業が進んでいる。独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)オープンソフトウェア・センターは,Ruby標準化検討ワーキンググループを設置,2008年末から会合を行っている。委員長にはまつもとゆきひろ氏の恩師でもある筑波大学名誉教授 COINSコンパイラ・インフラストラクチャ協会理事長 中田育男氏が就任。標準仕様草案作成はまつもと氏が在籍するネットワーク応用通信研究所が担当する。2009年の前半には標準仕様の草案を作成し,最終的にはISO(国際標準化機構)に提案する予定だ。中田氏とまつもと氏に,標準化の目的や進め方を聞いた。

(聞き手は高橋 信頼=ITpro


標準化検討WG委員長 筑波大学名誉教授 中田育男氏(左),まつもとゆきひろ氏(右)
標準化検討WG委員長 筑波大学名誉教授 中田育男氏(左),まつもとゆきひろ氏(右)
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標準化の目的は。

中田氏:Rubyは日本で作られ,世界で使われている初めての言語だ。このような言語は今まで存在しなかった。だからこれを国際規格として提案したい,というのが目的だ。

まつもと氏:電子政府のシステムでRubyを採用するにはオープンな規格が必要,ということも理由だ。政府調達では特定のソフトウエアを指定することは原則としてできない。

 またここ数年,JRubyやIronRubyなど複数のRuby実装が作られるようになってきたこともある。これらの間で互換性を確保するためにTestSuiteが細々としてやってきたが,人間が読む仕様書があっていい。仕様を作っていくなかでその不備が見つかり,品質が高まる,といったこともあるかもしれない。

コミュニティとの関係は。

まつもと氏:突然標準化を始めて勝手に決めていると言われないようにしたい。途中でも決まったことは公開してフィードバックしていく。

 2008年11月に行われたRuby Conference 2008では,RubiniusのEvan Phoenix氏,JRubyのCharles Nutter氏とThomas Eenebo氏,IronRubyのJohn Lam氏, MacRubyのLaurent Sansonetti氏,MaglevのMonty Williams氏といったRuby実装の開発者,Rubyの仕様をまとめているRubySpecのBrian Ford氏に会って話をし,標準化について理解してもらった。

まつもと氏が筑波大学情報学類で中田氏のプログラミング言語研究室に在籍していた際は,どういう学生だったか。

中田氏:学生の頃から言語を作りたいと言っていて,卒業研究でもプログラミング言語を作っていた。その意志がずっと継続してRubyを作り上げたことは素晴らしい。

まつもと氏:研究室で取り組んでいたテーマではなく,「プログラミング言語を作りたいという」私の希望を容れて,好きにやらせてくれた。卒業研究ではたいした言語は作れなかったが,そのときやらせてもらえたことが今につながっている。