一般的なSNSと使われ方はどう異なるのか。
プーペガールには日記やコミュニティといった一般的なSNSの多くが持つ機能が無いため、洋服の写真やアバターの着こなしを見て、興味を持ったユーザーにメールしたり、写真にコメントを残すことで会話が始まる。そういった点が、日常生活全般を話題として、日記やコミュニティでユーザー同士がコミュニケーションをすることの多い一般的なSNSとは異なる。
また、ユーザー層にも違いがある。サービスの立ち上げ当初から、ファッションに関して女性の方が活発にコミュニケーションをすると考えて、アバターは女性キャラクターのみ提供している。そのため、23万人の登録ユーザーのうち98%が女性という特徴がある。年齢層は10~20代が80%を占めている。
ユーザー行動においては、積極的に利用する約20%のユーザーは毎日約200ページを閲覧するなど、回遊性が高い。ネット利用者の動向を調査するネットレイティングスの調査結果から、2008年8月のサイトの平均滞在時間が「mixi」を上回る3時間を記録した。仮想店舗や不要になったアバター用アイテムの売買ができるフリーマーケットの商品の閲覧と、ほかのユーザーが投稿した写真の閲覧の二つがトラフィックの大半を集めている。全体のページビュー(PV)は月間約3億だ。
企業はプーペガールでプロモーションを展開する上で、どのように活用しているのか。
予算にもよるが、製品のデザインなどに結び付けたオリジナルのアバター用アイテムを提供して、サイト上で疑似体験してもらうことを狙ったプロモーションが多い。
ルイ・ヴィトン ジャパン カンパニーの事例では、プーペガール上に仮想店舗を設置して、実際に販売されている商品と同じデザインのアバター用アイテム6種類を提供した。その際、オープンに先立ってトップページをルイ・ヴィトンの特別デザインにしたり、ユーザーのマイページにルイ・ヴィトンのロゴが記載された手紙を置いたりして、事前に盛り上げた。
アイテムは、高級ブランドであるというイメージを損なわないように、完成度の高さにこだわって制作した。また、通常のアイテムよりも価格を高めの500~1000リボンに設定して販売した。さらに、多くのユーザーにルイ・ヴィトンのアバターアイテムを着用してもらうために、アバターコンテストも開催した。
バナー広告やマスメディアに掲載する広告では企業側から情報を発信するだけにとどまる。プーペガールではルイ・ヴィトンの製品をユーザーに“体験”してもらうことが評価につながっている。
プーペガールでプロモーションを展開する上で成果を出すにはどうすればいいのか。
アパレルやコスメと相性がいいのは当然だが、アバター用アイテムを提供する場合、ユーザーの中心である女性が喜ぶようなかわいらしいデザインのものでないと、成果は期待できない。また、あくまでファッションに特化したSNSとして運営しているため、洋服や服飾雑貨の提供だけにとどめている。そのため、飲料メーカーが販促企画を実施したい場合に、アバターにペットボトルを持たせるといったことはできない。
ただ、ペットボトルのデザインが10種類ある飲料を発売して、それぞれのデザインに合わせたアバター用の洋服や服飾小物を配布するといった利用方法であれば問題ない。女性に支持されるようなデザインやコンセプトを持つ製品であれば、工夫次第で成果を上げられる可能性がある。