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[前編]2010年度に光2000万の契約目標は変えない

NGN(次世代ネットワーク)と光回線を戦略の柱に据えるNTT。だが,NGNの商用化はスモール・スタート,光回線は2008年度の純増目標の下方修正を余儀なくされ,厳しい状況に直面している。NGNと光の拡大に向けて,今後どう立て直していくのか。海外展開や2010年の組織検討を控えたグループの在り方を含め,今後の戦略を三浦社長に聞いた。

2008年3月に商用サービスを開始したNGNは,スモール・スタートとなった。

 3月時点はまず小規模で立ち上げ,ネットワークを制御できることを見極めてから秋以降に本格展開することにした。展開自体は順調に進んでいる。問題はサービス面。「NGNらしいサービスが出てこない」という指摘は重々承知している。

 サービスの芽は出始めている。次世代サービス共創フォーラムには約1300の組織・個人が参加している。勉強段階のものもあるが,具体的に進んでいるものもある。2009年度こそ花を開かせたい。

 これまではNTT東西で別々のサービスを提供していたが,NGNでは全国均一のサービスや,県間のサービスを提供できるようになった。イーサ系のサービスは契約数が受注ベースで2000回線を突破した。

2008年5月の新・中期経営戦略では「サービス創造グループを目指して」というスローガンを掲げた。

 NGNは元々,オープンをキーワードに掲げている。サービスは我々だけでなく,パートナが独自に提供するケースもあれば,我々と一緒に提供するケースもある。次世代サービス共創フォーラムでまさに検討を進めているところだ。今後は,面白いサービスが登場すると期待している。

 グループ内でもだいぶ連携できるようになってきた。まだ十分とは言えないが,少なくとも自分がNTT東日本の社長を務めていたころからは良くなった。例えばNTTデータとNTTコミュニケーションズが共同で出資したり,NTTドコモがNTTレゾナントに出資する動きが出てきた。通信業界ではサービスの融合が進み,法人ユーザーからはワンストップで提供してほしいという要望が高まっている。こうした流れの中でグループ内の連携が自然とスムーズになってきた。

光回線は純増数の伸びにかげりが見え始めている。拡販に向けた今後の施策は。

三浦 惺(みうら・さとし)氏
写真:的野 弘路

 光回線の純増数は2008年7月以降,昨年の実績を下回り始めた。この要因にはパソコンを中心とした需要が一巡したことなどが挙げられるが,景気の影響も当然あり,正直言って厳しい。

 2009年度も相当厳しいと覚悟している。とはいえ企業向けを含め,市場はまだある。販売ターゲットや販売手法を見直し,巻き返していく。

 拡販に向けた施策の基本はサービス面の強化になる。映像系はIPTVサービスの取り組みが遅れていたが,ようやく本格的に売れ出してきた。IPTVサービスの純増数は10月に約3万,11月には約5万を獲得し,契約数は約35万を達成した。アウトバウンド(電話)を積極的に展開した効果が出ている。

 設備面でもきめ細かい取り組みが不可欠と考えている。例えばユーザーが引越した際に移転先で光回線を利用できないといったことが起こっている。設備の打ち方まできめ細かく管理することで,こうした状況を解消したい。集合住宅向けではVDSL方式だけでなく,光ケーブルをスプリッタ経由で全戸に分配する「光配線方式」を積極的に展開する。

 また料金面の施策も検討しなければならないと考えている。単純な値下げは考えていないが,他事業者への対抗値下げ,キャンペーンの強化,料金プランの多様化などがあり得る。

 いずれにせよ,2009年第1四半期には2009年度の事業計画を認可申請しなければならない。需要の見込みを含め,サービス,設備,料金のトータルで計画を詰めていく。

光回線の契約数は2008年9月末時点で1009万6000件。2010年度に光2000万件の目標は達成できそうか。料金を下げて需要の拡大を図る方法もある。

 正直言って相当厳しい。確かに値下げすれば需要の拡大を期待できるが,ある程度,長期的な視点で考えなければならない。契約数だけにこだわるつもりはないし,こだわるべきではない。単純な値下げではなく,ユーザーの要望や,他事業者との競争状況などを踏まえて総合的に判断していく。

新・中期経営戦略では「2011年度に光サービスの黒字化」もうたっている。2010年度に光2000万契約を達成できなかった場合の影響は。

 新・中期経営戦略にある「光サービスの黒字化」や「NGNへの移行計画」は,光2000万契約の達成を前提に打ち出した。ただ,現時点では光2000万契約の目標を修正するつもりはない。

 光2000万契約を達成できなければ黒字化や移行計画に影響は出るが,この点については今後検討していく。それでも将来は光サービスが中心になっていくのは間違いないので,できるだけ早期に黒字化を達成しなければならないという考え方は変わらない。

NTT 代表取締役社長
三浦 惺(みうら・さとし)氏
1944年生まれ。広島県出身。67年に東京大学法学部を卒業し,日本電信電話公社(現NTT)に入社。96年に取締役人事労働部長,99年1月に常務取締役東日本会社移行本部副本部長などを経て,同年7月に東日本電信電話(NTT東日本)の代表取締役副社長に就任。2002年6月にNTT東日本の代表取締役社長。2005年6月にNTT代表取締役副社長中期経営戦略推進室長,2007年6月に現職のNTT代表取締役社長に就任した。趣味は旅行,ウォーキング,山登り。

(聞き手は,松本 敏明=日経コミュニケーション編集長,取材日:2008年12月16日)