PR

 米Adobe Systems(アドビシステムズ)の,Dave Story(デイブ・ストーリー)デベロッパーツール担当バイスプレジデントが,2009年1月29日,30日に開催された同社のユーザー・カンファレンス「Adobe MAX Japan 2009」に合わせて来日し,日経ソフトウエアの取材に応じた。同社の最新の開発ツールが,「いかにインターネットを前進させるか(how move the Internet forward)」を熱く語った。

(聞き手は原田 英生=日経ソフトウエア


写真●米Adobe SystemsのDave Storyデベロッパーツール担当副社長

このところ「Adobe Flashプラットフォーム」という名前が前面に出てきているが,どのようなものか。

 Flashプラットフォームは,デザイン・開発ツールとして「Flash CS4 Professional」「Flex Builder」,そして今後発売する「Flash Catalyst」を含む。この三つは有償提供する製品だ。フレームワーク(クラス・ライブラリ)は「Flex」だ。クライアントにインストールしてもらう実行環境として「Flash Player」と「AIR」がある。Flash PlayerはWebブラウザ向け,AIRがデスクトップ向けだ。情報システムを構成するサーバー製品としては,「Flash Media Server」「BlazeDS」「ColdFusion」「LiveCycle ES」などがある。

Flash Playerの新バージョン「10」はどうなったか。

 Flash Player 10には多くの機能があってすべてを語ることはできないが,例えば「ピクセル・ベンダー(Pixel Bender)」という新機能がある。イメージやビデオの処理をハードウエアから独立したカーネル・ランゲージで記述でき,それは実行時にハードウエアに合わせて最適化される。CPUだけでなく,GPU(Graphical Processing Unit)のパワーも活用できる。GPGPU(General-Purpose computation on GPUs)の一種と考えてもらってもよい。我々は「HD(High Definition) Web」の世界を実現しようとしており,ピクセル・ベンダーによる大量のプロセシングは大きなステップになる。 Flash Player 10を2008年10月にリリースして約3カ月が経過したが,すでに55%のパソコンではFlash Player 10が使われている。記録的な速度だ。

Flash Playerの64ビット版(x64版)がないのが残念だとかねてから思っているのだが。

 64ビットLinux用のFlash Playerは2008年11月にアナウンスした。まだ最終版にはなっていないけれど,かなり良い評判を得ている。次はWindowsとMacintoshだ。Flash Playerの次のメジャー・バージョンアップのときには64ビット版を加えたいと考えている。

Flash Playerの11でWindows用の64ビット版が出るということか。

 11かもしれないが,その前かもしれない。まだ確実なことを言える段階ではない。

Flash ProfessionalのCS4で注目すべき点は?

 表現力を高めたのが一番大事なポイントだ。アニメーションの作成/編集をよりやりやすくした。「トゥイーン」(tween,補間)を作らなくても,動きのパス(経路)をマウスで自由に描ける。クリエータはより簡単に作成/編集ができる。「Inverse Kinematics」(逆進動学)という機能も画期的だ。絵を描いて,それに間接や骨を設定して,それで動かすことができる。パペット(puppet,あやつり人形)を動かすようにアニメーションを作れるわけだ。人が歩いているビデオを入手して,その人がロゴをキックする動画を作るようなこともできる。これらは新機能のごく一部に過ぎない。

今後発売されるFlash Catalystはどんな製品か。

 現在プレリリースの状態にあるFlash Catalystは「Thermo」というコードネームで呼ばれていた製品だ。Flash Catalystは,Flex Builderと共通のプロジェクトを操作するツールになる(Flash Professionalのプロジェクトは相変わらず別)。Flex BuilderはEclipseと似た外観だったので,コーディングをするデベロッパには親しみやすかったが,デザイナが使うのは難しかった。Flash CatalystはEclipseのパーツを使ってはいるが,外観はかなり違う。デザイナが使いやすいようにしている。

 Flash Catalystを使うと,デザイナは自分が求める動きを顧客とデベロッパに伝えることができるようになる。これまでデザイナの多くは,絵をたくさん描くことで動きを顧客とデベロッパに伝えようとしてきた。「スタート」「途中」「エンド」といった具合だ。それを見てデベロッパが動きをプログラミングするわけだが,できあがったものを見て,デザイナが満足できないこともあったし,顧客が満足できないこともあった。とにかく,コミュニケーションで多大なロスが生じていたわけだ。Flash Catalystを使うと,デザイナがグラフィックスなどの素材を基に,SWCファイル(コンポーネント・ファイル)を作れる。デザイナに巨大なパワーを与えられる。デベロッパも,デザイナの意図することを書いてあげなくてよくなり,ビジネスのロジックやデータベース接続など,得意な部分に集中できる。