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 負荷分散装置(ロード・バランサ)として必要な機能をシンプルに追求することで低価格化を図るベンダーが,米Coyote Point Systemsである。PCサーバーとFreeBSDベースのアプライアンスを開発/出荷している。負荷分散本来の目的とは異なる機能を削ぎ落としつつ,VMware仮想サーバーに対する負荷分散機能など,負荷分散の価値を高める各種の機能拡張に取り組んでいる。2009年2月2日には,ハードウエアを一新した新シリーズ「Equalizer GXシリーズ」を出荷。ITproでは,同社Presidentに,負荷分散装置の動向や需要について聞いた。

(聞き手は日川 佳三=ITpro


米Coyote Point SystemsでPresidentを務めるMichael C.Hayes氏
米Coyote Point SystemsでPresidentを務めるMichael C.Hayes氏
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負荷分散装置市場での米Coyote Point Systemsの位置付けは。

 ミッドレンジのエンタープライズ用途を狙っている。この市場のユーザーが欲する機能と性能をアプライアンス化したものが,米Coyote Point Systemsの負荷分散装置「Equalizer」だ。

 特徴は,負荷分散とは関係のない機能を搭載することなく,負荷分散に求められる本来の機能を高めている点だ。負荷分散装置という特化した目的の中で,あるべき姿を成熟させている。

 負荷分散に関係するユニークな新機能のハイライトとも言えるものが,負荷分散の対象として仮想サーバーを扱えるようにする「Equalizer VLB」である。このほか,2009年4月には,ユーザーからの要望が多かったVLAN機能(セグメント分割機能)を追加する。

Equalizer VLBとは何か。仮想サーバーのハンドリングに対して何か特別なことをしているのか。

 サーバー仮想化ソフトVMwareの運用管理ソフト「VMware Center」と連携することで,仮想サーバー機に対する負荷分散機能を高めている。機能の実現度合いに応じて,フェーズ1とフェーズ2の2段階に分かれている。フル機能が,2009年1月(国内では2月)から出荷しているアプライアンス新機種に搭載されている。

 Equalizer VLBフェーズ1の機能は,仮想サーバー機に対する負荷分散機能である。最大の特徴は,個々の仮想サーバー機の性能データ(CPU負荷など)をVMware Centerから取得し,負荷分散に役立てることができる点だ。これまでの,静的重み付けやコネクション数/レスポンス時間といった外的な要素だけでなく,サーバー内部のリアルタイムな性能データを負荷分散の材料として利用できる。

 VMware仮想サーバー環境では,VMware Centerに問い合わせるだけで,仮想サーバーの各種性能情報を知ることができる。これを負荷分散装置から利用するというわけだ。こうした性能データは,物理サーバー機の場合には専用のエージェント・ソフト(国内では未提供)で対応していたが,仮想サーバー機ならエージェントを導入する必要がない。物理サーバーに勝る仮想サーバーの利点の1つだ。

 そして,Equalizer VLBフェーズ2では,仮想サーバーの負荷状況に応じてVMware Centerに依頼することにより,仮想サーバー機の起動/停止/再起動といった処理を実行できる。

 起動と停止の制御によって,システム全体の処理性能をオンデマンドで自律的に変えられる。必要な時に必要なサーバー機を必要なだけ利用できるようになる,ということだ。個々の仮想サーバー機のCPU使用率などを監視し,仮想サーバー機の台数を増減することで,自動的にシステム全体の処理性能を制御する。システム停止しているサーバー機を見つけたら再起動をかけて動作を再開させる。

Equalizer VLBを搭載した新機種について教えてほしい。

 2009年に入ってから,3年ぶりにハードウエアを一新した新シリーズ「Equalizer GX」全3モデルを出荷した。これにより,性能が高まった。CPU性能の向上などにより,スループットは50%向上し,SSL処理性能は400%向上した。このGXシリーズは,Equalizer VLBのフル機能を最初から搭載している。

 3モデルの住み分けは,以下の通りだ。

 (1)中間に位置する「E450GX」は,多くのECサイト経営企業に向く標準的なモデル。ハードウエアSSLアクセラレータや,仮想サーバーへの負荷分散機能(フェーズ2を含んだフル機能)を備えている。性能は,スループットが1.0Gビット/秒。処理性能は7万5000トランザクション/秒, SSL処理が8500トランザクション/秒である。

 (2)企業内利用や情報サイトなど,ハードウエアSSLアクセラレータを必要としない用途向けには,エントリ・モデル「E350GX」を用意している。仮想サーバーへの負荷分散機能も,負荷の振り分けのみと限定的(フェーズ1の基本機能)だ。性能は,スループットが850Mビット/秒。処理性能5万トランザクション/秒, SSL処理が500トランザクション/秒である。

 (3)最上位のモデルが「E650GX」である。E450GX同様の機能に加えて,別サイトにまたがる広域負荷分散(GSLB)機能とコンテンツ圧縮(HTTP Compression)機能を備える。性能は,スループットが1.3Gビット/秒。処理性能はレイヤー7で11万トランザクション/秒, SSL処理が1万4000トランザクション/秒である。

 なお,3モデルとも,Webアプリケーションの画面遷移におけるセッション維持の材料は,URI(URL),IPアドレス,Cookieの3つである。SSLセッションIDは用いない。