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写真1●プレイステーション3用ゲーム「THE EYE OF JUDGMENT」<br>特にヨーロッパで人気がある。(写真:的野 弘路)
写真1●プレイステーション3用ゲーム「THE EYE OF JUDGMENT」
特にヨーロッパで人気がある。(写真:的野 弘路)
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 実はその頃,今の「VAIO type P」のような「VAIO C1」というカメラ内蔵のノート・パソコンがあったのですが,その中にCyberCodeを使う3次元CGのデモが入っていました。CyberCodeが印刷されたカードを見せると,そこにCGが出てくるというデモです。もしかすると,コンシューマ向けで製品化されたARとしてはそれが世界初だったかもしれません。

 ただ,そのデモの存在にはあまり気付いてもらえなかったようです。技術的なデモンストレーションの粋を超えていなかったこともあり,それを何に使うのかという意味が理解されなかったのだと思います。一方,そういうトライアルがあったのでソニー社内でARは知っている人は知っている技術となり,ARを使ったプレイステーション3の「THE EYE OF JUDGMENT」につながりました(写真1)。

ARの研究は今後どう発展していくと思われますか。

 マーカーを使うARは技術的にはほぼ完成していて,研究的にはマーカーを使わない方式に向かっています。屋外や屋内でも大きなショッピング・モールでARを実現するとなると全ての場所にマーカーを貼るのは不可能です。そこで“景色”そのものをマーカーとして使おうという研究です。これはまさに世界中でいろいろな研究が行われています。

 この方法は限定された環境だと結構できるのですが,自分がどのような環境にいるかを最初に認識しなければならない。私たちは「PlaceEngine」という無線LANアクセス・ポイントを使ったロケーション・センシングの技術も持っているのですが,GPS(全地球測位システム)やPlaceEngineと組み合わせて空間の位置認識と場景・景色のマッチングを同時にやりましょう,というのが今後あり得るソリューションだと思います。

商業利用や実用化はどのような形で進むでしょうか。

写真2●「技術者が作りたいものと本当にユーザーが使いたいものは実はズレている」<br>(写真:的野 弘路)
写真2●「技術者が作りたいものと本当にユーザーが使いたいものは実はズレている」
(写真:的野 弘路)
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 コンシューマの人が携帯電話で使うのと,例えば警察官がAR対応のヘルメットを使うのとではかなりレベルが違う話になりますね。後者ですとある程度実用化が始まっています。手術するときにAR的に手術情報をオーバレイするといった,用途を限定したものであれば現在既に使われ始めています。

 携帯電話のように何億人もの人が使うサービスとなると,技術の問題もありますが,サービスとしての切り出し方が問題だと思います。もしかすると今の技術でも十分に面白いARサービスを展開できるかもしれません。

 ただ,パッと携帯電話を取り出すと空中にタグが浮いている,というだけでは,もうちょっと何か必要かなと思います。みんなが使いたがるサービスというよりは,まだ研究者の技術的なデモンストレーションから発展しているもの,という気がします。

 Webでも何でもそうですが,技術者が作りたいものと本当にユーザーが使いたいものは実はズレていたりしますよね(写真2)。「mixi」とかああいうものが突然出てくるわけです。だからARでそういうサービスが何年後に出てくるかを予測するのはすごく難しい。10年後かもしれないし,来年かもしれない。どういうサービスの切り出し方にするかで大分変わってくるでしょうね。

■変更履歴
暦本氏の記事中の肩書きを変更しました。 [2009/02/19 14:10]