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 NTTコミュニケーションズが2008年12月に開始したイーサネット専用線「ギガストリーム プレミアムイーサ」は,今後の通信事業者のインフラを構築するうえで鍵となる「トランスポートMPLS」という新技術をいち早く導入した。既存のMPLS(multi-protocol label switching)では,ATM(asynchronous transfer mode)やSDH(synchronous digital hierarchy)といった既存の伝送技術とイーサネットを統合できなかったが,トランスポートMPLSによってそれが可能になった。同社のサービスやインフラ技術の担当者にトランスポートMPLS導入の狙いなどを聞いた。

(聞き手は高橋 健太郎=日経コミュニケーション


具体的にトランスポートMPLS導入の検討を始めたのはいつぐらいからか。

NTTコミュニケーションズのギガストリーム プレミアムイーサのサービス担当者およびインフラ担当者<br> 左から,ネットワーク事業部 IPネットワーク部 ネットワークSE部門の鈴木昭徳氏,ユビキタスサービス部 プロダクト営業部門 担当課長の平澤桂一氏,同部門 担当課長の伊藤宏和氏,ユビキタスサービス部 担当課長の中西和也氏。
NTTコミュニケーションズのギガストリーム プレミアムイーサのサービス担当者およびインフラ担当者
左から,ネットワーク事業部 IPネットワーク部 ネットワークSE部門の鈴木昭徳氏,ユビキタスサービス部 プロダクト営業部門 担当課長の平澤桂一氏,同部門 担当課長の伊藤宏和氏,ユビキタスサービス部 担当課長の中西和也氏。
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 検討を始めたのは3年前,2005年の夏ぐらいになる。実際に導入しようと決定したのは2年前だ。トランスポートMPLSという言葉がない時代から,トランスポートMPLS的なアプローチを考えていた。

 当時からもイーサネット専用線のサービスは提供していた。増え続けていたイーサネット専用線の需要に対して,既存の設備で提供しつづけるのか,あるいは当時出てきた新方式を使って対応していくのか検討し,後者でチャレンジしようということになった。その新方式がトランスポートMPLSである。

 我々は,以前から様々なMPLSのネットワークを持っていた。それらに共通して,安定性が不十分という課題があった。それをどう解決しようかと考え,ソフトウエアやプロトコルの種類に依存しない,それらの影響を排除することによって,サービスの安定化や信頼性向上を目指せないかと考えた。これはトランスポートMPLSと同じ考え方である。

 その後,MPLSの柔軟性と既存のMPLSが持っていなかった安定性や堅牢性を備えた新技術として,“トランスポートMPLS”という言葉が世の中に出てきた。その時点から,我々もトランスポートMPLSという技術を追っていき,我々の求める方向性とすり合わせいった。逆に,我々の側からトランスポートMPLSはこうあるべきだと提案もしていった。

広域イーサネットでよく使われるような,スイッチをベースにしたインフラでは実現は難しかったのか。

 一つの設備でいろんなサービスを提供すると考えたとき,レイヤー2(L2)で動作するイーサネット・スイッチで実現するのか,あるいはMPLSで実現するのかと評価した結果,従来のL2のスイッチよりもMPLSという方式を取った方がいいだろうという判断になった。

 MPLSは“マルチプロトコル”というくらいで,いろいろなサービス,ATMやSDH,そしてイーサネットを一つのインフラで収容するのに適している。1台の装置で複数のサービスを収容するという方向を考えると,MPLSという選択になったのだ。

 加えて,従来のMPLSでは不十分だったOAM(operation, administration and maintenance)や,ルーターで作っているがゆえに不安定なネットワークになってしまうという欠点を,今後解決していく技術がトランスポートMPLSだろうという目利きをして,数年前から検討してきた。これが,今回のトランスポートMPLS導入の流れだ。

 今回の新サービス「ギガストリーム プレミアムイーサ」の開発も,具体的な目標の一つではあった。ただし,トランスポートMPLSで我々がやっていることは,プレミアムサービスにとどまっているわけではない。将来的な構想の一つとしてまずプレミアムサービスを出したが,今後いろいろ展開していく。

 世の中で見えるサービスという形で出すこともあるだろうし,内部のインフラで閉じたところで改善していくという形もある。例えば,古い設備をたたんで,大容量の新しい設備で構築する。一時的なコストは増えるかもしれないが,将来的なコスト・メリットになる。