PR

PRに力を入れるということか。

 グーグルが伸びてきた一番の理由は「ユーザーフォーカス」。品質の高い検索結果、ユーザーにとって品質の高い広告を提供してきた。その基本スタンスを正しく理解していただく。ユーザーのことを考えることが広告主、パブリッシャー、代理店のためになる。Win-Win-Winのシナリオがグーグルの強みだ。

 次の課題としては、今までは(検索連動型の)「AdWords」広告を中心にやってきた。(消費者行動モデルの一つの)「AISAS」でいえば、販売促進分野の広告に力を入れてきたが、アテンション(A)やインタレスト(I)の部分、つまり商品に興味を持ってもらうところにフォーカスしていなかった。

 米国ではダブルクリックの買収もあり、最初(A、I)の部分の手段も持ち始めた。そこでの切り札の一つが「YouTube」になる。日本ではまず、AISASの前の部分を攻めるツールとして、YouTubeにフォーカスしていく。YouTubeの利用価値を広告主に理解をしてもらうのが今年の目標だ。さらにディスプレー系の広告も視野に入れる年になる。

辻野 晃一郎(つじの・こういちろう)氏
撮影:山田 愼二

もう一つの焦点としてモバイルがある。

 一昨年、KDDIとのパートナーシップを組んで、去年の4月からはNTTドコモともパートナーを組んだ。そのおかげもあり、日本でのモバイルのトラフィック、ビジネスにおける貢献度は高まった。それがさらに大きくなることを期待している。

 グーグルのグローバルの中でも、日本におけるモバイル貢献度が一番高い。それは理解されていて、日本のモバイルの成長をサポートしようというコンセンサスがある。その理解の上に、日本のモバイルの環境に投資していく。

モバイルのどこに投資するのか。

 一つは、デスクトップとモバイル(で提供しているサービス)が今はイコールではないので、これからモバイルでできることはたくさんある。もう一つは、Android。モバイルのプラットフォームとなり、日本でも非常に重要になる。将来のモバイル環境を劇的に変えることになる。

 モバイルは制約が多く、ユーザーの満足度もキーボード、画面サイズなどから総合的に使いにくい、となる。Androidのようなものなら、デスクトップとシームレスに、モバイルと意識せずに使えるようになる。パソコンは「Windows」「Macintosh」があったので開発が楽だったが、モバイルにはさまざまなプラットフォームがあった。Androidでこうした制約が緩和され、デスクトップ同様にフルブラウザーの世界が実現できるようになる。

日本発・世界展開はモバイル以外にあるのか。

 個人的なアイデアでは、何といっても家電やゲーム分野は日本が強い。パソコンからモバイル、家電、ゲームへの展開はある。カーナビも進んでいる。日産自動車と「Googleマップ」の連携もあり、家電領域が新たな視野に入れる領域としてある。

 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)とはサーチで協力関係を作り、パナソニックもYouTube対応テレビを出している。家電の世界は一朝一夕ではいかないので時間はかかるが、チャレンジするメーカーも増えると思っている。

グーグルがマーケッターに提供できる価値とは。

 非常におこがましい言い方に聞こえるとよくないが、景気が悪く、失業者も増えている。もともとグーグルは弱者救済、社会的に弱い人の味方だ。AdWordsを上手に使えば個人事業を上手に立ち上げる手助けとなる。個人のエンパワーメントという意味で、ネット上で起業して生計を立てられるかもしれない。そういうふうに見てもらえれば、個人の零細企業、地方の企業、ロングテール部分の新しいビジネス機会創出で貢献できると思う。

グーグル 代表取締役社長
辻野 晃一郎(つじの・こういちろう)氏
1957年生まれ。84年慶応義塾大学大学院工学修士課程修了。米カリフォルニア工科大学大学院工学修士。84年ソニー入社、「VAIO PC」事業創業期の事業責任者を務め、2004年同社コネクトカンパニー コ・プレジデントなど歴任。07年4月に執行役員製品企画本部長としてグーグル入社。検索サービスやアプリケーションの日本におけるサービス展開全般を統括した後、09年1月に代表取締役社長就任。

(聞き手は,渡辺 博則=日経ネットマーケティング編集長,取材日:2009年1月22日)