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「人生の記録」が社会を変えた ミナ・トロット氏 米Six Apart 社長 共同創業者 アンドリュー・アンカー氏 米Six Apart 副社長

「みんな,自分の生活をブログに書いている。ブログは,人生の記録なんです」。ブログ構築ソフト大手,米Six Apartのミナ・トロット社長 共同創業者は,自身もブログのヘビー・ユーザーと言う。日本国内でも800万人が登録しているブログは,社会をどう変えたか。そしてブログはどこに向かうのか。トロット氏と,Six Apart社で事業開発を担う責任者であるアンドリュー・アンカー氏に,ブログの「意味」を改めて聞いた。

(聞き手は高下 義弘=ITpro,写真は栗原 克己)


ブログ(blog)はすっかり世に定着した感があります。

ミナ・トロット: 米国でブログを知っている人,あるいは実際にブログをしている人の数は,私と夫のベン(トロット氏)がブログ構築ソフト「Movable Type」を開発した2001年,Six Apartを設立した2002年の時に比べて,劇的に増えています。

 この数年間で,ブログは自分の意見を表現する場,あるいは問題を提起する場として定着しました。いまでは,たった一人でも,何万,何百万という人たちに対してリーチできる,強力な情報発信の手段になりました。

 ブログは記事をポスト(投稿)するのが簡単です。ネットワークと端末さえあれば,いつでもどこでも書き込めます。ブログを使う最大のメリットは,この簡単さだと思います。当たり前のことに聞こえるかもしれませんが,HTMLを書いたり,ツールを使ったりという面倒さから多くの人々が解放されたことには,大きな意味があります。

 文章でも写真でも何でも,とにかく気軽に投稿できる。そうした気軽さと自由度の高さが,ブログの普及を後押ししているのだと思います。

非常に生活に近い存在

 ブログは私たちの「人生の記録」なんです。

 もちろん,ブログに自分の主義主張を書くときもありますけど,ほとんどの場合,「自分が今日何をやったか」でしょう? 例えば,私はいま東京にいて,夫はいま家(米国)にいます。彼は,自分が日々何をしたか,ブログに書いています。彼は料理が好きですから,記事の多くは料理のことです。

 ほかの人からすれば,彼が何を作って何を食べていようが関心がないと思いますが,妻の私はそれを読むのが大好きなんです。そういったプライベートな種類のブログを読んだり,書いたり,誰かが書くのを支援することに,私は情熱のようなものをすごく感じているんです。

 私はブログを毎日書いているわけではありません。だけど,夫だったり友人だったり,誰かが書いているほかのブログを毎日読んでいます。読むという行為も重要だと思いませんか? 「ブログする」ことの大切な要素だと思います。

 ブログは,すごく日々の生活,人生に近いメディアです。私だけではありません,Six Apartのみんなもそうだし,ブログしている多くの人は,たぶん私と同じ感覚を持っていると思います。

一方で,そうしたブログの「生活との近さ」が災いし,トラブルになることもあるようです。例えば,ブログに書いた内容が原因で解雇になったり,あるいは採用されなかったりした,という話を時折耳にします。

ミナ・トロット: 確かにブログという情報発信手段がなければ,そうしたことは起きなかったかもしれません。でもそれはブログのせいではなく,書いている人の判断が悪かったということでしょうね。そういう人たちは,ブログでなくても電子メールや掲示板で同じことをやっていた可能性があります。

Mena Trott氏

 当たり前のことですが,ブログを書く人は,これから書いて公開する記事の内容とその影響を,客観的に見なければいけません。いったんパブリック(広く公開すること)にしてしまえば,グーグルなり何なりに見つかって,アーカイブされてしまうわけですから。一人のブロガーの立場として言いますと,書く経験が増えるほど,客観的な視点が身に付きます。

 もう一つ,これもブロガーの一人として心がけていることですが,すごく個人的なブログだったとしても,人や物事を非難するような内容は,絶対に書かないようにしています。Six Apartのメンバーとしても,それを心がけています。Six Apartがどこかのブログで非難された時でも,それに対して反論する,ということはしません。

SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が話題になっています。日本ではミクシィ(mixi)が支持を受けていますし,米国のマイスペース(MySpace)も日本に進出しました。

ミナ・トロット: SNSが支持を受けている理由は,友人を見つけたいとか,よく知っている仲間同士で情報を交換したいという人が多いことを示していると思います。多くのブログ・サービスは広く公開するスタイルを採っているため,そうしたニーズに対応できていませんでした。

 実際,私自身,一人のブロガーとして,SNSのような仕組みを欲していました。というのは,広く公開する記事と,ごく親しい人だけに公開する記事を分けたかったからです。