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マスコミが報じない新Officeの狙い若者や小集団を取り込み新しい働き方を支援 米Microsoft Chris Capossela(クリス・カポセラ)氏Corporate Vice PresidentBusiness DivisionProduct Management Group

「ほとんどのマスコミは新しいユーザー・インタフェースのことを書く。それはその通りだ。でも,本当に訴えたいのは,新しいワークスタイルを実現したいということなんだ」。こう語るのは,米MicrosoftのOffice製品を率いるクリス・カポセラ氏である。Microsoftは間もなく,新バージョン「2007 Office System」を投入する。この「System」を冠した新版は,ブログや,P2P,RSS,Wikiなど若者が支持するテクノロジーを取り込んだ。「これまで見逃していた小さなグループや,オフィスの外で働くナレッジワーカーの活動も支援したい」と意気込むカポセラ氏に,新Officeの思想を聞いた。

(聞き手=ITpro 高下 義弘/中田 敦,写真=いずもと けい)


経営学者の故ピーター・ドラッカー氏は,知識と行動により価値を生み出す人々を「ナレッジワーカー」と定義しました。パソコンやソフトはナレッジワーカーの仕事を支援できるでしょうか。

 人々のワークスタイルが時間とともに変わっていることは言うまでもありませんが,最近大きな変化が見られます。その1つは,企業の枠を越えてコラボレート(協働)する必要性が,5年前と比べてはるかに高まったということです。もう1つは,デジタル・データが爆発的に増えたため,必要な情報を探すのが難しくなっていることです。しかし同時に,企業は膨大な情報を保護し,管理できるようにもしなければなりません。

 企業の枠や地理的な境界を越えてコラボレーションできる,かつ自社の機密を守れるテクノロジーを実現する。これがソフトにとって重要なテーマだと考えています。そこで私たちは新しいOfficeを開発するに当たって,「SharePoint Server」や「Groove」など,コラボレーション向けのテクノロジーに資金を投入してきました。

ITマネジャが若い人にそっぽを向かれないように

 ほかにももう1つ,我々が直面している大きな流れがあります。それは,新しいコラボレーションを実現する「コンシューマ・テクノロジー(消費者向け技術)」の登場です。

 IM(インスタント・メッセンジャー),ブログ,Wiki,RSS。これらは,インターネット上でコンシューマ(消費者)に広く受け容れられているコラボレーション手段です。これらのテクノロジーは主に消費者向けに作られたものですが,今や企業にも進出してきています。企業のITマネジャは,それら新しいコラボレーションに対応しなければならないというプレッシャーを感じています。

 そこで,新しい2007 Office Systemでは,特に若い人たちが望んでいるコンシューマ・テクノロジーを取り込みました。

 新しいテクノロジーを取り込みつつも,ITマネジャはセキュアにコントロールできます。SOX法など内部統制の考え方にも相通じる部分があります。2007 Office Systemのコラボレーション・テクノロジーはインターネットのテクノロジーを取り込んで発展していますが,日本企業が必要とする保護とセキュリティも併せ持っています。

 SharePointを使うと,ITマネジャは社員にブログやWikiの提供基盤を提供できます。また,私たちが「My Sites」呼んでいる,社内でコミュニティ・グループを組むこともできます。これはいま米国で広まっているSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)である「My Space.com」と同じようなものです(SharePointの機能を解説したITproの関連記事)。

 メールや個人情報を管理できる「Outlook」には,RSSリーダーを追加しました。自分の仕事に関係するコンテンツが更新された際には,いちいちWebページを開いて新着情報があるかどうかをチェックする必要がなくなります。常にOutlookを開いていればいいわけです。ITマネジャは,エンドユーザーのパソコンにインストールするソフトを増やす必要はありません。Office Systemがあればいいのです。

 エンドユーザーにとって一番画期的な変化は,文句なしにOfficeの新しいユーザー・インタフェースの「リボン」でしょう。多くのユーザーは,Officeの機能の数%しか活用していないと感じていたはずです。エンドユーザーは新しいユーザー・インタフェースで,今までできなかったと思っていたことができるようになります。Officeの真価を解き放つのです。

図1●2007 Office Systemの新しいユーザー・インタフェース「リボン」の例
図1●2007 Office Systemの新しいユーザー・インタフェース「リボン」の例

 新しいOfficeはエンドユーザーに対してエキサイティングなユーザー・インタフェースを提供します。その上でITマネジャに対しては,新しいコラボレーション・スタイルに対応できる基盤を提供します。

 ほとんどのマスコミは,この新しいユーザー・インタフェースについて書くと思います。飛躍的な変化ですし,とてもエキサイティングですから。ですが,私はむしろ,2007 Office Systemで新しいワークスタイルを可能にしたことを強調したいのです。