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クラウドへの移行は、そこまで大きなものですか。

 現在は、パッケージ型のアプリケーションをクラウドの世界に移行する動きが台頭したところです。次に手作りのアプリケーション、その後にビジネスプロセスそのものが、クラウド化していきます。

クラウドコンピューティングの時代には、セールスフォースやグーグル、アマゾンのようなごく少数の企業が、すべてのサービスを提供するという見方もあります。

クリス・バービン 氏
写真・柳生 貴也

 確かにこれらの企業は、クラウドの世界でアンカーの役割を果たす存在です。開発者のコミュニティの土台にもなります。

 ですが、クラウドの世界で企業のITは徐々に移行していくのです。小規模な企業はともかく、大企業は、既存システムの刷新や統合、チェンジマネジメント、ビジネスプロセスリエンジニアリングを、クラウドの存在を考慮しながら進めなければなりません。

 従来とは違うIT化が求められるわけです。当社のような新しい世代のSIerが、こうした作業を支援します。IT化だけでなく、企業のビジネスモデルの変革や、コスト削減を通じた体質強化までを手伝うのですよ。

具体的には、SIerにどんなビジネスの機会があるのですか。

 大手企業には、多くの既存のシステムがあります。100を超えるアプリケーションを運用していることも珍しくありません。

 すべてが一気にクラウドに変わるわけではないのですから、既存システムとクラウドをいかに連携させるかは、企業にとって重大な関心事です。

中堅・中小企業向けにビジネスを手掛けるSIerはどうですか。

 セールスフォースの利用者は150万、グーグルのSaaSも実際の利用者が1000万人を超すといわれています。中堅・中小企業の利用者も数多く存在します。これらの利用者向けに、アプリケーションを作ることができます。

アピリオは、日本でもビジネスを展開しています。

 日本法人の規模は8人です。米国と同じビジネスモデルを展開する予定です。パートナーであるグーグルとセールスフォースと共に、企業向けのビジネスを拡大していきます。

 日本には大きなチャンスがある。当全世界の10パーセントを日本から売り上げるつもりです。さらに伸ばすことも可能でしょう。

 実績もあります。細かいことは話せませんが、PaaSを利用した日本郵政のシステム導入プロジェクトにかかわることができました。Force.comを使ったものとしては、世界最大級のプロジェクトに参加できたわけです。光栄なことです。

米国流をそのまま持ち込んで、失敗した企業も少なくありません。

 日本では大手SIerと組んで事業を展開していきます。まだそれほど長いとはいえませんが、米国市場で培った当社のノウハウや技術は、日本でも有用なはずです。

グーグルと並ぶパートナーであるセールスフォースは、株主でもあります。

 当社はこれまで1700万ドルの資金を調達していますが、2008年1月にセールスフォースから50万ドルの出資を受けました。ですが、セールスフォースの子会社ではありません。

アピリオを設立した理由をお聞かせ下さい。

 以前、米ボーランドソフトウェアのCIO(最高情報責任者)を務めていました。この時、セールスフォースのSaaSを全社員に導入したのです。

 セールスフォースの導入は非常に面白い経験でしたよ。SaaSの良さも実感できました。クラウドコンピューティングへの移行は確実に進む、大きなビジネスチャンスがあると考えたのです。

 にもかかわらずこの分野には、ITの導入に不可欠なSIerが存在しないことに気付きました。だから自分たちで作ることにしたのです。

米アピリオ CEO
クリス・バービン 氏
米国のベイツ大学で学士を取得し、米WWグレインジャー、米ウェブメソッズなどで勤務。その後、米ボーランドソフトウェアでCIO(最高情報責任者)兼ビジネス・オペレーション担当シニアバイスプレジデントなどを務めた。2006年からアピリオCEO。

(聞き手は,中村 建助=日経ソリューションビジネス編集長,取材日:2009年3月4日)