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三つの部署を新設しエンゲージメント新価値を提供

博報堂が「生活者主導社会」の到来に伴うマーケティングの構造変化への対応を強化するため、2009年4月1日にインタラクティブマーケティング関連業務を手掛けてきたi-事業推進室を発展させる形で、エンゲージメントビジネス局を発足させた。新たな局で何を手掛け、何を目指すのか。局長に就任した三神氏に、今後の戦略を聞いた。

エンゲージメントビジネス局設立の狙いは。

 マーケティング・広告業界では、「エンゲージメント」という言葉は「メディアエンゲージメント」とか「ブランドエンゲージメント」のように、個別の事象を指し示す言葉としてよく使われてきたと思うが、我々はもっと広い概念でとらえている。というのも、ネットを中心とするデジタルメディアが出てきて、情報の流通の仕方が大きく変わった。マーケティング自体が大きく変貌し始めている。

 その最大の要因は「生活者主導社会」になっていること。CGM(コンシューマー・ジェネレーテッド・メディア)などで、生活者は情報発信者になり得る。つまりブランドと生活者、メーカーと生活者、メディアと生活者のコミュニケーションが一方通行の「to C」ではなく、全体的に双方向の「with C」となり、コラボレーションが必然になってきた。

 また、デジタル化でさまざまな計測可能性が進んでくると、広告主にはより説明力のある効率的なマーケティングが求められる。ブランド構築から顧客の生涯価値を最大化するまでの流れを横串にした統合的ソリューションが必要になった。こうした背景があり、2~3年前からいろいろな課題に対応するプロジェクト、ソリューションの開発をしてきた。

 このような新しいマーケティングにおけるキーワードとして「アカウンタビリティ」(説明責任)、「メジャラビリティ」(計測性)、「トランスペアレンシィ」(透明性)の三つがある。企業のホームページなどが生活者のさまを把握する「情報のハブ」になり、生活者がどうアクションしたか、その要因は何だったのか、改善するためには何が必要かなどを、ほぼリアルタイムにつかめる。つかめるなら、それを活用する必要がある。そのことについて、お得意先もメディアも我々も、認識を新たにしているのが大きなこと。生活者、社会にとってのWinを実現する新たな「情報の設計」、「体験の設計・実施」を作り出すことが我々に求められている最大の価値だ。それをもとにお得意先に最適なソリューション、そのひな型を提示するのが、我々のミッションだと思っている。

局の具体的な業務は。

 社内の一部門ではあるが、博報堂のほぼすべての職種、機能や役割を持った人材が集まっている。局員70~80人で、(クライアントを担当する)営業の横、後ろ、前にいてソリューションを提供する。

 局内には、「エンゲージメントプロデュース」という新しい機能(部署)を作った。高度成長以降、「キャンペーン型プランニング」という広告会社の仕事の作り方、価値の作り方が開発され、それが高度化すると次第に専門的な職能に分離していった。それを打破したオールラウンドなプロデューサーを指向している。異なる専門領域、技術やメディアを含めて統合する新しい仕事のやり方を先導するリーダーを作る。現在7人いて、営業、ダイレクトマーケティングなどいろいろな部署から集めた。