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三神 正樹(みかみ・まさき)氏
撮影:山田 愼二

 さらにもっと幅広く、認知が高まって購入意向につながるのか、購入意向が高まって来店するのか、来店して本当に購入するのか――。こうした全方位に価値を提供し、合理的なマーケティングを実現するために「マーケティングインテリジェンス」の専門部隊も設けた。すべてを最終ゴールに向けてどう最適化するか。部分、部分ではなく、全体最適をやっていくことが一つの役割になる。

 またデジタルメディアでは、一つのメディアであっても(直接の成果を求める)ダイレクトレスポンス型の性格とブランドメッセージを伝える役割の両方を持っている。全く新しいクリエーティブの考えを取り入れないといけない。双方向のwith C、エンゲージメントの考え方で、すべてのタッチポイントをつないで一つの生活者の体験、体験装置を作り出すといった発想が必要になる。そこで「エンゲージメントクリエーティブ」という部隊も新たに設けた。

 今までのインタラクティブのプロデューサー、プランナーなどに、こうした三つが新たに加わった領域で、トータルなエンゲージメントという新しい価値づくりをしていく。そういう意味で局を定義した。

統合ソリューションを提供するのであれば、外部との連携も重要になりそうだ。ネット企業などとの提携についてはどう考えているか。

 エンゲージメント型の広告ビジネスは、オープンなビジネスプラットフォームに乗って、みんなでみこしを担がないと効率的なコミュニケーションができない。今までと大きく違うところだ。

 そこでいろんなネット企業をどんどん買収して、グループの中に完全に取り込んで、博報堂エンゲージメント帝国を作るかと言われれば、全くノーだ。そうなった瞬間に陳腐化して、新しい価値づくりに壁を作ってしまう。オンライン、デジタルの領域は恐ろしいぐらいに技術革新、イノベーションが起き、新陳代謝が激しい。同じ土俵で互いにいいものを交換、コラボレーションしていくのが新しいフォーメーションだと思う。

 (ネット広告大手の)デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)とは、博報堂DYホールディングスによる連結子会社化で我々とやや血が濃くなり、アイ・エム・ジェイ(IMJ)にも出資しているがIMJとは28.65%出資の距離感にある。位置関係として100パーセント取り込むのは、互いのため、市場のためにもよくない。

Webサイトをハブとしたマーケティングになれば、サイトを持つ広告主の力が強くなるのでは。

 ある一面ではそれがあり、それは非常にいいことだと思う。企業のホームページが情報のハブであり、真っ先にデータを見るのも企業。分析、プランニングにおける広告主の立ち位置が非常に良くなる。

 一方、我々の強みはエンゲージメント。生活者、メディア、すべてのタッチポイントを横断した価値づくりは、一企業の中でできることより、我々が提供できることの方が増えていく。これを我々はパートナーシップの進化と呼んでいる。

 博報堂は、もともと得意先とのパートナーシップを重視している会社。それが精神論だけではなく、実体として作っていける環境になる。お得意先の環境が変わり、我々が変わることで、結果としてパートナーシップが深まる。既にいくつかのお得意先からは実例を通じて、「なるほど新しい広告会社の価値提供の仕方だ」という評価を受けている。これを深めていきたい。いかにコラボレーションできるか。我々としては、すばらしいチャンスととらえている。

博報堂 エンゲージメントビジネス局 局長
三神 正樹(みかみ・まさき)
1959年生まれ。82年筑波大学卒業後、博報堂入社。同社事業局研究開発部、電脳体 主任研究員、インタラクティブ局第一プロデュース部部長、デジタル・ソリューション・センター室長代理などを経て、2007年4月にi-事業推進室室長。09年4月博報堂エンゲージメントビジネス局局長に就任。

(聞き手は,渡辺 博則=日経ネットマーケティング編集長,取材日:2009年4月6日)