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 アナログ監視カメラの代替や保安目的の設置などの目的で需要が伸びているネットワーク・カメラ。このネットワーク・カメラの動画形式や制御インタフェースを,Webサービスとして共通化しようという動きがある。その旗振り役であるスウェーデンAxis Communications社長兼CEOのRay Mauritsson氏に,ネットワーク・カメラ標準化の目的と開発戦略を聞いた。

(聞き手は,高橋 秀和=ITpro


ネットワーク・カメラの標準化の目的は。

写真1●スウェーデンAxis Communications社長兼CEOのRay Mauritsson氏
写真1●スウェーデンAxis Communications社長兼CEOのRay Mauritsson氏
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 動画形式やカメラの制御用インタフェースなどを標準化することで,ベンダー依存の要素を減らすのが狙いだ。ユーザーやシステム・インテグレータは複数のベンダーのネットワーク・カメラおよび管理サーバーを組み合わせた最適なソリューションを構築できるようになる。

 2008年9月には,独Bosch Security Systemsおよびソニーと共同で「ONVIF(Open Network Video Interface Forum)」という業界団体を立ち上げた。同年12月に発表した最初の仕様書では,ネットワーク・カメラのビデオ・ストリーミング方式やデバイス検知,機能制御などのインタフェースをWebサービスとして規定している。動画エンコーダの選択,カメラの向きを変えるパン・チルトおよびズーム(PTZ)の制御,認証などが可能だ。

標準化した基本機能はテレビ会議用のカメラのそれと変わらない。テレビ会議製品との関係は。

 ONVIFで策定する仕様はネットワーク・カメラに特化したインタフェースで,テレビ会議向けのカメラ・デバイスとは性格が異なる。あらゆる映像デバイスを網羅する汎用インタフェースを目指すわけではないので,テレビ会議ベンダーとの連携は考えていない。

 ただネットワーク・カメラは音声会議などと組み合わせれば,テレビ会議システムとして使えないこともない。パートナがONVIF仕様に準拠したネットワーク・カメラをテレビ会議ソリューションの一部として使うケースはあるだろう。

標準化が進むと,光学的な性能を除けば価格競争になるのではないか。

 単純な価格競争に入る前に,「ネットワーク・カメラがインテリジェントな映像解析機能を持つ」という進化の余地があると見ている。

 メリットの一つは,監視カメラ用途における耐タンパー性の向上だ。スプレーで妨害したり,フォーカスを狂わせたりする「タンパリング」行為をカメラ側で検知して,管理サーバーなどに警告を出す。

 例えばスウェーデンのストックホルムで約1万5000台のバスに監視カメラを設置している事例がある。当初はバスの車内を清掃する際にカメラをチェックする方向で導入を進めていたが,運用コストを押し上げる要素となっていた。耐タンパー・アラーム機能を持つ監視カメラを導入することで,運用コストの削減につなげている。

 もう一つのメリットは,スケーラビリティの向上だ。例えば道路に設置した多数のネットワーク・カメラ群で撮影した映像から車のナンバー・プレートを判別する監視システムでは,管理サーバーのスケーラビリティに問題が出てくる。カメラ側に画像処理の機能を持たせられれば,管理サーバーは解析結果の集約に専念できるようになる。

メッシュ型の無線LAN対応など,ネットワーク・インタフェースは差異化のポイントにならないのか。

 メッシュ型無線LANなら米Motorolaや米Proxim Wirelessなどパートナ企業のソリューションと組み合わせで対処できる。無線LAN対応ネットワーク・カメラはコンシューマ市場向けと位置付けている。企業向けのネットワーク・カメラ市場では,有線イーサネットで給電するPoE対応製品が主流だ。

 今後の製品に搭載する新ネットワーク・インタフェース技術としては,現在策定中の新PoE規格「IEEE 802.3at」が挙げられる。従来型PoEによる給電では,PTZ用のモーター,空冷ファンやヒーターなどを搭載する上位機の電力消費をまかなえない。IEEE 802.3at対応製品であれば,PTZ対応で空冷ファン/ヒーター搭載の高解像ネットワーク・カメラであってもPoE給電でのフル動作が可能になる。