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写真●ディメンションデータのブレット・ウィリアム・ドーソンCEO
写真●ディメンションデータのブレット・ウィリアム・ドーソンCEO

 「データセンター基盤には革新が起きている」。シスコ製品を中心にしたインテグレータ、ディメンションデータのブレット・ウィリアム・ドーソンCEO(最高経営責任者)は、こう語る。サーバー、ネットワーク、ストレージを統合した基盤作りを売り物に、データセンター構築支援事業を進める。南アフリカに本拠を置く異色インテグレータの戦略を聞いた。
(聞き手は、玉置 亮太=日経コンピュータ)

ディメンションデータの業務内容や特徴は。

 当社は全世界47カ国に事業を展開するIT基盤サービスのプロバイダだ。IP技術を中心に、ネットワークアーキテクチャの設計からインフラ構築、サポート、運用・監視までを一貫して提供する。

 1990年代半ばに事業を開始した。LAN構築やプリンタ共有からスタートし、そしてWAN構築や広域のIP網によるデータ共有や動画配信など、手がけるサービスを徐々に拡大してきた。現在は企業情報システムを担うデータセンター全体のライフサイクルを網羅したサービスを提供できる。

 現在の従業員数は1万1000人、2008年度の売上高は45億ドルだ。日本では子会社のデータクラフト・ジャパンを通じて事業を展開している。

同分野にはIBMやHP(ヒューレット・パッカード)などライバルが多い。

 確かに両社は巨大で、提供する製品構成も多岐にわたる。当社はIP技術によるネットワーク関連サービスに資源を集中している。VoIPによるユニファイドコミュニケーション、イーサネットで異種ネットワークを集約するコンバージド・ネットワークなどだ。

 特に強みを持っているのは、米シスコ製品を使った基盤構築だ。当社はシスコから「グローバルシスコパートナー」の認定を受けている。米ガートナーによれば、ネットワーク分野の運用や保守サービスの実装力で最も高い評価を得た。

CIOはデータセンター革新に備えよ

シスコは「UCS(Unified Computing System)」でサーバー市場に参入した。UCSをどう評価するか。

 非常に興味を持っている。UCSは単なるサーバーではなく、データセンターそのものだ。サーバーの能力に加えて、ネットワーク機器、ストレージ接続、仮想化機能などを備えている。今後はUCSを中心に、様々な技術や機能が集約されていくだろう。

 統合型の技術や製品によって、データセンター革新の長い旅が、まさに始まろうとしている。サン・マイクロシステムズが「ネットワークこそコンピュータだ」と提唱したのは20年以上前。これがようやく現実になろうとしている。

 物理的な機器はどんどん抽象化され、技術は統合されていく。ユーザー企業のCIO(最高情報責任者)は、データセンター革新の長旅に備える必要がある。

日本市場をどうみているか。

 日本は世界で2番めに大きなデータセンター市場だ。期待は非常に大きい。

 他の地域と同じく、日本企業も多くの課題に直面している。コスト削減やITの省電力化、ガバナンスの強化、セキュリティなどだ。当社のデータセンター基盤統合サービスで、こうした課題の解決を支援できる。

現在の厳しい経済状況は、事業にとって逆風ではないのか。

 むしろチャンスだと考えている。例えばUCSを使ってデータセンター基盤を統合すれば、企業は効果をすぐに実感できる。

 企業のCIOはコスト削減に非常に敏感だ。投資の効果がすぐに表れるサービスを提供すれば、景気が低迷していても必ず事業を拡大できる。

南アフリカに本社を持つ。利点や不都合はあるか。

 全世界で事業を展開する上で、不都合を感じたことは特にない。確かに欧米や日本などの主要な市場とは距離があるが、時差の上では三つの地域の中間にあるので、かえって有利とも言える。新興市場にもアプローチしやすい。

 今や地理上の制約はどんどん小さくなっている。要はいかに情熱を持って事業に取り組むかどうかだ。当社は今後も、強みであるデータセンター基盤統合に力を注ぐ。