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貝印 経営企画室マネージャー 郷司 功氏
貝印 経営企画室マネージャー 郷司 功氏

 貝印は、一般のインターネットユーザーが運営するブログに対して、担当者がコメントを書き込む「カイタッチ・プロジェクト」を、2008年10月から続けている。これは、同社製品をエントリー(記事)で取り上げたブログを見つけてはコメントを書いていくという取り組み。企業の担当者がブログに“出向いて”コメントなどを書き込む事例は珍しいことから、スタート当初から注目を集めた。

 2009年6月現在でも、同社はカイタッチ・プロジェクトを継続して実施している。このプロジェクトの狙いなどを、担当する経営企画室マネージャーの郷司功氏に話を聞いた。

(聞き手は、新井 勇夫=日経ネットマーケティング

カイタッチ・プロジェクト実施の狙いは何か。

 きっかけは、貝印という会社をもっと知ってほしいと考えたことだった。一般には「貝印=カミソリの会社」というイメージが強い。かつては弊社製品を「銭湯にあるカミソリ」として強く訴求できたことがあり、カミソリのイメージが定着しているのは事実。

 しかし、売上高に占めるカミソリ関連の比率は3分の1ほどでしかない。あとは包丁や鍋、フライパンといったキッチン用品や医療機器、ビューティーケア用品が占める。こうした会社の姿をきちんと認知してほしいと考えている。

 もともと弊社では、「Club KAI」という会員組織を運営している。メルマガの発行や、製品モニターの募集などを行っているが、消費者との関係を深めるための次の展開を考えた時に、今後はブログでのコミュニケーションが消費者との対話の軸になるのではないかと考えた。

 どのようにブロガーと対話を進めるかを社内のスタッフと制作会社のメンバーを交えて議論する中で、当初は「インターネットユーザーを囲い込みたい」といった話をしていた。しかし、議論を重ねるうちに、「なぜ囲い込まないといけないのか」という点に思い至った。

 確かに、エンドユーザーとどうやって直接コミュニケーションを図るかが重要なのであって、こちらから「出向く」のでもいいのではないかと気付いた。そこで、カイタッチ・プロジェクトを実現させることにした。

個人のブログにコメントを書き込むことには、抵抗を感じる企業や担当者は多いようだ。反感を買ってしまったり、いわゆる「炎上」を起こしたりする可能性は気にしなかったのか。

 こちらからコメントを書き込むと、ブロガーの方々には好意的に受け止めてもらえることが多い。特に炎上を怖がることはないと考えている。まじめに書いた内容であれば問題はないと思う。

開始に当たっては、社内で「やめた方がいいのでは」といった否定的な意見は出なかったのか。

 弊社では、我々経営企画室という部署がWebサイトの運営を担当している。経営企画室では、企業としての中長期の戦略の立案や予算の策定などの業務を担当しており、社長には取り組み内容について説明しやすい立場にある。カイタッチ・プロジェクトについて、事前に社長に説明したところ、「やってみなさい」と許可が下りた。そのため、スムーズに実現できた。実施後も社内での評判はいい。