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 米Citrix Systemsは,負荷分散やプロトコル最適化などの機能を持つ仮想アプライアンス製品「NetScaler VPX」を2009年第3四半期に出荷する。これは,同社のレイヤー7(L7)スイッチ「Citrix NetScaler MPX」シリーズと同等の機能を,サーバー仮想化ソフト「XenServer」の仮想マシン・イメージとして提供する製品である(関連記事)。VPXが加わることで,これまでのサーバー/デスクトップ/アプリケーションの仮想化に加え,ネットワーク機能の仮想化も同社の製品で可能になる。同社NetScaler製品担当副社長兼ジェネラルマネージャーのKlaus Oestermann氏に,NetScaler VPXの戦略を聞いた。

(聞き手は,高橋 秀和=ITpro


CitrixにおけるNetScaler VPXの位置づけを聞きたい。

写真1●米Citrix Systems社NetScaler製品担当副社長兼ジェネラルマネージャーのKlaus Oestermann氏
写真1●米Citrix Systems社NetScaler製品担当副社長兼ジェネラルマネージャーのKlaus Oestermann氏
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 クラウド・コンピューティング時代における仮想化プラットフォーム戦略の中で重要な要素と位置づけている。ハードウエアのアプライアンスであるNetScaler MPXシリーズでは満たせなかったセキュリティ要件を,仮想アプライアンスのVPXであれば満たせるようになるからだ。

 具体的には,ユーザー企業ごとにVPX仮想アプライアンスを配置することで,クラウドの環境下にマルチテナントが混在してもユーザー間トラフィックの隔離が可能になる。仮想アプライアンスで動的なプロビジョニングが容易なことや,サーバー負荷が減少することでコスト削減効果が見込めることなども,クラウド事業者にとってVPXを使うメリットになる。

コスト削減というが,ライセンス体系は? 無制限ライセンスもあるのか。

 VPXは現在評価用のプレビュー版という位置づけだ。ライセンス体系の正式発表は2009年第3四半期まで待ってほしい。ただライセンス体系の基本的な枠組みを変えるつもりはない。ハードウエアのアプライアンスと同じく,パートナーとユーザーにとって扱いやすいシンプルな価格体系にする。

ハードウエアのMPXシリーズと同様のスループットに応じた価格体系ということか。

 基本的にはそうだ。

VPXは中小規模ユーザーの利便性もうたっている。そのための機能改善は。

 ハウジングやホスティングでWebサイトを展開している企業にとって,導入が容易なことが魅力的な選択肢になるはずだ。そこで米Microsoft,米Oracle,独SAPなどのWebアプリケーションを選択するだけで最適な設定を施せるウィザードを用意した。負荷分散やキャッシュなどの各種設定をテンプレートとして持っている。「2クリック・インストール」がうたい文句だ。

ハードウエア・アプライアンスであるMPXを,マルチテナント指向のアプライアンスとして再構成した方が,より柔軟性が増すのではないか。

 既にMPXも複数のユーザー企業を管理する機能を備えている。現状では仮想アプライアンスとして論理分割はできないが,IPアドレス制限やロール・ベースの管理コンソールなどで複数組織による共有を可能にしている。今後もマルチテナントでの利用を想定した機能を追加していく方針だ。

 ただネットワークの仮想化を主目的とするユーザー企業であれば,VPXを選択するのがベターだろう。MPXをフロントエンドに配置し,背後のVPX群に処理を割り振るグローバル・ロードバランサとして活用する形になる。

Citrixとしてアプリケーション・スイッチの研究開発を進める方向性は。

 処理の高速化を追及する。核となるのは,近日提供予定の「nCore」エンジンだ。マルチコアCPU対応のパケット処理エンジンで,1つのCPUコアは制御用コアとし,残りのCPUコアをパケット処理に専念させる。コア数に応じてほぼリニアにスループットが向上するのが特徴だ。

 新エンジンに移行せずに枯れた従来型エンジンを使いたいユーザー向けに,nCore技術を組み込んだOSと,従来のパケット処理エンジンを積んだOSの2バージョンを用意する。どちらのOSを搭載しても価格は同じだ。

 それ以外では,既に搭載済みの「Web 2.0 Push」機能がある。HTTPセッションを維持したまま疑似的なプッシュ配信を実現するWebアプリケーションに対して,NetScalerがセッションを集約して配信を代行する技術だ。クライアントとサーバーが1対1でセッションを維持する必要がないため,Webサーバーを9割削減できた例もある。

 Web 2.0 Pushは,実際のユーザーが抱えている問題に耳を傾けたことで生まれた機能だ。今後の研究開発においても,ユーザー企業が直面している課題の解決に注力するというのが基本路線となる。