新たなBI(ビジネスインテリジェンス)関連サービスを2009年7月に発表した日本ヒューレット・パッカード(関連記事)。サービス内容は、BI導入の計画立案から稼働中のBIシステムのデータ品質改善まで及ぶ。米HPのソフトウェア・ソリューションズBIソリューション担当VP(バイスプレジデント)のロッド・ウォーカー氏に新サービスの狙いを聞いた。同氏はHPが06年に買収したナイツブリッジ・ソリューションズで社長を務めた(聞き手は、吉田 洋平=日経コンピュータ)。
独自のBIツールを持っていないHPが、BIコンサルティングを強化する理由は。
いくつか挙げられる。一つは、顧客がハードやソフトを購入する場合、その裏には「何か特定の問題を解決したい」という動機が必ず存在することだ。こうしたニーズに応えるためには、技術にフォーカスしたサービスだけを提供していてはダメだ。顧客のビジネスを支えるという視点が大切になる。
HPはこれから、「Technology for Better Business Outcome(ビジネスのよりよい結果のためのテクノロジ)」をうたったドキュメントをどんどん出していく考えだ。数年前の当社は、「ビジネスの結果のため」とは言っていなかった。もちろんテクノロジには今後も注力していくが、顧客のビジネスを支えるという面の比重が高まっていくということだ。
この流れの中で、BIは長期にわたる企業のトレンドだととらえている。決して一時的なものではない。今後大企業は、BIの不備に起因する多くの問題に直面し、それを解決するために情報システムにおけるBIの優先度を上げるだろう。その活動を当社が支援したいと考えている。
HPがBI分野に注力する背景には、CEO(最高経営責任者)のマーク・ハードが、DWH(データウエアハウス)ベンダーのテラデータのトップだったこともある(ハード氏は米NCRでテラデータ部門のトップを務めた後、米NCRの社長を務めた)。彼が個人的にBIに興味があるのも否定できない。
全世界で一貫した品質のサービスを提供
今回のサービスは既存のサービスを体系化したものだ。新しい部分はあるのか。
イエスでもあり、ノーでもある。国によっては今回発表したサービスを既に提供している。これらの国では「これまでやっていたことを組み替えて発表した」という面も確かにある。
このサービスを「全世界で一環した手法」として発表したのは、今回が初めてだ。世界規模でビジネスを展開する顧客に対し、「どの国でもHPは同じサービスを提供できる」とアピールするのが狙いだ。
HPはすでに米国や日本、イタリアで高いレベルのサービスを提供している。今後は、このサービスレベルをどこの国でも提供できるようにする。これを可能にするために、企業のデータ分析の活用度を診断する共通の方法論などを用意した。
買収したEDSと連携してサービスを提供したり、オフショア開発を組み込んだりしたことで、サービスをより大きな体系にしたのも特徴だ。BIに関してはナイツブリッジ以外にも、イタリアやニュージーランドのコンサル会社をいくつか買収しており、それらの会社が持っていたノウハウも取り入れた。
狙うのは大企業ということか。
そうだ。当社はこれまでも、世界で最大規模の企業にサービスを提供してきた。こうした企業は非常に複雑なデータを抱えており、トランザクションのボリュームも世界最大規模だ。今後もこのような企業を対象にサービスを提供する。