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 「多くのBI(ビジネスインテリジェンス)ツールにはない、高度な統計解析に対するニーズが高まっている」。米SASインスティチュートのキース・コリンズ上席副社長 兼 最高技術責任者(CTO)は、こう語る。BI(ビジネスインテリジェンス)専業ベンダーは、大手IT企業による度重なる買収によって数少なくなった。その中でSASは、単独での生き残りに自信を見せる。(聞き手は吉田洋平=日経コンピュータ)

BI分野では買収が相次いでいる。

 仏ビジネスオブジェクツや加コグノスなどのBIツールベンダーが相次いで買収された。その中で、「SASはどうなるのか、単独で生き残れるのか」ということが取りざたされた。しかし、その後に認識されつつあるのは、一般的なBIツールだけでは不十分だということだ。

 統計解析など高度な分析に対する市場の関心は非常に高まっている。その関心は、今後もさらに高まっていくだろう。つまり当社が主張してきた「ビジネスアナリティクス」のためのツールが求められている。

 どんな業界においても、ビジネスアナリティクスが持つ可能性が理解され始めてきたと感じる。だが、最も関心が上がってきているのがリスク管理の部分だ。例えば金融での不正使用や詐欺の防止といった用途である。

BIとビジネスアナリティクスは何が違うのか。

 我々はBIを、主に保存した過去の情報を提供する(インフォメーションデリバリ)のための仕組みだと定義している。多次元データベースで情報を見る、バッチ処理でレポートを作成する、非定型検索で情報を切り出す、などいろいろな形があるが、いずれも過去のデータを利用したものだ。

 これに対しビジネスアナリティクスとは、オペレーションのシステムの中に分析機能が入っており、先を見据えた意思決定を支援することを指す。当社はBIとビジネスアナリティクスのいずれにおいても、他社よりもかなり先行していると考える。競合他社は、買収によってビジネスアナリティクス機能の強化を図っているが、その差は大きい。

 例えば当社が、MDM(マスターデータマネジメント)に取り組み、中でもデータ品質の改善に力を入れていることも、その差の表れだ。ビジネスアナリティクスを導入しても、扱うデータの質が悪かったり、どれが正しいデータか分からなかったりすれば、正しい結果を得られないからだ。

 データ品質の改善には、入力段階から可能な限り正確なデータを入力する、というアプローチを採る。顧客がレガシーなシステムから新しいシステムに移行することを支援する際に、移行プロセスの中でツールを使って、顧客のデータ品質をまず評価する。その後に、新しいシステムで使うデータ品質のルールを設定する。

 当然、データウエアハウス(DWH)に保存されたデータの品質改善も重要になる。そのため、ツールとしては入力段階と保存後のどちらにも使えるものを提供している。