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 米Embarcadero Technologiesでデベロッパ・リレーションズ担当副社長,主席エバンジェリストを務めるDavid Intersimone(デビッド・インターシモーネ)氏が,2009年12月2日に開かれた第15回エンバカデロ・デベロッパーキャンプに合わせて来日し,講演の合間に日経ソフトウエアの取材に応じた。開発ツール「Delphi/C++ Builder」,データベース管理システム「InterBase」などで,開発チームへの投資が拡大され,複数の開発プロジェクトが並行して進んでいるという。

(聞き手は原田 英生=日経ソフトウエア


写真●米Embarcadero TechnologiesのDavid Intersimoneデベロッパ・リレーションズ担当副社長

Delphi/C++ Builderの開発状況は。

 Delphi/C++ Builderでのクロスプラットフォーム開発を実現する「プロジェクト“X”」,品質を上げる「プロジェクト“クロミウム(Chromium)”」,64ビット開発を可能にする「プロジェクト“コモドール(Commodore)”」を進めている。プロジェクト“X”では,Windows,Mac OS,Linuxで作成したプログラムを利用できるようにする。開発環境はWindowsで動かし,最終段階でのデバッグは,Mac OSとLinux機を接続してリモートで行えるようにする。当社のクロスプラットフォームというと,うまくいかなかった「Kylix(カイリックス)」を思い出す人も多いだろうが,今度のプロジェクトはKylixとは違う。IDEが一つだけであることは大きい。

 プロジェクト“コモドール”では,コンパイラのアーキテクチャを新しくして,32ビット(x86)と64ビット(x64)の両方のバイナリ・コードを生成できるようにする。将来的には,ARMチップにも対応したい。iPhone,Android,Windows Mobileなどで動作するプログラムの開発に利用するためだ。プロジェクト“クロミウム”は複数の小さなプロジェクトで構成されているもので,Delphi/C++ Builderをより使いやすく,生産性が高く,信頼できるものにすることが目標だ。

クロスプラットフォームの開発に意味はあるのか。

 デスクトップがWindowsの世界であることはもちろん知っている。しかし,それが変わる動きも見られる。中国や欧州の政府の一部では,Linuxデスクトップを利用しているところがある。一般消費者にはMacを導入している人もいる。ISV(独立系ソフトウエア・ベンダー)には,自社のソフトウエアをクロスプラットフォームにしようという動機がある。サーバー・ソフトウエアの分野では,Linuxが利用されている。Windows用,Linux用のサーバー・ソフトを作りたいというニーズはある。

クロスプラットフォーム,64ビット対応の時期はいつごろか。

 どの機能がいつ提供されるかは明言できない。米Embarcaderoの一部になってから開発人員が増え,複数の開発プロジェクトが並行して進むようになった。Delphi/C++ Builderの製品のバージョンアップは基本的には年1回,8月とか9月にしたいと思っているが,2010年のバージョンにどの機能を盛り込めるかは流動的だ。64ビットのコンパイラについては,少しずつでもいいから,早期に開発者に情報を提供したい。

InterBaseはどうか。

 InterBaseは2010年9月のリリース,おそらく「InterBase 2011」になると思うが,そこで64ビット版の提供,クラウド対応,パスワード暗号化の機能拡張を計画している。Windowsサーバーが64ビットだけになったので,64ビット化が求められている。InterBaseをクラウドに置くニーズもある。米MicrosoftのWindows Azure,米Amazon.comのものなどを慎重に検討している。

Delphi 2010を使い始めたが,ドキュメントの質が年々低下しているように思う。改善できないのか。

 即効性のある対策としてはこちらで最新のドキュメントを参照してもらったり,Delphiのアップデートを適用してもらうのがよいだろう。ドキュメントの質が低下しているとしたら,Borlandの一部門であったころに十分な投資ができなかったのが一つの原因だろう。Embarcaderoの一部門になってからドキュメント・チームの拡張もしているが,いいライターを確保するのは簡単なことではない。

Delphi/C++ Builderの開発者人口が減ることを懸念している。入門者を増やす施策はないのか。Borland C++ Compilerも,Turboシリーズもこのごろ更新されていない。

 All-Accessという製品によって,すべてのツールを必要なときに利用してもらう「ツール・クラウド」を実現したと考えている。ただ,現在のAll-Accessが,ソフトウエアのアーキテクトやプロフェッショナルな開発者のもので,学生やカジュアルなプログラマをカバーしていないことは承知している。本来なら,All-Accessのアーキテクチャはそうした人々にも効果的なはずだ。今後の我々の動きに注目していてほしい。