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[前編]無線LAN基地局を近畿圏に3万局,自宅の光回線とシームレスに使える

近畿2府4県を中心に光ファイバ事業を展開するケイ・オプティコム。光ファイバでNTT西日本に設備競争を挑み,年間16万加入を新規で獲得する。2009年度内の光ファイバ100万契約突破を目指す。さらに2010年3月から近畿地区で月315円で使える公衆無線LANサービスを提供すると発表した。ケイ・オプティコムの社長に6月に就任した藤野氏に今後の事業展開を聞いた。

6月に社長に就任後,今後の光ファイバの普及のビジョンをどう描いている。

 2008年度の売り上げが1222億円で,年度末の光ファイバが84万加入となった。ここ2年は16万加入のペースで増えており,09年度内に100万の大台に乗るはずだ。これを超えたら次は200万加入,売り上げ2000億円を目指す。

 NTT東西は新規獲得で苦しんでいるようだが,我々は常に新しいサービスを提供し,安価な料金を打ち出して,一定の加入者を確保してきた。ADSLからの乗り換えなどで光の加入者をまだ伸ばせるはずだ。

今後,加入者数の勢いは年間16万から増加すると見ているのか。

 大幅な上向きは期待できない。まずは現状維持を前提に考える。

 ユーザーにアピールするため,他社がまねしにくいサービスを打ち出していく。その一つが光ファイバの広帯域性を生かした「BSパススルー」。これはセットトップ・ボックスにつながらない2台目以降のテレビでもBS放送を視聴できるサービスで,ユーザーから高い評価を得ている。こうした光ファイバならではのサービスを打ち出すことで,光ファイバを使うことの価値を認知してもらえるはずだ。

景気情勢が良くない中で,ユーザーを光ファイバに移行させる鍵は。

 アピールポイントは料金だ。特に関西地区では,料金に対するユーザーの意識が強い。このため我々は他社よりも安いサービスを打ち出している。

 例えば光IP電話は基本料0円で,加入者間通話が無料。これらはADSLによるネット接続と加入電話の基本料を足したものよりも安い。

近畿地区限定で公衆無線LANサービスを2010年3月に開始すると発表した。月額315円のサービスは投資に見合うのか。

藤野 隆雄(ふじの・たかお)氏
写真:太田 未来子

 我々には近畿2府4県を中心に敷設した光ファイバがある。電柱と電柱の間の吊り線に弁当箱大の無線機をぶら下げるだけで,公衆無線LANサービスを提供できる。

 毎年5万,3年で15万加入なら収支が取れるという計算をした。この数値は3~4年で単年度黒字を,5~7年で累損を一掃するという前提ではじき出した。

 公衆無線LANによるユーザー獲得が,光ファイバの加入促進につながるというもくろみもある。光ファイバにつながる無線LANと,外出先の公衆無線LANをシームレスに使えるようにするツールを提供する。

基地局を展開するステップはどう踏む計画なのか。

 我々が光ファイバのサービスを提供しているエリアには,駅やコンビニエンスストア,ガソリン・スタンドやスーパーマーケットなどが関西全体の7割くらいある。これらをカバーするのに必要な1万局の基地局は,2010年度末までに整備する。2011年度以降にエリア内の密度を高めるため,約3万局まで増やそうとしている。

基地局がカバーするエリアをすき間なく埋めて,面的にカバーする考えはあるか。

 想定しているのはユーザーが立ち止まることが前提の“ホットスポット”であって,エリアに連続性はない。面的にカバーして携帯電話のように使いたいというニーズがあれば,密度を上げる必要もあるだろう。ただ現時点ではデータ通信を中心に考えている。

無線系では2008年からイー・モバイルのMVNO(仮想移動体通信事業者)として,第3世代携帯電話(3G)を使ったデータ通信サービスも提供している。

 3Gは速度が高まり,固定通信にどんどん近付いている。現在は数千円台の料金で提供しているが,この料金がどれだけの数のユーザーに受け入れられるかは分からない。同じ無線でも安い料金で使いたいというニーズがあるはずと考え,公衆無線LANに行き当たった。月額315円であれば,小学生でも支払える金額だ。無線LANにつながる機器は,ゲーム機をはじめ急速に増えている。

ケイ・オプティコム 代表取締役社長
藤野 隆雄(ふじの・たかお)氏
1949年生まれ。73年3月に大阪大学大学院工学研究科通信工学専攻修士課程修了。同年4月に関西電力に入社。95年6月に研究開発室研究開発副部長。98年6月,情報通信室通信システム部長。2000年6月に副支配人IT戦略グループ チーフマネージャー。2003年6月にケイ・オプティコム取締役,関西電力支配人 経営改革・IT本部副本部長。2007年6月,ケイ・オプティコム監査役,関西電力常務取締役 経営改革・IT本部長。2009年6月にケイ・オプティコム代表取締役社長に就任。趣味はDIYの庭造りと読書。

(聞き手は,松本 敏明=日経コミュニケーション編集長,取材日:2009年10月8日)