Googleのオープン・アプローチはよいこと
Googleからコンタクトされたことは。

Googleには,多くのカーネル開発者が実際に働いています。時に,それが問題になったこともありました。GoogleにはLinuxカーネルを採用した彼ら自身の内部プロジェクトがあります。我々はカーネル開発者がGoogleで働くと,彼らがブラックホールに吸い込まれて連絡が取れなくなると冗談を言ったものです(笑)。
同時に,Googleは他の分野でオープンソース・プロジェクトを推進しています。つまりAndroidのことです。若干のコミュニケーションの問題がありましたが,Googleがこのようなオープン・アプローチを推進しようとしたことはよいことだと思います。
Googleが行ったよいことの1つが(学生のオープンソース・ソフトウエア開発を支援する)Summer of Codeプロジェクトだと思います。日本であまり知られていないかもしれませんが,これは,世界中の学生をオープンソース・ソフトウエアに参加させる取り組みです。そして,カーネルについていえばGoogleには(学生を指導することができる)多くのカーネル開発者がいます。そして彼らはこのブラックホールに姿を消したりしません(笑)。
Googleは彼ら自身のオリジナルなカーネル・コードを作っています。
そう,現在,Googleは彼らが内部で使う彼ら自身のバージョンのカーネルを持っています。つまりChrome OSのことですが(編注:このインタビューはGoogleがChrome OSのソースコードを公開する前に行われた),(Linuxの配布ライセンスであるGPLでは)コードを修正しても,内部だけで使っており,他に配布しないのであれば,ソースコードを公開する必要はありません。Googleはそのような内部だけで使うバージョンのカーネルをいくつか持っています。
我々は実は昨日,彼らがそうする理由は何なのか,何人かのGoogleの人々に聞いてみました。面白かったのは,その理由は「Googleだからではない」ということです。彼らは,それぞれ自分自身がやりたいことがある。だから彼らそれぞれのバージョンを作った。(Google以外にも)多くの企業が彼ら自身のバージョンのLinuxを持っている。すべてが標準化されたパソコンとはかけ離れた環境です。そのほかにもスーパーコンピュータや,小型デバイス,それぞれが独自のバージョンを持っています。
クラウド・コンピューティングについてどう思われますか。
私はクラウド・コンピューティングに関する仕事をしているわけではないのであまり話せることはありません。Linuxが普及しているのでクラウド・コンピューティングの中で使われることも多く,この分野ではLinuxは大きな勢力になっています。しかしこの話題についてはYahoo!やGoogleの人の方が適任でしょう。