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 情報システム部門に求められるグリーンITの取り組み。それを後押しするIT企業はどのようにグリーンITを実践し、どの程度の効果を上げているのか。利用企業に対しグリーンIT関連製品やサービスの導入を支援する米シマンテックのホセ・イグレシアス氏に聞いた。

米シマンテックのホセ・イグレシアス氏
米シマンテックのホセ・イグレシアス氏

シマンテックのIT部門は、グリーンITに関してどのような取り組みをしているのか。

 シマンテックは2012年までに二酸化炭素(CO2)排出量を15%削減する目標を掲げている。当社はソフトウエアを扱う企業であり、顧客のサーバーを運用するデータセンターを所有しているわけではない。そのため、削減のためにできることは限られている。

 各拠点に「グリーンチーム」と呼ぶ組織横断型のグループを作った。人数は拠点によって異なるが数人から多くても20人程度だ。オフィスにおける省エネへの取り組みについてアイデアを出し合い、良い取り組みはその情報をグローバルで共有するようにしている。

 情報システムについては、仮想化技術を導入したり、データの重複を排除してストレージの利用効率を高めたりしている。

 グリーンITに取り組むことで、CO2排出量だけでなくエネルギーコストも削減できる。企業にとっては財務的にプラスになるし、地球にとっても良いことだ。

グリーンITの取り組みによって、具体的にどの程度のコストを削減できたのか。

 外部のコンサルティング会社に分析を依頼した結果、ストレージはドライブを1168から360にすることで消費電力とスペースを70%減らした。年間コストにして11万2000ドル(約1008万円)の削減になる。

 サーバーは1635台を352台に減らした。クラスタ構成を見直したほか、仮想化技術によるサーバー統合も実施した結果だ。消費電力は67%減った。これにより年間電力コストは85万5000ドル(7695万円)を削減している。

 ノートPCとデスクトップPCについては、電源管理を実施したことで80万1000ドル(7209万円)の電力コストを、バックアップ用のテープライブラリを整理して26万3000ドル(2367万円)のハードウエアコストをそれぞれ削減した。

投資対効果はどうか。自社製品を利用している分、ほかの企業が取り組むケースとは異なるのではないか。

 もちろんストレージやバックアップに使うソフトウエアや、PC管理用ソフトウエアは、自社製品を使っている。人件費はかかっているが、有利な条件で利用できることは確かだから、当社の例を単純にほかの利用企業と比較するのは難しいかもしれない。ただ、当社の顧客の中には12カ月で回収したケースもある。

クラウドサービスやアウトソーシングを使えば、電力は消費せずにすむ。

 直接的にはそうだ。しかしサービス提供者が運用するサーバーの電力コストは、そのままサービスの利用料金に含まれている。ただエネルギー効率は高まるため、電力コストという面ではメリットがあるかもしれない。

 当社も、米セールスフォース・ドットコムのサービスを利用している。だが企業がすべてのシステムを、サービス利用に移行することは難しい。グリーンITに取り組む必要はあるのだ。