倉庫管理をはじめとする物流業務向けパッケージソフトを手掛けるマンハッタン・アソシエイツは、アジア地域で2ケタ成長を続けてきた。物流業や製造業を取り巻く状況は厳しいが、アジア地域責任者のアーノルド・コンセンコ氏は「今こそ専業ベンダーの腕の見せどころ」と成長維持への意欲を見せる。

業績はどう推移しているか。
当社は2004年に日本法人を設立し、日本企業35社・65拠点に製品を導入してきた。物流業務向けソフト製品のなかでも、倉庫管理の実績が多い。製造業をはじめとする顧客企業の物流業務を一括して請け負う、3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)サービスを提供する企業が主な顧客だ。
これまで急激に新規案件が増えるということはなかったが、着実に実績を積み上げてきた。SCM(サプライチェーン管理)市場の成長率が5~6%と言われるなか、当社はグローバルで、その2倍の勢いで成長してきた。なかでも日本を含むアジア地域は、成長率18~20%で推移している。
確かに、2009年の特に上期は非常に厳しかった。しかし、下期の9月から12月にかけて、新規案件の受注が伸びた。2010年も決して楽観視はできないが、09年下期の実績を見る限り、心配はしていない。この成長率を維持できると考えている。
短期導入と費用にメリット
2010年になってもIT投資がすぐに回復するわけではない。勝機を見いだせるのか。
厳しい状況は続いている。特に3PLサービスを提供する企業の場合は、企業自身が投資を抑制するのに加え、顧客企業からの締め付けもきている。
こういうときこそ、専業パッケージベンダーの腕の見せどころだと考えている。勝機はある。一つは製造業の海外進出だ。
生産コストを抑制したり、円高の影響を排除するために、日本の製造業が生産拠点を海外に移す動きは一層活発化するだろう。すると、物流企業も海外に拠点を構える必要が出てくる。海外拠点で倉庫管理システムを稼働するまでのスケジュールは非常にタイトになるケースが多い。
当社製品は短期間で導入できる。この点をアピールして、新規案件の受注につなげたい。実際、2009年下期に伸びたのは、日本企業の海外拠点での新規案件に関する受注だった。
なぜ短期で導入できるのか。
当社製品は、ほとんどカスタマイズなしに導入できるからだ。最短で3カ月、遅くとも6カ月以内でシステムを稼働してきた。自社開発ではシステム開発に1年以上かかることもあると聞く。
開発を効率化するテンプレートを業種別に用意しており、ビジネスモデルを変えたときに、テンプレートのパラメータ設定を変更すればすぐに対応できる点も強みだ。自社開発の場合、そう簡単にはいかない。
投資費用の面でも強みを発揮できると考えている。当社製品を1拠点に導入する場合、4000万円で済んだ実績がある。ビジネスモデルを変えた場合でもパラメータ設定を変えるだけでよく、追加費用はほとんどかからない。自社開発であれば、たとえ初期費用を同程度に抑えられたとしても、システム改修のたびに費用が発生する。再開発費用やテスト期間など、見えないコストのリスクを背負うことになる。