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 仮想サーバー1台を1時間12.6円からの従量課金で貸し出す「ニフティクラウド」が2010年2月から始まった。同事業の責任者であるニフティ執行役員IT統括本部長の林一司氏は「今は従来のサービスが“主”で、ニフティクラウドはその余剰インフラを貸し出す“従”という位置付けだが、将来的には主従を逆転させたい」と語る。ニフティクラウドの提供によってデータセンターに規模の経済を働かせて、全社の運用コストも下げるという同社の狙いを解説する。

(聞き手は中田 敦=日経コンピュータ

写真●ニフティ執行役員IT統括本部長の林一司氏
写真●ニフティ執行役員IT統括本部長の林一司氏

消費者(コンシューマー)向けサービスが中心のニフティが、どうしてインフラ・サービスである「ニフティクラウド」を開始したのですか?

 当社は元々、文字通り山のようにサーバーを運用していて、ご多分に漏れずサーバー稼働率が均一化しないとか、サーバー台数が増えすぎるといった問題を抱えていました。このままサービスを増やすごとにサーバー台数を増やしていくのも辛いので、2006年ぐらいから仮想化技術の導入に取り組みました。

 2007年4月からは、新規のサービスは仮想サーバーで運用するよう改め、2008年からは既存のサービスも物理サーバーから仮想サーバーに移行し始めました。仮想サーバーの運用、構築に関して自社でノウハウを貯めたところに、米アマゾン・ドット・コムのようにインフラ・サービスを始める事業者も現れ始めたので、我々もああいったサービスができるのではないか、と考えるようになりました。

 サービスの提供は2009年から検討を始めて、まずは自分たちの運用するインフラの余剰、予備群を外販するという考えで、ニフティクラウドを2010年2月から開始しました。ニフティクラウドのインフラは、ニフティの実サービスが稼働している基盤であり、安定しています。2年以上にわたる仮想化の運用実績もあることが、サービスの強みだと考えています。

ニフティが抱えていたサーバー稼働率の問題とは、どのようなものですか?

 サービスごとにサーバー稼働率に落差があること、また昼と夜とでサーバー稼働率が変わることが問題となっていました。例えばコンシューマー向けのサービスであれば、アクセスは午後8時から午前0時ぐらいがピークとなります。外部のお客様、例えば法人によるアプリケーション開発環境などとして我々のインフラを使ってもらえれば、サーバー稼働率が均一化されるのではないかと考えています。

 もちろん、サーバーの稼働率を均一化していくためには、今まで以上にリソースを増やしていく必要もあると思います。今は、ニフティが提供する既存のコンシューマー向けサービスがインフラ利用の“主”で、ニフティクラウドは“従”の関係にありますが、将来的には主従が逆転する日が来ます。ニフティのサービスが、ニフティクラウドのために作られたインフラを利用する日が来るという意味です。むしろそうならなければ、ニフティクラウドを始めた価値はありません。

ニフティのインフラの規模は、現段階でどの程度なのでしょうか?

 物理サーバーの台数で言うと、1000は超えているが、万には行っていない、といったところでしょうか? 1000の位で下の方――。

5000台ぐらいということですか?

 それに欠けるぐらいですね。富士通が運用するデータセンターを借りていますが、サーバーなどの設備はニフティが用意しています。

親会社である富士通は現在、仮想化ソフトとしてオープンソースの「Xen」を使うインフラ・サービスを計画しています(2010年秋からサービス開始予定)。

 我々は独自に「VMware」ベースで仮想化の運用を進めてきましたので、ニフティクラウドもVMwareを使っています。

ホスティング業界の中には、オープンソースの仮想化ソフトでなければ、(Xenを使う)アマゾンに対抗はできないという声もあります。商用ソフトであるVMwareを使いながら、どうやって1時間12.6円から、という低価格を実現したのですか?

 「頑張りました」としかお答えはできませんが、実はVMwareのコストは支配的ではありません。むしろ苦しいのは、ストレージのコストですね。

 仮想サーバーサービス(VPS、Virtual Private Server)の中には、仮想サーバーをシャットダウンすると仮想ディスクの内容が消えてしまうところもあります。しかしニフティクラウドでは、仮想ディスクの内容は消えません。その代わりに、サーバー停止時でも1時間5.25円の料金を頂いています。仮想サーバーが使用するストレージのコストが、大きな悩みではあります。

どのような構成にしているのですか? FC(ファイバチャネル)で接続するストレージ装置などを使っているのでしょうか?

 「ESX Server」が稼働する物理サーバーがNAS(ネットワーク・アタッチト・ストレージ)をマウントして、そこに仮想ディスクの内容を書き込んでいます。SAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)などは使っていません。仮想サーバーからは、ディスクはすべてSCSIディスクとして扱えます。