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視聴者の嗜好をとらえられるインターネット

テレビの広告効果測定では、具体的にどこが洗練されていないのか。

 視聴者の嗜好を分析・提供できていないという点だ。インターネットなどインタラクティブなプラットフォームを使えば、視聴者の嗜好をとらえられる。IBMは大量のデータから物事の実態やトレンドを抽出する技術に戦略的に取り組んでおり、この分野ではトレンド分析のプロバイダーとして貢献できるだろう。

 例えば新作映画の公開では、マーケティング費用に何百万米ドルもかけており、最初の2週間にその費用のほとんどが使われる。そのとき、ネット上で消費者がどういう反応をしているかといった傾向を素早く分析し、それに合わせてマーケティング費用をより効果的に使えるような提案が可能となる。データの分析は次の情報管理の大きな波になると信じている。

Web広告の分野で、新しいトレンドは見られるか。

 ディスプレイ広告が、検索広告の成功例をモデル化しようとしている。つまりターゲットを絞った広告を表示し、消費者がクリックしたかどうかで効果を測定している。検索広告との違いは、消費者が興味がありそうな広告を予測して表示しようとしている点にある。検索広告の場合はユーザー自身が興味のあるキーワードを入力するので、それに関連した広告を表示すればよい。

 ディスプレイ広告を拡大するには、消費者の関心と広告をいかにうまく抱き合わせるかが鍵となる。そこでも重要になるのが消費者の嗜好についての「トレンド分析」だ。

 消費者が見ているコンテンツの属性を分析して、うまく関連する広告を紹介すれば、それは消費者にとって価値のある広告となる。こうした技術が発展すれば、もっとWebサイトのディスプレイ広告が成功するだろう。ただし広告の総額は増えておらず分配先が変化するだけなので、放送事業者にとっては脅威となるだろう。

iPadやKindleなどの端末がメディアに与える影響をどう考えるか。

 今や多くの放送事業者が携帯とパソコン、テレビの3スクリーン戦略を手がけている。そこに新たに登場した4つめのスクリーンが、iPadやKindleといった端末だ。

 電子書籍機能はさておき、iPadは動画を再生できる新しい携帯端末ととらえることができる。大きな画面で、薄く軽量で携帯しやすく、さらにPDAよりも処理能力が高い。こうした機器の登場は、テレビの視聴機会を低下させ、一方で動画配信などのコンテンツ消費を増加させるだろう。携帯端末が新しい形のインターネットテレビとして受け入れられるか、非常に関心を持っている。

 こうしたインタラクティブなプラットフォームで番組を視聴するユーザーは、今後確実に増えるだろう。インタラクティブなプラットフォームで番組を視聴するユーザーが増えれば、利用者の視聴動向を分析しやすくなり、ディスプレイ広告の推進にも役立つと考えている。

新聞、出版業界に対してはどういう影響を与えそうか。

 業界の助けになるのではないか。現状のままでは、新聞読者のうちWebにアクセス手段を持つ読者はいずれWebに流れてしまう。見せ方の問題もあると思うが、Webサイトにおけるニュースの存在感は低い。iPadなどの端末でなら、Webよりも紙の新聞の存在感を保ちつつ、かつ動画広告などインタラクティブな仕組みを取り入れた新しい見せ方を実現できるだろう。そうすれば、今は新聞を読んでいない若い読者層の獲得も可能になる。

 こうした発展は新聞業界にとって良いことであり、かつ避けられないだろう。その次の展開として、新聞社や出版社が広告業を直接手がけることになるのかどうかという点に、関心を持っている。

米IBM Global Business Services
Steven Abraham氏
米IBMのコンサルティング部門およびシステム構築部門であるGlobal Business Services(GBS)で、メディア/エンタテインメント業界を担当する。テレビ、映画、ゲーム、音楽、出版、広告、消費者向け製品、テーマパークなどの幅広い分野を担当している。北米、欧州、アジア太平洋地域でビジネス経験を持ち、特にインドや中国などの新興マーケットに対する造詣が深い。