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 「Office」や「SharePoint」、「Exchange Server」といったマイクロソフトの情報共有・コラボレーション製品群は、昨年から今年前半にかけて登場する「2010」シリーズで「クラウド世代」へと代替わりする。開発を担当する米マイクロソフトのカート・デルビーン上級副社長は、「最初からクラウドへの展開を念頭に置いて、機能や構造を設計した」と説明。「リアルタイム情報共有などのトレンドも取り込み、企業の情報共有を支援する」と強調する。

(聞き手は玉置亮太=日経コンピュータ


米マイクロソフト オフィス・ビジネス事業部 上級副社長 カート・デルビーン氏(写真:中島正之)
米マイクロソフト オフィス・ビジネス事業部 上級副社長 カート・デルビーン氏
(写真:中島正之)

現在のOffice製品群の開発体制は?

 大きく分けて、個人の文書作成や情報管理を支援するクライアント側ソフトと、組織の情報共有や生産性向上を支援するサーバーソフトのグループがある。私が担当しているのは後者だ。メッセージングソフトの「Exchange Server」、コラボレーションソフトの「SharePoint」、エンタープライズサーチ、ビジネスインテリジェンス、プロジェクト管理ソフト、統合コミュニケーションの「Office Communications Server(OCS)」、ピア・ツー・ピア情報共有の「SharePoint Workspace(旧Groove)」などを担当している。

 オンプレミス(企業による自社運用)のシステムからクラウドへの移行をにらんだ大きな投資も実施している。オンラインの情報共有サービス「Microsoft Business Productivity Online Service(BPOS)」が代表例だ。私の担当範囲はサーバー側だが、クライアント側のOfficeアプリケーションとも密に連携し、一体の製品群として開発している。

今年6月にはクライアントソフト「Office 2010」を出荷する。SharePointやExchange Serverを含む「2010」シリーズにおけるOffice製品群の開発方針と重点的な強化点は?

 「2010」シリーズの最初の波は09年11月に出荷したExchange Server 2010だ。今年6月にはOffice 2010とSharePoint 2010を出荷する。

 これらの製品における最大の強化点がクラウドとの連携だ。オンラインのホスティングサービスを、全ての製品へ展開する。当社の製品を購入してもらったら、オンプレミスとクラウド、両方の運用形態を選べるようにする。例えばExcange Serverは、企業が自社で導入できる製品を用意するだけでなく、当社が提供するオンラインサービスの「Exchange Online」でも同等の機能を用意する。Wordなどのクライアントソフトについても、Office 2010ではWebアプリケーション版を提供してクラウドと容易に連携できるようにする。

 「2010」シリーズではモバイルの生産性も大幅に強化する。OfficeのWebアプリケーション版は、スマートフォンでも利用できる。SharePointを介して、スマートフォンからもパソコンと同様に文書にアクセスしたり、閲覧・編集したりできるようにする。モバイルを活用することで情報へアクセスできる場所の自由度も、大きく高める。電子メールクライアントである「Outlook Web Access(OWA)」もスマートフォン向けに強化し、パソコン向けと同等の機能を提供する。利用者が状況に応じて情報へアクセスする手段やクライアント機器を選択できるようにする。

 利用者自身の情報管理の手間を軽減することも、「2010」シリーズの大きな注力点だ。一例が情報過多への対処である。電子メールの受信箱を整理して、どのメールが重要でどれが無視できるかを容易に判断できるようにする。そこでExchange Server 2010では「カンバセーションビュー」という機能を提供している。メールをタイトルや送信者に従ってグループ化して、一連の会話の流れをわかりやすく示す機能だ。

「2010」シリーズの製品開発で工夫したこと、変化したことはあるか。オンプレミスとクラウドで同じ機能を実現するという方針を、どうやって両立しているのか?

 数年前、モバイル向けOfficeの開発チームを、Office製品群の開発を担っているマイクロソフトビジネス部門に移管した。従来はモバイル向けとパソコン向けで開発チームが分かれていたが、「2010」シリーズでは同一チームになった。パソコン、Webブラウザー、スマートフォンという三つのクライアントで、同じOfficeを提供するためだ。

 二つめの変化が、クラウドを念頭に置いた製品開発へ移行していることである。「2010」シリーズのソフトウエア製品は、最初からクラウドへ展開することを目指して、内部構造を設計した。両者の機能をより厳密に対応させるためだ。例えば(複数の利用者がアプリケーション本体を共有する)マルチテナント方式で運用できるよう、内部構造を作り替えた。