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[後編]野村とセブンに次ぐ顧客を開拓 事業創発できる力を磨いてもらう

プライムアカウント戦略の成果が出るのが3年後だとする。3年間のプロセスを評価するための明確な物差しがないとすると、本気で取り組む人間がいるのか。

 成果を焦る必要はないと言っているだけです。長期的な志向であっても、顧客の話を聞いていれば、小さな課題を見つけ出し、それを解決するための案件は結構出てきます。金額は小さくても細かい仕事はあるわけです。3年間、まったく仕事をもらえない、成果ゼロという状況はないと思いますよ。

 ある企業に関して、「10年で100億円の仕事を取る」いう目標を立てたとしましょう。これは、9年間丁稚奉公のように我慢し続けゼロ円であろうと、最終年に100億円の仕事を受注すればいい、というのと違います。

 9年間の間に数千万円や数億円といった単位の仕事をたくさん手掛け、10年目に数十億円規模の仕事を獲得する。このようなイメージです。

300億円顧客を任期中に最低1社

野村証券とセブンーイレブン・ジャパンという2大顧客との関係強化と、プライムアカウント戦略のどちらに力を入れるのか。

嶋本 正(しまもと・ただし)氏
写真:北山 宏一

 両方をバランスよくやっていきます。野村ホールディングスとセブン&アイ・ホールディングスは当社にとっての屋台骨のようなものです。

 現時点では野村向けの仕事が売上高の30%弱を占めます。セブン&アイは10%強。他社向けの仕事を増やすにしても、2社とのパートナー関係を維持、強化していくのは当然のことです。

 2社がNRI以外のところにシステムの仕事を任せてみよう、というケースがあることは知っています。そもそも、すべての仕事を当社だけで独占することは無理なことです。大事なことはこれまでと同じく、勘定系や基幹系といった中核システムの仕事を任せてもらい続けることです。ただしレガシーな領域だけでなく、Web関連の新規システムの開発案件でも受注できるようアピールはしていきます。

社長任期中に、野村とセブンに続くビッグクライアントを獲得できるか。

 売上高10%以上のクライアントとなると、300億円以上(本誌注:NRIの売上高は約3400億円)ですからね。かなり厳しいですが、それを実現しなければなりません。

 実は、前社長の藤沼さん(本誌注:藤沼彰久会長)の時代に、売上高に対して9%弱までいった企業が1社あります。でも、この会社は私の実績になりません。私が社長でいる間に、この会社に加えてもう1社大きな新規顧客を開拓しなければならない、と思っています。

 このために、先に話したようにプライムアカウント戦略を進めるのですが、これだけではありません。システム開発事業の競争力を高めるため、プログラムの自動化や、中国人エンジニアによるオフショア開発の生産性を向上させる活動も進めます。

御社には優秀な学生が集まっているようだが、課題があるとも聞いている。

 優等生が多すぎるかもしれませんね(笑)。私は、もっとバラエティーに富んでいるというか、個性的な人材を採用したほうがいいと思っています。

 採用とは別の話になりますが、今年4月に新しい組織「人材開発センター」を作りました。狙いは、新しい事業を企画・創造できるような中核人材を育成することです。

 これまでエンジニアが目指すべきところは、プロジェクトマネジャーと決めて、このための教育・研修に力を入れてきました。でも、これだけでは不十分ということです。中堅社員を対象に、事業創発できる力をもっと磨いてもらわなければなりません。

野村総合研究所 代表取締役社長
嶋本 正(しまもと・ただし)氏
1976年3月京都大学工学部卒業。同年4月、野村コンピュータシステム(当時)に入社。1988年1月、旧野村総合研究所との合併を機に、野村総合研究所の技術部に配属される。2001年6月から取締役情報技術本部長兼システム技術一部長。02年4月に執行役員情報技術本部長、04年4月から常務執行役員。08年6月、事業部門を統括する代表取締役兼専務執行役員に就く。その後、事業推進や流通・サービス・産業関連システム、経営ITイノベーションセンターなどの分野を統括。今年4月から現職。1954年2月生まれの56歳。出身地は和歌山県。

(聞き手は、戸川 尚樹=日経コンピュータ)