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 中国では経済成長を背景に、IT市場にも追い風が吹く。政府系調査会社の賽迪顧問(CCIDコンサルティング)によると、IT市場の規模は今後15%を超える成長を続ける見込みという(関連記事)。同調査会社の張涛・高級副総裁に話を聞いた。

(聞き手は中井 奨=日経コンピュータ


賽迪顧問(CCIDコンサルティング) 高級副総裁 張 涛氏
賽迪顧問(CCIDコンサルティング) 高級副総裁 張 涛氏
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中国のIT市場の現状は。

 世界の有力ITベンダーが中国市場に積極投資しており、過去10年間でIT市場は急速に成長してきた。2008年末のリーマンショックの影響はあったものの、それを乗り越えて現在は再び成長路線にある。

 成長の背景には、中国政府がIT施策を次々に打ち出していることや、グリーンITや仮想化といった先端技術に注目が集まっていることなどが挙げられる。特にデータセンターを構築する企業は、グリーンITと仮想化を重要な要素と考えている。

 また、金融や通信分野の大手企業だけではなく、教育やエネルギー分野の企業もIT投資に意欲的だ。インターネットサービスもIT市場の発展を支える。アニメやゲームなどのコンテンツ産業の成長は著しい。このほかにも、スーパーコンピュータ関連の利用もどんどん進んでいる。

中国のIT市場の成長の見通しは。

 中国のIT市場規模(金額)は、2009年に8710億元と前年に比べて13.2%増加した。2010年には1兆元を突破する見通しだ。その後、2012年までの3年間で15%以上の成長が見込まれる。ハードウエア、ソフトウエア、サービスなど幅広い分野で成長すると予測している。

外資系企業と中国企業のどちらが優勢か。

 これは分野によって異なる。例えばPCにおいては中国のレノボやHPが強い。一方、サーバー分野では中国企業よりも外資企業が優勢だ。IBMやHP、オラクル(旧サン・マイクロシステムズ)のシェアが高い。ソフトウエアについては、データベースやOSはサーバーと同様に外資系企業が優勢だ。しかしERP(統合基幹業務システム)パッケージ分野では、用友軟件や金蝶国際軟件といった中国企業が高いシェアを占めている。

中国ではソフトウエアの海賊版の問題がありそうだが。

 確かに過去に海賊版ソフトが深刻な問題になっていた。しかし現在では、この問題は解決されつつある。例えば、マイクロソフトの中国法人が海賊版を撲滅するためにセキュリティ対策や価格面での対策に取り組んだ。これが成果を上げているようだ。正規版を使おうという意識が高まっており、最近では97%のユーザーが正規版を使っているという統計データもある。海賊版を使用する企業ユーザーは極めて少ない。

クラウドコンピューティングの普及状況は。

 外資系ベンダーだけでなく、多くの中国企業もクラウドコンピューティングのサービス事業に乗り出している。中国でもまさにクラウドは成長時期にあり、今後3年から5年にかけてその成長は加速するだろう。