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 香港のパックネットは、シンガポールにデータセンター「データランディング・ステーション」を開設した。同社のバーニーCEOに、このデータセンターの特徴や日本を含む他地域への展開について聞いた。

(聞き手は山崎 洋一=日経NETWORK
香港パックネットのビル・バーニーCEO
香港パックネットのビル・バーニーCEO

今回シンガポールに開設したデータランディング・ステーションは、どのような施設か。

 当社の海底ケーブルの陸揚げ局(ランディングステーション)内に設置したTierIIIの国際基準を満たすデータセンターだ。当社の海底ケーブルネットワークに直接接続されており、光ファイバーでほかのデータランディング・ステーションと相互接続できるようになっている。既に、香港にあるデータランディング・ステーションと、国際的なネットワークで結ばれている。典型的なデータセンターは2カ所のローカルなパートナー間、もしくはローカルなサーバー間をつなぐためのものであり、ここが違う。ネットワーク容量は、ケーブルネットワークのセグメントによって異なるが、伝送容量が10T~14Tビット/秒と大きいことも特徴だ。

 今回はデータセンター同士をつなげることが可能になったため、コスト面での効率性が高まる。通常だと、海底ケーブルをはさんだ両側で、陸揚げ局からデータセンターまでの回線を購入しなくてはならない。また従来の接続形態では、電気信号から光信号への変換と、その逆の変換が必要になる。だが当社の場合は、シンガポールと香港のデータセンター間は直接光ファイバーでつなぐ選択肢もある。現在使われている帯域はまだ狭く、いま説明した接続形態は問題になっていないが、5~10年後には40G~100Gビット/秒の通信技術が使われるようになる。そうなってくると、我々と競争できる相手はいなくなるのではないか。

 例えば多国籍のメディア企業は、グローバルで高速に、以前よりも低コストでコンテンツを配信できるようになった。3年後には10~12のデータセンターができていると思う。そうするとアジアのメディア配信の過半数を握れるだろう。

 シンガポールのデータランディング・ステーションは既に稼働を始めており、顧客もついている。これは香港のデータランディング・ステーションにも当てはまるが、設備は拡張可能だ。2011年3月までにフル稼働になると予測している。

シンガポールのデータランディング・ステーションと香港のデータランディング・ステーションに違いはあるか。

 違いはない。同じだ。

ではなぜシンガポールに建設したのか。

 香港は中国本土へのゲートウエイだが、シンガポールはインドへのゲートウエイになっているからだ。シンガポールは、多くのメディアコンテンツがホスティングされている場所でもある。シンガポールにNOC(Network Operation Center)があることも理由の一つ。それからシンガポールは、香港と同様で都市の中心部から近い。

 シンガポールにおいて、当社は今ある施設に隣接する土地について権利を持っている。もし今回開設したデータランディング・ステーションが成功したら、すぐ隣に建ててさらに施設を拡張できる。

日本を含むアジアの他地域への展開は。

 データランディング・ステーションは、このあとマニラにも開設予定だ。台湾と日本も重要拠点と位置付け、今後開設していく予定だ。日本はケーブルの多くが沿岸部に集中しており、沿岸部にある既存の陸揚げ局内にデータランディング・ステーションを開設するか、都市部にデータセンターを開設するかを考えなくてはならない。この点が、シンガポールや香港との違いだ。

 日本の場合、日本のコンテンツのホスティングを中心に考えるか、それともアジア地域のハブと位置付けるかなどで、戦略は変わってくると思う。アジア地域のハブと考えるのであれば、最も適しているのは、特に遅延の観点から台湾が適していると言われており、ここを検討しているコンテンツ事業者もいるという。

 西側諸国のコンテンツを日本から配信するのか、それとも台湾から配信するのかによって、データセンターの建設地も変わってくる。もし地域のデータセンターという位置付けにするならば沿岸部に、そうではなく日本のホスティングということなら都市部になると思う。日本の開設計画は、今年正式に決定する。

 我々はコンテンツの“動き”を見ているが、これは非常に早い。特に、携帯アプリケーションからの需要と、クラウドコンピューティングの需要が動かしている。