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[後編]モバイル関連に積極投資 中国の強制開示は問題なし

ベリサインの買収で、情報を保護するソリューションを提供する企業として必要な要素がそろったと考えてよいでしょうか。

 トレンドは変わりつつあります。日本でもモバイル化が進展していると聞いています。小型のデバイスがどんどん使われるようになってくるわけで、そうしたデバイスのセキュリティなどモバイル領域でやるべきことは、まだまだあります。クラウド領域でもやることがまだ残っています。

 そして最近、お客様にとって重要になってきているのは、情報をよりよく分類するということです。このカテゴリー化というのは、膨大な情報のなかでどれが重要なのか、どれが本当に守るべき情報なのか、その情報は全体の何パーセントなのか、そうしたことを判断できる情報を提供するものです。この領域にもさらなる投資が必要だと思っています。

 ですから今後も、モバイルとクラウド、そしてカテゴリー化の領域で重点的に投資していきます。社内開発の努力もさることながら、M&Aの可能性も含めて力を入れていきます。

日本ベリサインは上場企業です。今後、日本ベリサインをどうしていくのか、基本方針を教えてください。

 日本ベリサインに関しては、シマンテックのほかにもNTTコミュニケーションズをはじめ大手株主がおります。今、そうした株主と一緒に、日本ベリサインの事業計画、ビジネスモデルの策定を進めています。

 長期的な企業形態に関しては、別途検討しますが、シマンテックとしては今のところ、当社が持っている基盤を生かして、いかに日本ベリサインと協力していくかが重要だと考えています。他の株主にとっても、その投資価値を最大限に引き出せることになるわけで、シマンテックが日本ベリサインの経営に参画して良かったと感じていただけると思います。

中国だけでなく日本にも投資

日本に続いて中国も訪問するそうですね。その中国を含めたアジアなど新興市場の可能性をどう見ていますか。

デール・カトニック 氏
写真:陶山 勉

 世界のGDPの伸びを見ると、急成長している市場がいくつもあります。特に中国のIT投資は目覚ましい成長を遂げていて、これだけ伸びているセクターはほかにありません。ですから、非常に重視しています。ただ、中国だけでなくアジア全体が大きく成長するとみておりますので、日本も含めアジア全体への投資は拡大していきます。

 中国企業について言えば、セキュリティの重要性に対する理解は高まっているのですが、今は何を保護したらいいのかが明確につかめてない段階ではないでしょうか。ただ、ビジネスにとってのリスクとは何かについては、理解が深まってきています。そうした中国企業に対する啓蒙活動、教育活動も、我々の仕事です。

 どんな国や市場であっても、企業にとって情報の保護は普遍的なものです。ですから、そのために何をしたらいいかというポリシー、そのやり方というのは、中国だろうと、ブラジルだろうと、ロシアだろうと、世界中どこでも通用すると思っています。

中国当局によるIT製品技術の強制開示制度が一時期、日米欧の政府やITベンダーの懸念を集めました。最近はあまり話題になりませんが、現状はどうですか。懸念事項はまだありますか。

 シマンテックとしては当然、当社の持つ知財を保護していかなければなりません。それは株主や投資家、そしてお客様に対する責務でもあります。もちろん、現地の法規制にも準拠する必要があります。つまり、その双方のバランスをどのように取っていくかという問題だと思います。

 現時点では、中国当局との間では問題は生じておりませんし、必要以上の開示をすることなくビジネスを進めています。ですから、今のところ強制開示で不必要なものまで出さなくてはならないという状況にはなっていません。

米シマンテック 社長 兼 CEO(最高経営責任者)
エンリケ・セーラム 氏
1987年に米セキュリティ・パシフィック・マーチャント・バンクに入社、バイスプレジデントとしてトレーディングシステムの開発を指揮。1990年に入社した米ピーター・ノートン・コンピューティングが同年9月にシマンテックに買収されたため、シマンテックでCTOなどを歴任。1999年から米アスクジーブスのバイスプレジデント、2001年から米オブリックスのシニアバイスプレジデント、2002年から米ブライトメールの社長兼CEOを務める。2004年にシマンテックに入社。COOなどを経て、2009年4月より現職。

(聞き手は、木村 岳史=日経コンピュータ)